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2-8

本日2回目の更新です。


「……見たこともないものばかり」


「本当ですね」


 久々にアンジェリーナが隣に立つ。

 2人は今着いたばかりの街中を呆然の見つめた。

 遠くにはファイライトの王城の3倍はあろう城に、見たこともない乗り物が走る。

 町は綺麗に整備されゴミのひとつもない。


「これが大国……」


 街の発展、経済、技術何を置いてもファイライトとは比べ物にならない。


「ラヴィニア」


「は、はい!」


「大丈夫か?いくぞ」


「今行きます!」


 リーンハルトに呼ばれて慌てて返事をしたラヴィニアは、アンジェリーナを伴って歩き出した集団を追いかけた。

 街の人達は急に集まった集団を興味深そうに眺めていて、女性と目が合ったラヴィニアは頭を小さく下げると女性は目を開き隣にいた男性とヒソヒソ話しだしていた。


「少し目立つが我慢してくれ。馬車に乗る人は今のうちに」


 サーシャの言葉に従うように馬車に乗り、一行は王城へと向かった。










「……言葉がでません」


「ラヴィニアは緊張しないで横にいるだけで大丈夫だからな」


「……はい」


 王城前に着いたラヴィニア達は、勿論全員が入る訳にはいかない。

 サーシャの計らいで休むための部屋を用意してもらい殆どの人々はその部屋で待機となった。

 城に入るのは王、王妃、王太子、宰相、そして王太子の婚約者であるラヴィニア。

 ラヴィニアは本来婚約者である為行く事はないのだが、婚約者であるラヴィニアを配慮してくれたエスメリアの王が呼んでくた、ということらしい。

 緊張でガチガチのラヴィニアをリーンハルトは心配そうに見ながら安心させようと声を掛けるが余計に緊張するだけだった。



「……よく来たな」


 兵によって案内された貴賓室で王が煌びやかな椅子に座りラヴィニア達を待っていた。

 色々大変だっただろう、と謁見の間ではなく貴賓室を用意してくれていたエスメリアの王、ユージンはサーシャに良く似た外見をした男性で優しく笑った。

 ユージンとサーシャ、そして皇妃のベアトリーチェと護衛のフロリアンにアビゲイル、他3人の護衛が室内に居てラヴィニア達を待っていた。


「さぁ、まずは座って」



 促され椅子に座る。勿論ラヴィニアはラティスの隣だ。


「サーシャからファイライトでの話は聞いた。まさか噴火とはな……大変だったろう。アンナが嫁いだ国だ、困った事があれば手助けをと父も言っている。今後の事は後に話すとして、まずはゆっくりと休まれよ」


 ふわりと笑ったユージンにサラバンは言葉を返せなかった。

 それに慌ててリーンハルトが頭を下げる。


「お心遣い感謝いたします。暫くの間お世話になるかと思います、よろしくお願いいたします。」


 立ち上がり深々と頭を下げるリーンハルトに合わせてラヴィニアも立ち上がりスカートを広げる様に摘み頭を下げた。

 それを見ていたユージンは小さく「……なるほど」と呟くのをサーシャだけが聞いていた。


「……これからよろしくお願いいたします」


 遅れて立ち上がり王妃エリザベータが言い、それを見たサラバンとラティスも続く。

 ユージンは変わらず笑いながら座るように伝えると、口を開く。


「今日、明日は休んでもらい、明後日から今後のファイライト国、そして滞在中のファイライトの住人の対応について話し合いをしよう。そちらはサラバン王に……宰相殿の出席を。」


「は、はい。わかりました」


 サラバンがペコペコと頭を下げる姿をラヴィニアは初めて見た。

 あんなに尊大な姿を見せていた王が、エスメリア帝国の皇帝を前にしたとして、こんなに顔色を見て頭を下げるのに軽いショックを受ける。

 しかし、リーンハルトが平常心の為、まさかこれは普通なの?と別の意味でショックを受けた。


 「皆様、今日の晩餐は是非私達と御一緒致しましょう。色々お話をしてみたいわ」


 ベアトリーチェが笑って言うと、サラバンは眉を下げながらも頷く。


「いや、ありがとうございます。是非」


 その言葉にラヴィニアは小さく頬を引き攣らせる。


「では、また後程。準備が出来たら呼びに行かせるから休んでいてくれ」


「は、はい……」


 終始気弱な雰囲気のサラバンはペコペコしながら返事を返していた。

 ラヴィニアはこの会話が終わりホッとしていると、視線を感じて顔を上げる。


 にっこり

 

 まるでそう音が聞こえるかのような満面な笑みを浮かべたベアトリーチェがラヴィニアを見ていた。

 ビクン!と体を硬直させてからぎこちなく笑みを浮かべて礼をし、サラバンやリーンハルトに続いて部屋を後にする。背筋を伸ばし足音を立てないラヴィニアのその姿にベアトリーチェは長い髪を揺らしてサーシャを見る。


「……いいわね、あの子。とっても」


「気に入りましたか?」


「えぇ!この国にいる期間は長いでしょうし……お話する機会は沢山ありそうね。楽しみだわ」


「ラヴィニア嬢は面倒な人の興味を引いたなぁ」


「まぁ!面倒だなんて!!」


「まったくだな」


「あなたまで!!」


 そんな親子の会話があったなど知らないラヴィニアは小さくくしゃみをした。


「大丈夫か?」


「すみません、大丈夫です」


 焦りながらも返事を返したラヴィニアにリーンハルトはサラバンと話があるから部屋で休んでいなさいと言われ別れた。


「……いくぞ」


「ラティス様、王様と御一緒に行かなくてよろしいのですか?」


「……一応まだお前は婚約者になっているからな。他国の城で1人フラフラさせられないだろう」


 思わぬ言葉に驚くラヴィニア。

 不機嫌な様子ではあるが、最低限の婚約者に対してのマナーをしようとするラティスに驚きながらも不安はあるので感謝し差し出された手を取った。

 アビゲイルの案内に従うラティスに他国に来たからこそ身の振り方を考え直したのか……と思ったが、




「アンジェリーナ!大丈夫だったか!?変なことされなかったか!?」


 感謝と思考は部屋を開けた瞬間に消え去った。


 

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