閑話 ローゼ視点
キャラクター作成後
「ソルいい人だったなぁ。何より眼鏡外した時のギャップが… ついつい聞かれちゃったから、私と同じ青色の髪をオススメしちゃった!」
今回〖AWO〗の第1陣は1万人だった。その1万人のキャラ作成のサポートのために用意されたのは妖精が100人だった。
この世界において、妖精とは唯一の神である創造神の神使である。創造神はゲームの運営が務めているため、妖精はもっとも高性能なAIが搭載されているNPCであった。そのため、妖精はゲームに置いてほぼ全ての情報を与えられており、キャラ作成時において質問された際に開示していい情報はかなり厳しく制限されていた。その制限の多くはこのゲームの重要な要素であるスキルに関してであった。しかし、スキルの説明を見れば分かる通り、スキルに関しての情報はほとんどない状態である。そうなった場合、多少の情報を持ち、特典としてアイテムを3つ引き継げた250人のβテスターがかなり有利である。βテスターは『鑑定』や『識別』といった一部のスキルに関してはβテストが終わった段階でゲーム外の掲示板などに掲載していたが、当然隠している情報もある。このままでは、βテスターばかりがイベントなどで上位を独占してしまう可能性がある。それは運営としてはとても面白くなかった。その対策として、妖精に気に入ったプレイヤーに対してだけ情報を少し開示してもらおうと思った。しかし、どこまで開示するかの判断が難しかったため、運営は遊び心として以下の権限を妖精に与えた。
それは、自分が担当した100名のプレイヤーの中で最も気に入ったプレイヤーについて以下の3つの条件から1つの権利を行使してもよい。ただし、ランダムで取得することを誘導してはならない。というものであった。
・スキルの取得をランダムにした際、ランダムにしたスキルのうち1つを初期スキル一覧に記載されたものからランダムではなく、妖精が初期スキル一覧の中から選択した5つのスキルからのランダムに変更してもよい。
・スキルの取得を10個全てランダムにした際、10個のうち5個のスキルを妖精が初期スキル一覧から選び、残りを初期スキル一覧からランダムに変更してもよい。
・スキルの取得を10個全てランダムにした際、10個のうち9個を初期スキル一覧からランダムにし、残りの1個を初期スキル一覧に記載されていないスキルも含めSP2以下で取得できる全てのスキルの中から妖精が選んでもよい。
「ソルのスキル構成ならあのスキルがあれば完璧なんだけど… まぁあの5つの中からならなんとかなるかなぁ」
ローゼは気に入ったソルに対してしっかりと権限を使用していた。
実際、ローゼ以外の多くの妖精も権限を使用したいほど気に入ったプレイヤーはいた。しかし、対象の多くのプレイヤーはランダム取得を選択しなかったため、権限を使用できたのはローゼ含め8人だけであった。
上記の権限には公平性のため、βテスターも対象ではあったがβテストでスキル構成をしっかり決めているため、スキルをランダムで取得した者はいなかった。