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79.照準スキルと飛斬2

あけおめ。今年もおろしくお願いします。

 ゴブリンを発見した私達は、討伐する事に決めました。最近師匠達と居るから敬語でものを考える癖が付いて来たな~などと余計な事を考えてしまいました。


「ネイちゃん。あれやるけど作戦は、左右に分かれて挟撃しよう。ヘッドショット? ハートショット?」


「……ヘッド」


「了解。初撃は弓、次いで魔法、最後は……」


「飛斬!」


「だよね。分かってる~」


 ゴブリンを監視しながら軽く打ち合せます。弓、魔法と選択したのは練習のためです。普段使っていないといざという時使えないからね。


 異なる攻撃手段で3連射。これが私達の最速最大です。本当は弓が2連射出来ますが、ゴブリンが5体なので2人合わせて6射あれば十分です。


 もう少し魔法制御が上がれば別系統の魔法も待機、発射できると思います。そうすれば2人で最大10射です。大抵の群れは全滅できます。


 奇襲が出来ればの話ですけどね。奇襲と正面からのガチ勝負では全然違いますよ。なのでリトルボアには苦汁を飲まされている訳です。


 左右に分かれてゴブリンどもを挟撃できる位置に移動します。もちろんこの時、他の魔物が居ないか警戒してますよ?


 ゴブリンは凶悪です。体格はほぼ私達と同じ位で、武器も持っています。錆びた剣や短剣、棍棒に槍です。どこから探してくるのでしょう?


 ハンドサインでネイちゃんに合図を送って3,2,1,ゴー! まずは1射目の弓です。照準をずらし先頭のゴブリンを狙います。


《火よ鏃となり、炎の矢羽を纏いて敵を撃て! ……》


 弓を投げ出して杖を構えます。同時に呪文の詠唱をします。先頭のゴブリン2体が斃れ混乱に陥ったゴブリン達。


《ファイヤーアロー!》


 火矢の呪文を解き放ちます。狙いは最後尾の2体です。もちろんヘッドショットですよ。着弾と同時に矢全体がジュゥゥ~と着弾点を焼いて行きます。


 もうこの時には杖も手放して、ゴブリンに向かってダッシュしていますよ。小太刀の柄に手を添えていつでも抜刀できる状態です。


 走り込みながら抜刀、スキル発動です。


「「飛斬」」


 向こうから金色の気の刃がゴブリン目掛けて放たれました。もちろん私も抜き打ちで発射しています。私の黒い気の刃がゴブリンを捉えましたとも。


 え? 金と黒? ……これが物にスキルを付けた時のデメリットですよ。通常、気の刃は無色透明だそうです。なんで色が付くかって?


 無理やり気を抜かれるので使用者の髪色になるそうです。小太刀に付けたスキルのレベルが上がれば、色も無くなるだろうとのことですが……。


 ネイちゃんの金の刃はカッコいいです。キラッと光りながら小ぶりの気の刃が飛んでいきますもん。それに引き換え私の……黒の刃は悪役だと思いませんか!?


 なぬ? 腹黒だから似合っているとか! だれですか? そんなこと考えたのは! 否定は出来ませんが……。


「よし。瞬殺だね。奇襲なら恐くなかったね」


 魔法で狙ったゴブリンにとどめを刺しながら、ネイちゃんと話しています。まだ魔法では仕留め切れないのです。威力不足です。火矢のレベルが上がればその内仕留められるでしょう。無念。


「ふぅ~。こいつら魔石しか使い道ないんだよね。めんどくさい」


 そう言いながらもちゃんと解体しますよ。魔石売れますから。


「あ~、鏃取れちゃった。あ~あ、この矢もうだめだー。損害大きいな~」


 弓と杖を回収してから、解体しているのですが、頭から矢を抜く時に鏃が取れちゃいました。トホホ。ネイちゃんは上手にグリグリしながら取ったようで無事回収しました。


 ゴブリンの場合魔石は胸部、心臓の付近にあります。胸を開くのも肋骨が有るので注意が必要です。解体兼採取用ナイフが折れてしまう事もありますから。


 ここでネイちゃんを観察していますけど、アイテムボックス便利です。私は武器を持ち替えるのにそれまで持っていた武器を投げ捨て、あとで回収しますが、ネイちゃんはパッと変わるのです。


 回収不要なんですよ。流石に小太刀を使う時は投げ捨てますけど。レベル1ですから1種類しか入りませんからね。


「あ、ヤバ! ナイトウルフがこっちに来るよ。ネイちゃん逃げるよ」


 コクコク。今仕留めたゴブリンを放り捨て、慌てて逃げ出しました。


「あ~もう。まだ1個しか魔石取ってないのに! あ~、あ~、持ってちゃった~」


 ダッシュで逃げながらも未練タラタラで後を見ていたら、獲物を咥えて持っていっちゃいました。仕方ないです。ゴブリンを置き去りにしたから安全に逃げられたのですから。


 ナイトウルフは一角ハウンドの1.5倍くらいの狼系の魔物です。私達より大きいです。囲まれたら逃げる術が有りません。ちくせう。


 カンナさんなら軽く薙ぎ払ってくれるのですが……。今は2人だけですのでスタコラ逃げるしかありません。


「ふぅ~。危なかったね」


「……うん」


 一路南下して街門の辺りまで逃げて来ました。街門の付近なら衛兵のおじさんもいるので安心です。いたいけな少女2人をよもや見捨てまい。


「もう、今日は帰ろっか。魔石1個だけか~。ついて無いね。帰りに小麦団子買ってかえろう」


「……おー」


 小麦団子は小麦粉に蜂蜜を混ぜて丸く焼いたお菓子です。庶民の子供のおやつです。安くて甘いだけですが……。2人で手を繋いで帰りました。

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