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58.依頼

 魔法使ってるのに感動が薄いって? そりゃそうだよ。師匠の所で勉強してるんだから使えるの当たり前なんだよ。発動したのは初めてだけど、その内隣の訓練場が完成したら毎日やらされるんだろうな。


 今でも魔力を鍛えるため魔道具で毎日枯渇寸前までごりゅごりゅとかしゅりしゅりとかやらされてるんだからズキ草採取からの粉末製作は毎日の日課だよ。


 これからは魔力制御も足されるんだろうな~。……よく考えたら私達杖使って無かった。くぅ~。慣れて無いから置いてきちゃったよ。


 ついでだから魔法のことも少し話しておこうかな。この世界は魔法を変形して使うみたいな事は出来ないよ。どんな高位魔道師が使っても見習いが使っても現象は同じだよ。


 同じ呪文ならと但し書きが付くけどね。範囲拡大とか威力増強とか付加呪文を追加することで変形できるんだけどね。


 違いは短縮詠唱とか無詠唱とかは慣れみたいだね。呪文が無くても発動できるように鍛えるかどうかだね。あとは複数の魔法を発動させるのは見習いじゃ出来ないかな。


 例えばファイヤーアロー10本とか。これは魔法制御が熟練しないと出来ない。私達が出来るのは1つの魔法をじっくり呪文を唱えて発動させる事だけです。まだ付加呪文も習って無いよ。


「こら。タエ、集中しなさい」


「あ、はーい」


 余計なこと考えてたら叱られちゃったよ。そうそうレベルが上がっても威力と数は増やせるんだった。元には戻らないけどね。


「依頼はあとリトルボアだな。これはネイとタエでやってごらん」


 おっと。何やら依頼をこなせって。確かリトルボアって小さい猪で牙も無いんだよね。大体10ケロくらいの重さの小型種だったよね。


「はーい。ネイちゃんやろう」


 コクコク。さてどうやって探そうかな? 見た事無いしランクも知らないからな~。生態も知らないし、はてどうしよう?


「ネイちゃん、リトルボアってどこに居るか知ってる?」


「……うん。森」


 ……だよね。私もそれは知ってるよ。適当にウロウロしてたら見つかるかな~。うん。冗談だよ。そんなことしたら別の魔物に殺されちゃうよ。


「ねぇ師匠。リトルボアってどこに居るんですか?」


「……魔力感知を使ってみなさい。一角ウサギくらいの魔力の生き物がそうだ」


 なるほど。なるほど。こういう所で魔力感知って使うんだ。ふん……おい! 半径1メルくらいしか感知できないよ。見えてるよ。


 ネイちゃんの方をそっと見ると、おお。半径2メルくらい感知してそう。私の倍だよ。……喜んでる場合じゃなかった。


「お前達……練習サボってるだろ?」


「「テヘ」」


「テヘじゃない。まったくしょうの無い奴らだ。どれ。……あっちの方に少し居るな。500メル程か」


 おお、凄いぞ師匠。500メルとか私の500倍か~。よーし。場所さえ分かればやっちゃうよ。一応確認しておかないと。


「魔法じゃないですよね?」


「まあ、魔法じゃ無理だろうな。当たらないんだから。その弓で良いぞ」


 よーし。もうこっちの物だよ。バンバン狩っちゃうよ。私達の弓の腕を見せようじゃないですか。


 森の中、一直線に突っ込んで行きましたよ。棘のある藪に突っ込んで助けてもらったり、穴に嵌ったりしたけど、うん、ちゃんと迂回しようね。


 いたいた。居ましたよ。ウリ坊よりは大きいかな。群れですね。結構な数いますよ。狩っちゃうよ~。弓を構えて狙いを付ける。 ん? 師匠達が離れてく?


 ネイちゃんが弓を放ったので私も慌てて続いたよ。ブヒーとか悲鳴が聞こえたけど連射するよ。って近! 早いよこいつら、もう突っ込んで来た。


 ドスッ、ドスドス。くっ、こいつら一撃はそんなに大した事無いけど連続でどんどん来る。きゃー、に、逃げられない。さんざんど突き回されてるよ。


 ね、ネイちゃん助けて。ゴロンゴロン転がされながらネイちゃんを捜すと同じようにど突き回されてました。


 くそー。このままじゃやられてしまいます。……そうでした。接近戦でした。小太刀で戦わないと。10000リンも掛けて練習したんだから。


 いた、痛いって。そんな事を考えている間もど突き回されてるんだよ。ちくせう。


「ね、ネイちゃん。接近戦だよ。10000リンを思い出さないと」


「……うん。くっ。起き上がれない」


 もうそこからは泥仕合ですよ。ど突き回されながら小太刀を抜いてめったやたらに振り回して何とか徐々に斃して行きました。


「あ~あ。痣だらけじゃんよ~。もうちっとスマートに斃せないかな~」


 カンナさんがべそをかいてる私達に追い打ちをかけますよ。体中が痛いです。擦り傷もいっぱい出来ちゃいました。グスン。


 ため息交じりに、汚れた服を師匠とカンナさんがはたいてくれています。師匠の足にしがみ付いて泣くのを我慢していますよ。


「まったく。これじゃあ素人と変わらないじゃないか。一応猪なんだから直ぐ突っ込んでくるくらい分かるだろう」


 お説教しながらも頭をなでてくれています。カンナさんは私達が斃したリトルボアを処理してくれているようです。


 でも一応10匹は居るので依頼達成です。毛皮はダメかもしれないけど。落ち着いた私達に師匠は下級ポーションを振りかけてくれます。


 擦り傷程度なら一発ですよ。痣は消えないけどね。帰ったら湿布はろう。

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