表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/111

84.ランクアップ試験

誤字報告有り難うございます。

 病み上がりなのでリハビリ兼実益を兼ねてズキ草の採取に来ています。根っこごと採取なので最近は手早く出来るようになりました。


「もうそろそろ雨季ですね~」


 そうなんです。この地方の雨季はスコールの様に降る時は一気に降ります。そろそろ雨具を用意する必要が有るでしょうか。


 今もシトシトと霧雨のような雨が降り、いつ本降りになるか分からない様な状態です。これでザーと来れば雨季なのですが来ないのでまだまだ雨季にはなっていないのでしょう。


「ネイちゃん、雨具買いに行こうか? 霧雨でも結構濡れるから気もち悪いよね」


「……うん」


 まだ午前中ですが、狩猟は諦めて早々に引き揚げる算段をたてます。師匠に弟子入りして衣食住の心配が無くなりましたので宵越しの金を持つ必要も無いのでここはパーっと使ってしまいましょう。


 どちらにしても雨具は買いますけどね。雨季だろうと何だろうと毎日採取に出かけなければ食べてけないのですから必需品でしょう。


 自分達用と工房の分さらに冒険者ギルドへの納品分のズキ草を採取して乾燥させます。ギルド用がちょっと面倒になって来ました。だって葉っぱしか納品できませんから。


 内緒なので仕方ないのですが、功績値を稼いでおかないといつまで経っても見習いのままなので地道に常時依頼での納品で稼いでいます。


 粉末にしてしまうと薬師ギルド扱いなので乾燥までで止めておきます。意外と縄張り争いが面倒です。ギルド間の駆け引きが有るのでしょう。


「自分達と工房の分はアイテムボックスに仕舞って隠しておこうね。頭」


 ガン!


 そうです。ネイちゃんにもやって貰ったら出来ませんでした。人間の無意識って恐ろしいです。絶対頭と言われると頭を思い浮かべますって。


「ネイちゃん、ガンバ」


 両手で頭を押さえながら涙目になっています。仕方ないのです。危ないので練習は必要なんです。ラノベとかで普通に使いこなしている主人公とか羨ましいです。


「……頭」


 ガン!


 くっ! もちろん私もまだ習得していません。痛いです。最近師匠とかカンナさんも面白がってやるのです。金だらいもボコボコになってきました。金だらいを持って冒険者ギルドに帰ります。


「え~と。金だらい? あれ?」


 受付嬢のウェンディーさんが困惑しています。納品に来たのですが、片手に金だらい、片手に納品用の雑納袋ですからそりゃ困惑するでしょう。


「ズキ草の洗浄用です。気にしないで下さい」


「そ、そう? なんでボコボコなんだろう……。まあ、いいわ。う~んとそろそろいいかな~。君達初心者講習も終わってるしランクアップ試験受ける?」


 おお。とうとうこの時がやってきましたか。見習い卒業ですね。これからはEランク! 駆け出し冒険者です。これ以上に上がるには12歳を待たねばなりません。


 私は来年、ネイちゃんは再来年です。見習い錬金術師でもある私達ですが、これはまあどうでもいいです。衣食住を確保するための方便ですから。……ええ、師匠が厳しいので勝手に上がります。


「もちろん受けます」


「普通ならゴブリン討伐なんだけど、苦手の克服がランクアップ条件なのよ。採取は……問題ないわね。丁寧に採って来てるものね。となると……あら? ゴブリン討伐も終わってるのね。じゃあ、リトルボアでいいかな。そうしましょう」


「「……」」


 あれ? リトルボア? あれは拙いです。鬼門です。今だ無傷での討伐に成功したことありません。ボコボコにされてどうにか討伐です。


「え~と。ゴブリンでいいですよ?」


「ん? ゴブリン問題なく討伐出来てるわよ? この間魔石持ちこんだでしょ? それに比べて記録ではリトルボアの持ち込みで毛皮がボロボロだったりしてるのよ。ゴブリン斃せるならリトルボア簡単でしょ?」


 違うんです。奇襲が効かない相手はダメなのです。数の暴力は侮れないのです。あいつら問答無用で突っ込んでくるだけなのです。避けられないのです。


「「……」」


「……サッと避けてズサッと斬ればいいだけよ?」


「そ、そうですね」


 トタトタ、スカッ。こんな感じでしょうか? その場で実演して見せました。上目使いでウェンディさんを確認して見ると何とも言えない感じで顔を逸らされました。


「……」


「「……」」


「……もう少し早く動いた方が良いかもよ?」


 ウェンディさんから貴重なアドバイスを頂けました。トタトッタ、ドテ、スカッ。くっ。早く動こうとしたら足がもつれました。


 いいんです! 私達は遠距離攻撃の後衛なんです。


「前衛職にカンナさんとか雇ってもいいですか?」


「……もちろんダメよ」


 ですよね。知ってました。


 試験は明日だそうです。トボトボと金だらいを片手に大通りを進んで行きます。明日も霧雨でしょうか? 雨具を買いに行かないと……。


 やってきました武器屋さんです。武器屋さんですが防具も扱っていますので、ここで合っています。


「こんちは。おっちゃん。雨具欲しいんだけど、いいのある?」


「おお、嬢ちゃん達か。そうだな~。大人用じゃ無理だろうからこれくらいしかないぞ? 皮と布どっちが良い?」


 当然丈夫な皮一択です。


「もちろん皮です。カッコいい皮ありますか?」


「……い、いや。カッコいいのはねぇけど。そ、そうだ。ポンチョ作ってやるよそれでどうだ?」


 ちょっと子供っぽい気がしますが、ムフーまあ、いいでしょう。ポンチョいいです。マントより良さそうです。12000リンでした。結構しますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ