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8.猟師2

何時もお読み頂いてありがとうございます。

感想などお待ちしております。よろしくお願いします。

「お、おっちゃん。あ、あれ本当に狩るの?」


「ああ、あれを一人で狩れるようになったら一流の猟師だ。先に言っておくぞ。弓だけで斃しきるのは相当難しい。最後は接近戦で斃す。危ないと思ったら木に登りなさい。あいつは木に登れないからな」


「お、おっちゃん。あたしも木登りなんてやった事無いよ。女の子だよ」


「……」


 お、おっちゃ~ん。そこは考えておこうよ。さも出来て当たり前みたいな感じでいるんだけど普通の村娘は木登りなんてしないからね。お転婆さんならするのかもしれないけど私はした事無いよ。


「遠くから弓を射てればいい。近付くんじゃないぞ」


「……」


 そんな~。絶対おっちゃん木登り出来ないこと考えてなかったと思う。それにあんなに大きいんだよ。あたしがビビって何も出来なくても知らないよ?


 おっちゃんが弓を構えたので仕方なく私も構える。さっきと同様呼吸を合わせてひょ~と放つ。私の矢はあさっての方に飛んでったけど、おっちゃんの矢は肩口から半分くらいガッツリと喰い込んだ。


 いきなり攻撃を受けてワイルドファングが鳴き声を上げたけど直ぐにこちらを向いて怒りの目を向けて来る。本当に矢が刺さってるの? 全然効いてる気がしないんですけど。


 迷わず2射目をおっちゃんは放つ。私? 当然2射目なんて考えてなかったよ。まごまごしてるだけだよ。だって鼻息も荒く地面を前脚で搔いて突進する構えなんだもん。


 でも腰を抜かさないで冷静に逃げる算段をしてる私はまだ凄いと思います。普通は腰を抜かして泣き出してると思うの。ま、まあ、私もちょっとパニックになって右に行ったり左に行ったりしてるけどそこはご愛敬。


 驚いた事におっちゃんは第3射目。頭骨に弾かれちゃったけどナイスだ。次々とおっちゃんは矢を放ってる。それをウロウロしながら見ていた私もちょっと落ち着いてきた。


 銀の助言ちゃんも自分の目を指さして前に腕を振ってる。目を狙えってことかな? おっけ~。やってみるよ。


 ワイルドファングが突進のために頭を下げた瞬間、あたしの矢が右の眼を撃ち抜いた。おお凄い。目は柔らかいから根元までズッポリですよ。


 ひぃ~。凄く怒ってる。き、来た~~~。こっちに来たよ。なんで私なのよ! でも知ってた。野○の王国とか言う番組でも狩りで狙うのは必ず子供なんだよね。


 私とワイルドファングの間におっちゃんが割り込んで弓を放ち続けてる。視界から猪が外れたのでそのまま突進の位置から外れる様に動いたよ。


 おっちゃんが弓を捨てて腰に差してる鉈(?)を抜いた。ああ、近接戦闘だよ。でもその前に銀の助言ちゃんがまだ眼を狙えって言うから狙ってみようかな?


 おっちゃん目掛けて突進してくる猪の目を狙ったんだけど、1射目は外れたよ。動いてる的は難しいよ。


 2射目も外しておっちゃんがゴロンゴロん転がりながら突進を避けた。もう1回は避けられないだろうな~。だってまだ立ち上がっても居ないんだよ。ところが猪はもう方向転換してこっちに来そう。


 止まった所に私の弓が唸った。狙い違わず。残った猪の眼を射抜いた。視力を失った猪は匂いだけでこっちを探してるけど残念こっちが風下なんだよ。


 おっちゃんは今、立ち上がったところ。腰からナイフを引き抜いて猪目掛けてダッシュ。


「あああああああぁぁぁぁ~~~」


 なんか叫びながら猪の首を斬り付けた。ポキン、あっさりと私のナイフは折れて茫然としている処を牙の腹で一薙ぎにされて吹き飛ぶ私。


 ああ、終わった。短い人生だったな~とか思いながら2メルくらい飛んでからゴロゴロと転がった。猪が私にかまけている間に接近していたおっちゃんがゴツイ鉈で頭をかち割った。


 そんな光景を腹這いになって頭だけ持ち上げて見ていたよ。助かった~。猪に薙ぎ払われたお腹が痛い。おっちゃん痛いよ~。


 自然とお腹を押さえて丸くなっているとおっちゃんが慌てて私に走り寄って来る。流石に預かった初日に死にましたはおっちゃんとしても避けたかろう。


 私のお腹お確認して応急手当押してくれる。すんごい痣にはなったけど命に別条はないみたい。


「おまえな~。猪に突っ込んで行くとかどう言う根性してんだ。死んでてもおかしくないんだぞ」


 あ~、やっぱり私もパニくってたのかな~。なんで突っ込もうと思ったんだろ? ちゃちなナイフしか持って無かったのに。


「ははは。なんでだろ? おっちゃん倒れてるし、ここしかない気がしたんだよ。やっぱり慌ててたのかな?」


 小首お傾げてかわいらしくのたまう私。おっちゃんは深々と溜息をついて今仕留めた獲物に向かう。もちろんお腹お押さえながらヨロヨロと付いて行くよ。


 おっちゃんが獲物の処理をして今日はもう終わり。今日の成果は白雉と一角ウサギ、それとワイルドファング。分け前が楽しみだよね。


 村に帰り着いて白雉で壺抜きの仕方を教わったよ。一角ウサギはおっちゃんの獲物だ。ワイルドファングの牙と角を1本ずつにアバラ肉と後ろ脚を貰いました。結構活躍したよね?


 家に帰り着いた私はもちろん牙と角を掲げながら英雄の帰還ですよ。折れたナイフを見てお父さんが悲しそうだったけどワイルドファングとやり合ったんだから仕方ないと諦めてくれたみたい。

以下の様な物も書いてますよろしかったらどうぞ。

 異世界農業物語~異世界で農業始めましたーhttps://ncode.syosetu.com/n0558dz/

 異世界転生苦労譚~異世界だって甘くない~https://ncode.syosetu.com/n3637fl/

 エルフ賢者の子育て日記―https://ncode.syosetu.com/n5068fk/


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