95.激闘の果てに
誤字報告有り難うございます。
終わってみれば泥仕合でした。たかがリトルボアごときに! くすん。装備が良いのでそこまで怪我はしていません。ドロドロですけど。
「まあ、ギリギリだったけど討伐成功でいいんじゃね?」
「ふむ。毛皮も……手袋くらいなら使えそうだ。ランクアップは……査定次第だろうな」
「なに、だいじょうぶ、だいじょうぶ。カンナさんが保証してやるって。ギリギリだけど」
「じゃあ、反省会といこうか。まず属性違いなら連射出来る事に気付いたのは褒めておこう。もう一歩踏み込んで全弾まとめて撃てるようなら最良だったな」
ん? 私達の秘技だよね? ……秘技じゃなかった? 既知? さらに続きもある? なんてこった!
「問題点はそこじゃないじゃん。なんで止まって攻撃する? ドンドン動きまわればいいじゃんか」
おお~。カンナさん頭いい。そうか、1回ずつ動けばいんだ。そうだよね。言われてみれば……。
「まず、9発ずつ。まとめて初級魔法を撃ち込む。これで大半が仕留められるな。その後弓と飛斬で削りながら仕留めるのが一番スマートだろう」
「じゃんよ。ちゃんと動けば、無傷で勝利できるはずさ」
な、なるほど。ズタボロの状態でのお説教は身に染みるよ。くすん。その後洗浄と乾燥ですっきりさせてリトルボアの解体だよ。
お肉とかはカンナさんが持ってくれたし、小さく切った布に湿布薬を塗って貼ってくれたのは師匠です。お尻はちょっと恥ずかしかったけどペロっと捲られて貼られました。
リトルボアも斃したので帰路につきます。帰りもお高い採取はしていきますよ? 多少ダメにしてしまった素材もあるので補充します。
師匠達にあげる分は持ってくれるので大猟です。小物が多いですが獲物は獲物です。調理次第で美味しく頂けます。
西門をくぐって街に帰還しました。大通りを通って冒険者ギルドを目指します。扉を開け冒険者ギルドに入ると直ぐにウェンディーさんと目が合いました。
「また、やられちゃったの?」
失礼な! いつもやられてません。ズタボロにされてますがちゃんと斃してます。今回は大分ましです。
「いや、ちゃんと討伐しきったぞ。ギリギリだったけどよ」
「ほ。そうなんだ。じゃあ、査定が楽しみだね」
うぐっ。それ程楽しみじゃありません。ドキドキします。クズ扱いされてゴミ箱行きになりませんように。
ギルドに併設されているショップで小瓶をいくつか購入し、採蜜花の蜜も搾っておきます。査定がプラスになればいいなっと。
買い取りカウンターに並んで順番待ちです。ボロボロの毛皮は最後にしようかな。まずはお高い薬草類。小物だけど一角ウサギや野鳥、ここで採蜜花の蜜も出します。
査定のおじさんの目がキラリと光りました。すかさずこっそりとリトルボアの毛皮をドサッと出します。おじさんの目が残念そうに光りますけどゴミ箱行きにはなりませんでした。
査定結果の札を貰ってウェンディーさんのところに戻りました。札を渡してリトルボアの討伐依頼書も渡します。
ドキドキ。
トントンとハンコが押されて討伐完了です。終わった? 討伐クリアですかね?
「はい。討伐依頼完了です。お疲れさまでした」
おぉ~。そんでランクは? ドキドキ。ドキドキ。
「ギリギリですけど規定値に達しました。昇格おめでとうございます。Eランクです」
や、やった~。
「ネイちゃん、やったよ。昇格したよ」
「……うん、うん。Eランク。ステキな響き」
「おお、おめっとさん。今日はお祝だな」
「ふむ。なんとかなったか。冷や冷やしたぞ。マリーの所でも行って祝杯だ」
その後はマリーさんの所に行って飲めや歌えのドンチャン騒ぎだよ。私達はお酒はまだ駄目なのでジュースだったけど。
すっぱ~。改善方法教えてなかった~。
一夜明けていつも通りの日常。今日からはEランク冒険者。
……違った。何時も通りじゃなかった。今まで休んでいた分の錬金術講座がスパルタで押し寄せて来た~。
冒険、冒険行ってみたいよ。Eランクの依頼、何があるんだろう。気になってるのに!
あれから3日。まだ錬金術のスパルタは続いています。その間に雨季に突入したみたいです。部屋の中なので関係ありませんが外はザアザア降りの雨です。
ああ、もう。お外行きたい、行きたい、行きたい。もう勉強は嫌ですよ~。カンナさんが雨よけのローブを着て今日も冒険者ギルドに向かってます。
雨季は視界やら匂いやらが制限されて大変なんだって。けが人も多くなってギルドの回転も悪くなるそうです。
カンナさんもこの時ばかりはフル活動です。全然かまってくれません。師匠~、私達の事は良いから自分の勉強していいですよ?
「さあ、今日は錬金術大全3巻までの試験だ。8割で合格としよう」
「合格したらお休みくれます?」
「ふむ。そうだな。一時休憩くらいは良いか」
「やったー。ネイちゃん絶対合格しようね」
「……うん」
無事合格を貰えましたとさ。