kabbalah
カバラ
数字錠
富籤
経年数
陰唇の直径
陰茎のπ、φ
交際した日数
やった、かいすう
娑界のあまた毒蛇を数値化して
さらにまた、おもい、わずらう、
得策では無いかもしれない、
文学的存在としてアスファルトに
つったち、つきささり、そそけだち
ブルーがかる産毛ぶるり震わして。
文学的感傷そのことそのものや
数を
吐瀉したり
また、吐瀉した
数に
耽ることは。
虚数と暗数
青みあるそれら、てのひらに
まろばすとき、
サタンの指紋にまぶれるとき、
わたくしは、
こう考えるだろうか。
肉は紙の二重存在にすぎないと。
その紙や肉にふれれば
魂はぶるりとふるえるし
しかも眼球もふくめて
捻転するので
捻転が直るおりの
反動を感動と呼ぶのかと。
アスファルトのかげりは
春夏秋冬のうつろいのせいじゃなく
むしろ
心や眼球のねじれのせいじゃないか
と。
仏陀のとくように
霊魂は存在しないが
仏陀のとくように
わたくしの目も口も鼻も肌も
火柱となりて
とりわけ
眼球は燃えながらに
ねじれているのだから
その痛みそのことそのものを
ことさら
カバラの
数に替え
黄金に替え
蛇の毒に替え
わたくし自体が
すべてすべて
ごちゃまぜないっしょくたな
吐物と、げろと、
化すのは
むしろ竹を割ったうつくしさ
ではないか
と。
了。