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第11章  第8話 名物

ご愛読、ありがとうございます。今日も何とか連続投稿できそうです。皆さんの応援が作者の原動力です。今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いします。



 サーラ商会の会議室では、俺、グラン、ステア、そして、レインと『サラマンダー』が集まっていた。


 ゆっくりと全員を見回した後、円卓の奥に鎮座するソフィが静かに口を開く。


「先日、お話ししましたように、この度、当商会では、『サラマンダー』関連商品を売り出すことに決めました。生産に踏み切る前に、皆さんのご意見をお聞きしたく思いますの」


 以前、レインの二匹目のどじょうを狙ったバランタイン伯が、大やけどして撤退した案件だけに、サーラ商会としても慎重にならざるを得ないのだろう。


 ソフィの脇に控えるエルが口を開く。


「『サラマンダー』の皆さんに合ったイメージカラーの商品を開発しました。本日は忌憚のないご意見をお願いいたします」


 続いてロイの案内で、食品の試食が始まった。俺たちの前のテーブルには、お菓子やスイーツが所狭しと並べられている。


 早速、パッケージを見ながらお菓子を試食。ポップコーンに、蜂蜜を絡めて固めたものや、米のパフをチョコでコーティングしたもの、コーンフレークを砂糖で固めたもの、饅頭、蒸しケーキなど様々なラインナップを味わう。


 ほとんどの商品は、それぞれ4種類の味が別々のパッケージで包装されている。包み紙には、4人の似顔絵が入ったかわいいイラスト付き。更には4人をイメージしたクレープや、ケーキ、パフェ、マカロンなど。


 ここに並ぶ商品のほとんどは、俺が元の世界のものをソフィに紹介したものである。この世界には無い食べ物も多く、俺とレイン以外、全員が目を輝かせている。


「……ん~! おいしい!」

「生きててよかった~」


 概ね好評のようだが、様々な意見が出た。


「赤のハバネロ味はちょっと……緑の抹茶味はおいしいんだけど」

「同じ味でも、色を変えるだけでもいいんじゃないか」

「蜂蜜味はおいしいですね」

「何で私のイラストだけ、こんなに勇ましそうなんだ。可愛く描いて欲しい」


 …………。


「せっかくですから、レイン様とカップリングバージョンが欲しいですわ」

「まあ、それでしたら、私たちもロディオ様とのバージョンも作りませんと」

「それ、すでに『サラマンダー』じゃないし」

「いっそのこと、男子4人バージョンを作れば売れるかも」


 ……あれ? 話が微妙にずれてきたような気がする。



「そういや、注文していた銅像が出来たんだ。気分転換に見に行かないか」


 俺の言葉に皆が頷く。収拾がつかなくなってきたので、クールダウンが必要だろう。休憩を兼ねて外に出ることにした。


 サーラ商会本店を出て少し歩くと俺が独立宣言をした場所に出る。通称『独立広場』が見えてきた。


 広場の一角には、工事中の幕が張られている。全員で中に入り、設置された『サラマンダー』の銅像を点検することにした。


 今回、商会から売り出す『サラマンダー』関連商品は、この銅像の除幕式に合わせて販売を開始する予定だ。


 ユファイン公国の初代騎士団長が在籍していた冒険者パーティーを称えるものなので、来賓も呼んで、立派な除幕式にしたい。


 銅像は、昨日やっと工事が終わったばかりで、皆初めて見ることになる。サラが代表して等身大の4人の銅像に掛けられていた布をゆっくりと剥がす。


 …………。


「何か、私は、あまりかわいくないようだが……」

「私はもっと細いですわ」

「もう少し小顔がいいです」

「いくら何でも背が低すぎますです」


 当事者以外は内心、銅像の出来に感心していたのだが、本人たちが、4人とも不満そうだったので、誰も感想を述べることはできなかった。


 ただ一言、俺がこう言ったのみである。


「それぞれの正しい姿に直してもらおう」


 当然という顔をしている4人。この際、本人たちが気に入るように、多少のデフォルメ……。

いや、あくまで“正しい姿”に4人が納得できるまで直してもらうことになった。



 後日、本人たちとは似ても似つかぬ銅像が出来上がった。


 除幕式でも参列者からは、誰一人、何の銅像か気付かれなかったが、『サラマンダー』の皆さんは、すこぶる満足そう。俺は胸をなでおろした次第である。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前回はスミマセン。 マリアちゃんに対して悪意は無いんですが……どうしてもプッツンした、前回の彼女の言動を読むと、酒飲んだ時の祖父がちらついて(~_~;) [一言] いっその事、転生社畜…
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