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一 老いた子供
気が付けば、弁当箱の中身は空になっていた。
最近大きくなった腹に手を置いた。
何かの胎児でもいるかもしれない、そんなことを想像してしまうほどに立派に成長した腹を擦ってみた。
気が付けば立派な中年。
人生も半分が過ぎていた。
幾つかの成功と幾つもの失敗を経験した。
恋愛もしたし結婚もしたし中古とは言え家も購入した。
一人とは言え子供もいる。
ただ、思う私は大人なんだろうか?
中年にもなって今更感満載だが、昔の自分と今の自分の差違があまりにも無さすぎて、大人になったという認識が今も持てないでいる。