98.錬金術師見習い3
感想・誤字報告有り難うございます。
大分間が開いてしまいました。すいません。この後もまた開いてしまいそうですが、気長にお待ちいただけると助かります。
ヌルニュの布を作るためにヌルニュの糸の採取に行く。どうやって採るのかという問題がありますね。でも大丈夫です。ちゃんと冒険者ギルドで調べました。
ヌルニュの糸を採るには繭を採ってくればいいのです。繭には2種類あるらしいです。1つはヌルニュが変態するために作る繭。
もう1つは獲物を捕食するための繭です。狙うのは後者の捕食のための繭です。なぜかと言うとですね。ヌルニュが変態するための繭だと中にモニュラが居るってことで危険なんです。
モニュラと言うのはヌルニュの成体です。大きな蛾です。ヌルニュもそこそこ強い魔物ですが、モニュラになるとさらに強敵なのです。
だって! 空飛ぶんですもん!
正直言うとヌルニュでも私達だけじゃ討伐は無理かもしれません。Dランクの魔物なのです。でも今回は採取なのでちょっと無理しても大丈夫かな……と。
私達はEランクに上がったのでDランクの依頼まで受けることが可能です。受けることが可能であって完遂出来るかは別です。でも一応完遂出来る可能性があるから受けられるんですけど……。
Eランクに上がったばかりの駆け出しとEランクでもベテランでそろそろDランクが見えて来ている駆け出し卒業間際では実力が天地とまでは言いませんが、結構離れてたりします。
Eランクに昇格したばかりですけど、私達はスペルユーザーですので実力的には真ん中辺かな~と思っていますけど経験が全然足りません。
と言うかこの辺のランクだと経験が全てですね。どこに行けば何があるか、この魔物はどうやって斃すのか、どこが稼げるのか、何が危険なのか。そいうのを実際に知っているか知らないかで生きて帰れるか帰れないかが決まってきます。
Dランクまで来ると今度は実戦での能力が問われてきますけどね。いくら弱点を知っていてもそこをつけない、攻撃が通らないでは話にならないですもんね。
おっといけない。今回は錬金術師として行くんだった。冒険者じゃなかったですね。今回は採取なので防御結界を張ったまま狩り場に突入して適当な繭を採って逃げてくる簡単なお仕事です。
私とネイちゃんの魔力量なら余裕で採ってこられるのでそんなに心配はしていません。えへん。
と言う事で結界を張る勉強からです。……勉強からかい! と思わなくもないですが、一応復習です。魔術大全3巻なので現在勉強中なのです。
「一応結界の魔法復習するけど、ネイちゃんは2種類あるのは知ってるよね?」
「……うん。魔法結界と物理結界」
「そうそう。そんでもっと勉強して行けば、万能結界もあるんだけどこれはまだ難しいから置いといて、2人で別々の結界を張るつもりです」
「……おお。タエ、天才!」
「えっへん。まあ、このくらいは私にかかればってそうじゃなくて、ヌルニュの攻撃がどちらか分からないから取り敢えず両方防御しておこうって話ね」
「……うん」
「どちらか確定した段階で物理か魔法結界に絞って対策します。そうすればもっと長い時間採取出来るからね。でも最初は2人とも両方の結界魔法を覚えます」
「……理解した。でもネイちゃん、既にできる」
「!!! えっ! もうマスターしてるの!? 何時の間に!」
「……元々、里に居た頃から練習してた。子供は防御優先」
くっ! 魔法優遇種族の特典か! 仕方ない、直ぐにわたしも覚えなきゃ。
と、まあ実力差を見せつけられたけど、既にできるネイちゃんにつきっきりで教えてもらえるので2刻ほどで覚えました。うがー、2刻……2時間くらいだね。長かった。限界ぎりぎりだったよ。
「……タエ、集中力なさすぎ!」
うん。ごめん。教えてるネイちゃんの方が根気強かったよね。でも仕方ないんだよ。子供なんだもん。脳が子供なんだよ。
「今度、師匠に柔らか結界も教えて貰おうね?」
「……誤魔化した」
細かい事は忘れようよ。覚えたんだから良いじゃん。さてさて、ヌルニュが居るのは西の森浅層でも奥の方です。やや南寄りの方に生息地があります。
一応日帰りできる辺りなので、頑張って行こうと思います。今日は練習で時間を喰ってしまったので明日の朝出発するとして今日は準備に費やしましょう。
朝早く出るので、朝食は持って行くでしょ。お昼も途中で取るし、帰りには夕食もあるから3食分だね。あと休憩もあるから軽食も3食位かな。
スープとお茶は現地で作るから、材料だけと。簡易お鍋で良いかな? ちゃんと片手なべ持って行こうかな? あ、そうそう。万が一の場合に備えて保存食と干し肉も持っていかなきゃ。
あとは、おやつだね。え~とあとは……。
「……タエ。食べ物ばかり」
ち、違う! これから他の物も考えようって思ってたんだよ。え~と。採取用のナイフとか武器と防具はいつも通りだし、日帰りだからテントもいらないし、……あれ? 食料以外いつも通りでいいんじゃね?
「……雨季だから雨季対策も必要」
「あ、そうそう。そうだよ。そうだと思ってました」
「……途中で採取もするなら、マジックバッグも借りるの?」
「え~と。そうか。小さい奴借りようか? アイテムボックスは1個しか入らないし、杖を収納するよね? そうすると角金貨の保証金も準備しなきゃだし、貸出料っていくらだっけ?」
「……銀貨2枚。角金貨は師匠に借りる? ネイちゃんお小遣いない」
「だよね。私も無いや。……今回はそれ程採取する時間も無いからマジックバックは諦めよう。全部担いで帰ってくるよ」
「……了解」