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9.鍛冶屋

評価とかブクマとかして下さるとうれしいです。感想お待ちしております。

 ワイルドファング戦の翌日、私は休養だよ。お腹をしこたま薙ぎ払われたから大事をとってね。おばぁの所で湿布を買ってお腹に巻いてるところ。これが臭いんだよ。


 休養だからって動けない訳じゃないからヨロヨロしながらも鍛冶屋に向かってるところ。鍛冶屋のおんじはあんまりしゃべらないんだけどギロリと睨むから村の子供達からは怖がられてる。


「……こ、こんにちは~。おんじいる?」


「……」


 当然のように作業の手を止めてギロリってやって来るんだけど、怖いって。折れたナイフを見せると首を横に振って屑鉄置き場に放り投げちゃった。


「そ、それで~。ワイルドファングが相手でも折れない採取用のナイフ下さいな」


 なんて事を言ってみるとくわぁと目を見開いて怒られた。


「そんなもんあるか!」


 おお。久しぶりにおんじの声を聞いたよ。いや、いや。違った。だよね。そんな採取用のナイフ聞いた事無いもの。きっとミスリルとかオリハルコンとかなら行けるだろうけど、そんな金属こんな限界村落にある訳ないよね。有っても買うお金が無いけどさ。


「じゃ、じゃあさ。普通のでいいよ」


 またまたおんじがギロリってするから怖いって。私を上から下まで嘗める様に眺めてからちょっと大ぶりの採取用のナイフを渡してくれた。


 うん。普通の鉄のナイフ。刃の厚みがあるから結構頑丈だけどその分重い。鉈までは重くないけどこれでちまちま採取とか結構腕に負担が掛るよね?


「おんじ、これじゃあ、重いよ。採取の時に辛いもん」


「……」


 今度は小ぶりのナイフ。何時ものやつだね。結局これになるのか~。猪相手にはどうにもならないんだよね。


「あ、あのさ。ワイルドファングに止めを刺す時どうしたらいい?」


「……」


 今度は鉈を取り出して来て私に渡すんだけど……重過ぎる。両手でも満足に振れないよ。


「む、無理そう」


 私からナイフと鉈を取り上げてしまいました。


「明日また来い。造っておいてやる」


 おお。なんかおんじがやさしい。なんか造ってくれるらしいけど所詮限界村の鍛冶屋だからね。そんなに大したものは期待できない。


「じゃ、じゃあ、明日また来るよ。じゃあね」


 あっさり用事が片付いちゃったからその日は消費した矢を作り直して一日終わっちゃった。ワイルドファング戦は出費が嵩むな~。


 最近は畑仕事はお母さんとお父さんだけ、妹は私の指示のもと薬草を採取してる。スパルタで鍛えてるところだよ。妹もいい所にお嫁に行くためだから根性見せてる。


 もっとごりゅごりゅしてとかこの葉っぱは質が良くないとか綺麗に洗いなさいとか仕込んでるところ。一応上質な粉末まで作れるようになってきたよ。


 2か月に1回くらいの割合で行商のおじさんが来るんだけどこの粉末薬草は好評だよ。かさばらないし結構な高値で売れるからね。


 初めて売る時にちょっと小細工してみたんだよ。まず薬瓶はいくらか聞いて1瓶買ってそれに粉末を詰めて再度持って行ったんだ。


「おじさん。薬草の粉末買ってくれる? おばぁの高品質保障付きだよ」


「へぇ~。お弟子さんかな? それなら120リンでどう?」


「おじさん。冗談はやめて。そんな安値で売れる訳ないでしょ? 300リンよ」


「そんなに出したら足が出てしまうよ。150リン」


「そう。おじさん子供だからって足元見るのね。なら村長の所に行ってくるわ。この行商さんはボッタクリだって」


「ちょ、ちょっと待って。分かったよ250リンでどうですか? お嬢さん」


「瓶代なしならいいわ。じゃあ、後2瓶貸して詰めて持って来るから」


 なんてやり取りをしたんだよ。それからは適正価格で買ってくれるようになったからこっちも正直に品質申告はしてるよ。


 妹も順調に稼ぎ出したから私が少し休んでも大丈夫。翌日にもう一度鍛冶屋のおんじを訪ねると新しく打ったナイフを渡された。


 そのナイフは黒光りするサバイバルナイフみたいな奴だったよ。どうやら焼入れまでしてくれたみたい。鋼と言うほど炭素量は多くないみたいだけどこれが限界だって。


 いい出来よね。まさかここまでやってくれるとは思わなかったよ。街に行けばもっと良いものがゴロゴロしてるんだろうけどこの村じゃ最高の一品よね。


「2000リン」


 思わずえっ? ってなっちゃた。普通の鉄のナイフの数倍の値段なんだもん。いや、分かってるよ。武器とかそういうのが高いってことは。2000リンでも安い武器なんだよね。


 結構痛い出費になったけど命には代えられないじゃない? そんだけワイルドファングが脅威だったのよ。


「今度ワイルドファングとやり合う時は斬るな。突け」


 おんじが最後にそう忠告してくれた。新たな私の相棒を腰に差して家に帰りました。家で妹が凄く羨ましがってたけどあんたも稼いで買いなさいって言ってあげたのに、うーんでもあたし猪とは戦わないからとか言われました。


 そりゃごもっともで。

以下にこんなのも書いてます。よろしかったらお立ち寄りください。

 異世界農業物語~異世界で農業始めましたーhttps://ncode.syosetu.com/n0558dz/

 異世界転生苦労譚~異世界だって甘くない~https://ncode.syosetu.com/n3637fl/

 エルフ賢者の子育て日記―https://ncode.syosetu.com/n5068fk/

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