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99.錬金術師見習い4

 翌朝は早くから起き出して師匠とカンナさんの朝食を仕込んでおきました。私達は出発しちゃってるからね。と思ったらカンナさんが起きてきました。


「ん~? なんだ? どうしたんだ?」


「採取に行くんです。ヌルニュの繭採りに! ちょっと遠いので直ぐ出発しちゃいますので朝食仕込んでおきましたので師匠と食べて下さいね」


 ふわぁ~と、あくびをしながらぼりぼりとお尻を掻いています。もちろんネイちゃんはしっぽにじゃれついてますよ。あう。私もモフりたい。


 カンナさんは私から聞き出すとそのまま自分の部屋に戻ってしまいました。はて、どうしたんでしょう?


「よし。これネイちゃんの分。出発しよう」


 ネイちゃんに朝食用のサンドイッチを渡して、食べながら出発です。ポンチョも着込んでいますから濡れる心配もありません。


 モグモグ食べながら西の街門で衛兵のおじさんに挨拶します。


「おっちゃん。行ってくるね」


「おう。おっちゃんじゃねえ。まだ20代だって、お前らから見たら20代も30代も変わらねえか……。今日は随分早ええじゃねえか? 気を付けて行って来いよ」


「うん。ヌルニュの繭採りに行くんだ。ありがとうー。じゃあね~」


 手を振って元気に出発します。後でおっちゃんが何か言ってましたがよく聞こえませんでした。まあ、大したことは言って無いでしょう。


「お、おい。って行っちまった。ヌルニュって言やー、森の浅層でも奥じゃねえか」


「心配ないぞ。あたしがコッソリ付いて行くからな」


「うおい。びっくりした。カンナか!? なら大丈夫か。お前良い匂いさせてんな? 焼き立てパンにその鍋はスープか?」


「ああ、こいつを失う訳にはいかないからな。ふふ、それ! 差し入れだ。このパンとスープ、柔らか干し肉をあいつらが仕込んでくれてんだ」


「すまねえな。おお! 美味いな。このパン。この挟んであるのが干し肉だって? ちょっとそのスープも飲ませてくれ」


「ふふ、じゃあな。見失っては元も子も無い」


「おい! カンナ! って行っちまった。うめえー」


 なんて会話がされている事なんて気付く事はない私たちでした。ネイちゃんと2人で西の草原を走破して森に突入する所です。


「森に入る前にお茶しとく?」


「……もぐもぐ。スープほしい」


 だよね。サンドイッチだけじゃ口の中がパサパサだよね。大木の根元で手早く焚火を焚いてスープにお茶をして温まりました。


 改めて出発です。森の中では採取しながら奥へ奥へと突き進みます。


「おお! お高い品発見! ああ、あっちにも……」


「……タエ。全然進んでない」


 ……いけない。つい、お高い採取品に気を取られてしまいました。何時もは師匠がサッサと採取してしまうので自分じゃ採れないんだよね。自分で採るとまた喜びが違ってつい夢中になっちゃう。


「……さあ、ヌルニュの繭採るよ」


「……また誤魔化して」


 だんだんネイちゃんの私に対する評価が下がってきている気がする。昔はかわいかったのに……。お姉さんは悲しいよ。


 昔って半年くらい前だけど。評価落ちんの早いな! 解せぬ。


 とまあ、なんやかんや時間を喰いながらもかなり進んできました。狩りは行きの間は避けるようにしていました。荷物になると重いからね。今日はマジックバッグ持ってないから。


 帰りに狩る予定です。なのでここまで来る間に戦闘はゼロです。タグを見ながら避けてるからね。絶対に遭遇戦なんてしません。


 勿論スキルの警戒も発動してますが……索敵範囲と同様まだまだなのでかなり近づかれないと気付けません。さらに隠密だか隠身のスキル持ちは全然分からないんだよ。


「さて、そろそろお昼にしようか? お腹すいたよね?」


「……減った~」


 もうそろそろ採取地に着こうかと言うところまで歩き詰めだったからお腹も減ると言うものです。そこそこ森の中に分け入っているので地面を魔法で焼いておきます。


 毒虫とか蛇とか気持ち悪いのが居たら嫌なので。腰に付けてる虫除けを外して虫除け薬を多めに入れて周辺の木にぶら下げます。ネイちゃんも同じ事をしているよ。


 ぽっかりと地面が見えている所に竈を作って、お昼の準備にかかります。テキパキテキパキ。最近は何も言わなくても役割分担が出来ているのでサッサと準備が整うんだよ。


 あ、お肉狩って無い! お肉なしでも平気かなっと思いながらネイちゃんの様子を盗み見る。じーっとこっちを見てる~。お肉ないの気付いた!


「え、えへへ。お肉狩るの忘れてた。なしでもいい?」


「……ない」


「へ?」


「……ありえない」


「だ、だよね。じゃ、じゃあ。狩りに行こうか?」


 ここまで来ると単独行動では危ないので一緒に行く事になる。その時ボトボトボトと頭上から獲物が降って来た。


 しかも血抜きもしっかりとされ、枝肉になった状態でだ。さも直ぐ焼けと言わんばかりに。


「おや~?」


「ふふぉ~~~」


 不思議には思うがネイちゃんが非常~に喜んだので、気にしないようにしながら天の恵みを頂く事にした。勿論毒消しポーションの有無は確認したよ。大抵の毒は何とかなるから大丈夫でしょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きを楽しみにまってますが、新作始めてもいいのよ。
[一言] 更新、有難う御座います。
[一言] 待ってたわよw
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