21
本日4回目更新です
まるでお前が居るせいでとでも言いたいのかラティスはラヴィニアを睨みつけた。
その時、全員がわかるくらいの異変が起きる。
「……?暑くない?」
誰かがポツリと呟いた。
室温を魔道具で一定にしている為ファイライトでもパーティは快適に行われるのだが、何故か急に暑くなってきている。
全員が急激にしっとり汗をかき出したころ、今までにない現象に狼狽えだし、魔道具が壊れたのか?と会場の天井にある巨大な装置を見上げたが、正常に動いていると示すランプがついている。
ラヴィニアはハッとしてテラスへと向かい扉を開けると肌を指す寒さが一切感じられず、むしろムワッとした熱を感じた。
降る雪はやんでいて、地面を隠している雪はみるみるうちに溶けていくのが目で見てわかる。
ラヴィニアがいきなり動いた事で触発されるようにテラスへと出てくるパーティ参加者達が異常な暑さや雪解けに騒ぎ出した頃、ドォォォォォオン!と体に響く、まるで爆発音が響き渡った。
それに合わせて強い揺れが発生、ラヴィニアは立っていられずその場に座り込んだ。
隣に来ているサーシャがしゃがみこみラヴィニアを支えその隣にフロリアンが待機している。
「……まさか、そんな……」
城から離れた場所だがここからでも目視できる異変にラヴィニアは顔を真っ青にさせカタカタと震え出す。
その視線の先には活火山、地響きを上げて吹き出る溶岩や飛び出す岩石は火をまとい凄まじい速さで街に向かって飛んでくる。
活火山は大きさも高さもある山で街よりも地盤の高い場所にある。
溶岩は街に向かって一気に流れてきた。空が火山灰で多いつくし夕方の明るさを一気に消し去った瞬間、ホールから一斉に悲鳴が上がった。
「噴火!?そんなまさか!!」
「なぜ急に!家は……家は大丈夫なのか!」
「いやぁ!娘が!家に居るのに!!」
至る所で響く叫びは驚愕しかない。まだ困惑しているのだろうが、家族と離れている人々や大切な人が城外にいる人は甲高い悲鳴をあげた。少しずつ悲鳴に絶望感が混ざっていく。
そんな悲鳴に合わせるように倒れているラヴィニアは震えながら這いずるように動き出す。
「ラヴィニア嬢、危ない!」
「は……離して下さい!マーサが、クララが、ラフティーが……家族達がお祭りに行っているのです!あそこはアーティファクトのバリアの範囲外です!助けに行かなくては死んでしまいます!!離して下さい!!溶岩が来てしまう!!」
泣きわめくラヴィニアはパニックを起こしていて、抑えるサーシャから逃れようとするが、サーシャは眉を寄せて悲痛な面持ちでラヴィニアを見る。
「お願い……離して!!マーサァァ!!」
「ラヴィニア嬢!ラヴィニア!!……もう、間に合わない」
「いやよ、いや……いや……マーサ……マーサァ……」
どこもかしこも泣き叫び大切な人を、あるいは家の心配をし絶望する人々。
サーシャは暴れて走り出そうとするラヴィニアを抱きしめて抑え頭を抱える。
「……まさか、本当に噴火が起きるなんて」
火山を見て言ったサーシャの近くに来て火山を見ていたラティスやサラバンは弾かれたように見る。
「火山の噴火を知っていたのか!?」
「知ったのはラヴィニア嬢に聞いたからだ。調べていたんだよ、この異常気象や度重なる地震の事を。それが火山の噴火が原因であることも突き止めた」
「なぜ言わなかった!」
泣き崩れるラヴィニアの腕を掴んだラティスをサーシャは引き剥がした。
そして冷たい眼差しで見下す。
「君が話を聞かなかったんだろう?わざわざ謹慎などと言い屋敷に閉じ込め父君を家に返さないで。だからラヴィニア嬢は父君に伝える事も出来ず、王に伝える事すらできなかった」
「……それは、どういうことだ」
「いや、父上……あの、……」
サーシャからの話は完全に初めて聞いた内容でサラバンは顔を真っ赤にしてラティスを見ると、傍らにいるアンジェリーナの存在を完全に忘れて言い訳を考え始める。
「今はそんな事を話している時ではありません。早く対策を」
「あ……あぁ、そうだな……対策か、対策……リーンハルト、リーンハルトはどこだ!?何をすればいい!!」
「……王よ」
真っ青なカナリアを支えて来たリーンハルトにサラバンは走りより腕を掴む。
「おお!リーンハルト!早く何とかせねばならん!何をすればいいのだ!」
リーンハルトはサーシャに抱えられマーサ達の名前を呼び、泣き崩れる娘を見てからキツく目を瞑った。
そして再度開いた時は強い眼差しで王を見る。
「……残念ながら、今すぐできることはありません」
「……なん、だと?」
「今噴火が起きている状態で我々が動く事は不可能です」
「どういうだ!!」
「噴火による溶岩の速度は早く既に街に到達しているでしょう。今から避難の呼び掛けはしますが救出に向かうには準備も人員も何もかもが足りません。噴火から守るためのアーティスト4基と、城にある結界石以外の範囲は壊滅と考えられます。」
「……アーティファクト」
「王?どうされたのです」
リーンハルトの言葉にサラバンは床に足をつけ座り込む。それを険しい顔で見るリーンハルトやほかの貴族たち。
そこでサラバンからの衝撃的な言葉がこぼれおちた。
「……定期検査の時に二基のアーティファクトから不具合があった。金が足りず補修は後回しに……」
「なっ!!では、アーティファクトは二基動いていないという事ですか!!」
「そんな!一体どこのアーティファクトなの!?」
「まさか、我が家の近くのやつか、そうなのか……」
絶望が支配する。
皆が光のない目でサラバンをあるいは今は見えない自宅や街に目を向ける人々。
力が入らなく崩れ落ちて泣く女性や、恐怖に震える子供達。
「……今は出来ることを。サーシャ殿下申し訳ないのですがしばらくラヴィニアを任せてよろしいですか」
「勿論。私と護衛のフロリアンが傍に居ますので安心してください」
「……お願い致します」
先程の様子を見ていたリーンハルトはラティスにラヴィニアを任せる事など出来ないと、暴れるラヴィニアを支えるサーシャに任せカナリアを伴ってすぐに会場を後にした。




