プロローグ
貴族社会を理解しきれていない私の連載開始です。
おかしなところがあるかと思いますが優しく見てくださると嬉しいです。
剣と魔法が存在する異世界のお話です。
最後まで構成は出来ていて現在続きを執筆中です。
1日1話更新出来たらいいなぁ。無理なら2日に1回くらいは更新したいなぁ。
くらいののんびりペースで頑張ります。
ストックが無くなったら止まると思いますがよろしくお願い致します。
「王妃様!王妃様……」
国を支える王の妻が今まさに命の火を消そうとしている。
隣国にある大国から嫁いで来たまだ29歳という年若く美しかった王妃、アンナ・ジェット・カルチェは、高熱と食欲不振などによりげっそりとやせ細り見る影もない。
サラサラとした真っ白な髪はパサパサになり、同じくパサパサに乾燥した真っ赤な唇に、何とか水を流し込もうとするが、王妃はついぞ口に含むことはなかった。
ニコニコと朗らかに笑い、下々の話を良く聞く慕われた王妃の呼吸は、ゆっくりと止まり最愛の夫が駆けつけることも間に合わず、医師と侍女達にひっそりと見送られた。
自室に飾られた小さな白い花の束が風もないのに優しく揺れる。
それは王妃が好んでいた世界に1つ、ホワイトライティアと呼ばれる1年に1度花冠の日にしか咲かない真っ白な小花。
王妃の命の日が消えたその日、この小国の民が祝い街の広場では祭りがあり王城ではパーティが開かれる、通常では。
しかし、王も臣下も貴族も平民も、全てが悲しみに満ち溢れて静まり返る。
王城でのパーティの準備も、街のお祭りの準備も途中で投げ出し国全体が喪に服した。
今この国で、外で活動しているのは教会から派遣された花冠の聖地巡礼と呼ばれる祭事に訪れた聖女と騎士達。
祭りを行う広場から少し離れたホワイトライティアが咲き誇る場所に作られた祭壇に、一日休むことなく祈り続ける聖女と、聖女を護衛する騎士2名のみだった。
この小国にいる国民全員が、花冠の祭壇を想い描きながら母国の王妃の訃報に瞳を閉じた。
そしてさらに1年後、新たに王妃を迎える。
この国の男爵家の長女であるエリザベータ・アーティナル嬢、現在32歳。
豊かな金髪に青い目をした綺麗な女性だが、お披露目に現れた彼女の表情は無表情で、大きなお腹を片手で支えていた。
そう、妊娠していたのだ。無表情で支える大きな腹を撫でるでもなく、添えるように支えるエリザベータを王はとろけるような表情で見つめていた。
まだ、前妃が崩御されて1年
そんな状況での新たな王妃の様子に、言葉には出さずとも国民達は皆揃って前王妃を思い、静かに目を伏せたのだった。
お腹の子はそれから2ヶ月しないで生まれた。
男の子が生まれ王は皇太子の誕生に喜び、良くやったとエリザベータを労った。
「……おそれいります」
エリザベータは無くなった腹部の張りを手で撫でつけてから、渡された子供を優しく抱きしめる。
母の優しい笑みを浮かべたエリザベータは頬を寄せて言った。
「私の可愛い坊や、私の宝、私の命……よろしくね、母様よ」
エリザベータは横に来た前王妃、アンナの二人の娘をチラリと見たあと優しく微笑み2人に抱く子供を見せた。
「王女殿下、どうかお2人も我が子を優しく見守ってくださいませね」
まだまだ小さな二人の王女は、生まれたばかりの小さな命をドキドキと胸を高鳴らせて見つめ、もみじのような手を優しく握りしめた。
その思っていた以上の暖かな生まれたての子供に目を見開いた王女殿下達2人は顔を見つめ頷き合い口を開いた。
「はい、お義母様」
今から18年前の出来事。
この事から、この小さな雪国の運命は大きく傾き出す。