表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/111

68.とある錬金術師の一日(後編)

 商人さんの気が変わる前にお財布から銀貨を出してさっさと支払っちゃいます。もちろんネイちゃんも出してくれます。エルフにとって精霊さんは友達ですから助けるのには賛成してくれますから。


 銀貨10枚で小金貨1枚と同じ価値です。細かいものを合わせればもう少しありますけど、ほぼ全財産です。


 手に入れた水晶のペンダントを握りしめて、自由時間もうっちゃって師匠の元へまっしぐらです。自分たちじゃ解放してあげられないからね。師匠頼みです。


「師匠。師匠! これ、これ。助けてあげて」


 うん。なに言ってるか分からないですよね。師匠もこちらに目を向けてくれますが、なんだい? てなもんです。


 カクカクシカジカと説明しましたよ。師匠が鑑定したみたいです。


「ふむ。本当に精霊が入っているようだね。さてどうしたものかな。割ったら解放できるかな?」


 師匠が適当な事を言い出します。ええ~。もう。ちゃんとして下さい。


「だ、ダメですよ。消滅しちゃたらどうするんですか!」


「仕方ない。ちょっと呼び出してみようか」


 おお、なんかキーワードみたいなのを唱えたらふわっとしたものが頬を撫でて行きました。見えないんですけど。ネイちゃんはどうやら見えているらしいです。


 金の助言ちゃんが目を指さして何か言ってます。また魔力を流せってことですかね? でもそれだと遠見のスキルじゃないかな~。え? 違うの? 魔力じゃない?


 うん、ごめん。今回は分からないよ。一応目力を入れて精霊さんを見ようとしてみますけど、目力じゃどうにもならないでしょ。


「……何か言ってる」


 ネイちゃんにアンテナ立ちました。精霊語でしょうか。でもきっとまだ習う前に攫われてると思うから分からないよね。


「ふむ。ネイには見えてる様だな。流石に私も精霊語どころか精霊視も無いから分からん」


「……なにをしてほしいの? ……魔力が欲しいの?」


 そう言ってネイちゃんが虚空に向かって魔力を供給し出しました。真っ赤になって搾りつくしてます。うん、なんか足らなそうだね。もちろん協力しましょう。


 ネイちゃんが狙っている辺りを凝視して魔力を出してみます。わぉ。なにも無い所にドンドン魔力が吸われます。これは、ネイちゃんが真っ赤になる訳です。


「し、師匠。む、無理かも。助けて下さい。足らないです」


「うーん。精霊は魔力食いだから私でも無理かもしれないよ。一応やってみるが……」


 師匠が魔力を込めるとドンと言う感じで一気に魔力が流れました。ふわぁ~。こんなに差が有ったのか~。それと同時に水晶のペンダントが砕け散って一陣の風が吹き過ぎて行きました。


「ふむ。シルフだったようだね」


「……有り難うって言ってた」


 たったこれで小金貨が飛んでいっちゃいました。いや、もう少し幻想的な事を期待してたんですけど、行っちゃったものは仕方ありません。


「あ~疲れた。魔力空っぽですよ」


「ふふ。ネイもタエも大分魔力が上がって来たな。その調子で頑張りなさい」


 いまのは大分MPに経験値入ったんじゃないかな。うん、いい事した。そのまま休憩時間は終わりになっちゃったけどね。


 一応弓の訓練と小太刀の訓練もして……終わりじゃないんだな~。ここからはお仕事です。ポーションを作って売らないといけないので師匠も含めてポーション作りです。


 魔力が空っぽだったので弓と小太刀の練習を入れただけなんですよ。何時もはそのままポーション作りです。


「ねえ、師匠。下級ポーションはもう無理じゃないですか? 私もネイちゃんもほとんど失敗しませんよ?」


「……そうだな。わざと失敗するのもなんだし、もう受けるのやめようか。予想外だったな。弟子の失敗を見越して受けてたんだが……」


 下級ポーションの依頼はキャンセルして標準ポーションを多めに作りました。本当は特級粉末を使えば高品質ポーションでもいけるんですけど、練習のためにズキ草の粉末を購入してまで作っています。


 色々忙しい錬金術師はその辺は薬師に任せちゃて購入する事が多いそうです。今は私達の訓練も兼ねて粉末を作っていますが、普段は買っていたらしいです。


 ポーション作りは師匠の練習でもあります。特級ポーションもしくは最高品質ポーションを作ろうとしているんですよ。


 なかなか難しいみたいですね。私? もちろん神々の気まぐれが発動しちゃったらできますけど、普通に作ると下級ポーションかクズポーションになっちゃいますね。


 問題は神々の気まぐれの頻度が高い事です。バンバン出来ちゃたら怖いのでやらない様にしています。普通のポーション作ってても助言ちゃん達が踊りまくってるんですから恐い事この上なしです。


 最近は無理やり杖を押さえ込んで自力で作るなんて事になっていますよ。助言ちゃん達は不満そうですけどね。


 さて夕食の準備をしましょうかね。お風呂はネイちゃんに任せて、揚げ物にしましょうか。師匠の所なら油を使っても大丈夫でしょうから色々揚げちゃいましょう。


「ただいま~。今日は一日何もなかったな~」


 カンナさんが帰ってきました。一応午後も冒険者ギルドに顔を出しに行ってきたみたいですね。そうそう問題も起こらないですよ。


 お土産にワイルドファングのお肉を持って来てくれました。ちょいと狩って来たそうです。ちゃんと解体済みです。


 食事をしてお風呂に入ったらもうお休みの時間です。今日も一日ご苦労さまでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ