91.リトルボア対策4
誤字報告有り難うございます。
評価など頂けたら幸いです。
「どうどう。落ち着こう。ネイちゃん。もう敵は斃したよ!」
「……フ~、フ~」
怒った猫みたいにフーフー言ってます。一角ウサギ1匹相手にやり過ぎです。周辺の惨状に頭を抱えたくなりました。どうすんだこれ!
取り敢えず今日のお昼はゲットと遠い目で思う事で現実逃避してみました。
「……敵、殲滅完了。ふー」
現実は直ぐに追いついてきましたよ。どうやら一応は落ち着いたみたい。あまり追い詰めない様にしないとと思う今日この頃です。
「よーし。門の方からもこの騒動は見えただろうから衛視が来る前に片づけよう」
焦げたり凍ったり、果ては酸の水溜りとどうするべと思うがピンときた。さっきまで泥遊びしてたんだった。うん。大規模に泥遊びしちゃおう。
初級の土魔法と水魔法、生活魔法も使って人が来る前にぐちゃぐちゃにかき混ぜれば誤魔化せないかなー。
「ほら、ネイちゃんもフーフー言って無いでかき混ぜて」
「……うん」
完全に落ち付いたみたいで良かったけど、門の衛兵さんが様子見に来る前に逃げ出そう。きっと誤魔化せない気がして来た。
グチャグチャにかき混ぜて証拠隠滅完了。あとはスタコラさっさと逃げ出そう。
「ここまで来れば見つからないよね。もう、ネイちゃんやり過ぎ」
「……ごめんなさい」
「ふ~。そろそろお昼時だね。さっきの一角ウサギでご飯にしよう。私が焚き木集めて来るからあとよろしく~」
焚き木を集めて戻ってきたらもう一角ウサギは捌いてありました。竈も出来ていたので着火。採取グッズの小鍋に清水でぬるま湯を出して火にかけます。
最近ぬるま湯を出せるようになりました。ネイちゃんに追いついたかな? 野菜とハーブ胸肉なんかもぶち込んでスープにします。灰汁を取りつつ塩で味付け隠し味はガリック醤油。
お肉焼きはネイちゃんがやってくれてるので串焼ともも肉の焙りだよ。あとはパンを出して焙ったら簡単お昼ご飯の出来上がり。
暫く2人で無言で食事。何時ものことだけど食事中はネイちゃんが真剣だからお話はあまりしない。最近ようやくネイちゃんもやや余裕が出て来た感じかな。違うと思いたいけど盗られないと言う事が分かって来たらしい。
「さて、ネイちゃん。先ほどの暴走で悪い事ばかりじゃなくいいことも気付いちゃいました」
「……うん?」
小首をかしげてなに? ってな具合に聞いて来るネイちゃんもかわいいけど、当初の目的忘れちゃってるよ。まあ、私も忘れて泥遊びしちゃったけど、クゥ~。子供の体に引っ張られて脳が退行しちゃってる感ありまくりです。
もうそこは仕方ない。肉体年齢に引っ張られるのは正直どうにもならないから。そうじゃなくて気付いた事だよ。
「ネイちゃん、魔法連射してたよね?」
って言う事だよ。バンバン撃ちまくってたよ。どうやったんだよって聞きたい。
「……。……。……ん?」
あ~もう、かわいい。そうじゃなくって、ここは答えて!
「色々な魔法撃ってたよね? 覚えてるよね?」
「……うん。色々撃った。憎き敵。泥団子の敵とった」
うん。とったよ。今食べてるもん。美味しいよね。ありがとう、そしてごちそうさま。
「普通連射出来ないじゃん。ファイヤーアロー連射出来ないよね? さっき試したから知ってるでしょ? でもいっぱい撃ってたよね。どう言う事だろう」
「……ファイヤーアロー連射出来なかった。怒ったらできる?」
可能性としてはなくはない。ないけどこの場合は違う気がする。どこかの戦闘民族じゃないんだからいきなり黄色い髪の毛……いや、ネイちゃんは金髪だけど、そうじゃなくって光って黄色くなるやつだよ。
あ~もう、前世の話はもういいんだよ今、今の事。同じ魔法は連射出来ないんじゃないかと思ったわけですよ。まあ、きっと魔力操作とか魔法制御とかも関係してて、同時に操るには制限もあると思うけどネイちゃんは10発以上撃ってましたよ。
まあ、連射と言うほどではなかったけど、止まらずに次の魔法は発動してた。連射と言うとマシンガンみたいなのを想像しちゃうけどそこまでじゃなかった。
打ち上げ花火位? ヒュ~ドン、ヒュ~ドンくらいにはなってたと思う。そうじゃなきゃ一角ウサギも避けられなかっただろうしね。
「違う属性の魔法なら次々に準備して撃てる!」
私は拳を握りしめて力説してみた。ネイちゃんの反応は……うん、お肉食べてるね。まあ、食事中だったから仕方ないや。
複合魔法だの属性がよく分からない奴とかは置いといたとしても、地、水、火、風、光、闇、無の7種類はいけるんじゃないかと思う訳です。ついでに氷と雷もいけるかも位。
さらに! リピートアフターミーじゃなくてリピートできたら無限連射も夢じゃない。問題はネイちゃんを見ていて思ったんだけど、狙いが付けにくいかもと。怒りに我を忘れちゃって狙いが甘くなってただけならいいんだけど……。
と言う事で午後からは初級呪文を連発しながらのレベル上げと色々な魔法を撃つ練習をしようと思います。それにこれなら飽きも来ない……筈。