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56.冒険者パーティー

「師匠。採取に行ってきます」


 突然ですが私は師匠にそう告げます。冒険者講習も終えたし、冒険者の活動もしたいので言ってみました。勉強ばっかだと辛いよね?


「ふむ。冒険者の仕事か?」


「はい。ここの所錬金術ばっかだったので稼ぎに行こうかと」


「この間の仕事の手間賃くらいやるぞ?」


「いえ、防具をオーダーメイドで作ろうと思ってますので貯蓄しておかないといけません」


「なるほど。お前達の体格に合った防具なんて無いか。よし、久しぶりに私も行こう」


「「えっ」」


「何か問題でもあるのか?」


「ないです。ないです」


 本当は有るんだけど、有るとは言えないからな~。まさかの展開に驚いちゃったよ。確か師匠はCランクだったような。


「いつもはどこで採取をしているんだ?」


「西の森の外縁部です。師匠忙しいんじゃないんですか?」


「たまには息抜きも必要だろう。それにお前達だけだと危ないかもしれないだろ?」


 ありがたい。ありがたいんだけど迷惑? これか! ありがた迷惑って言うのは! 今日は助言ちゃん封印かな~。


 完全武装をした師匠は初めて見ました。基本は皮鎧です。でもちょっと違うんだな~魔法陣が刻んであるんだもん。手袋もブーツもだよ。頭はティアラだけ? イヤリングも付けるんだ。もちろん武器はいつもの杖です。隕鉄製だそうです。星霜環の杖と言うらしいです。


「さあ、冒険者ギルドに行くぞ」


 師匠の後に付いて冒険者ギルドに入ります。堂々としたものです。誰も視線を合わせません。なぜ? 真っ直ぐ受付嬢さんの所に向かいます。


「あら、サリーやっと重い腰を上げたのね。まったくそんなんだからCランクなんかでウロチョロしてるのよ」


 おお、女神の受付嬢さん。お知り合いですか~。まあ、狭い世界ですもんね。いまだにお名前を伺ってません。


「ランクにこだわりが無いんでな。カンナはどうしてる?」


「その辺で飲んだくれてるでしょ」


 ギルドに併設されている酒場に向き直ると師匠が叫びましたよ。


「カンナ~!! 出てこ~い! 仕事だ~!!」


 もう傍若無人ですよ。後に居てビクビクしてしまいます。酒場の隅でむくっと起き上がった人がいます。ああ、あれがカンナさんですかね?


 結構な長身の女性です。180センメルくらい有るでしょうか。ん? 頭にある三角形の突起は! 獣人の方でしたか。初めて見ました。きつねさんです。ふさふさの尻尾が有ります。触りたいです。


「あ~、サリーかよ~。相変わらずだな~。なんだよ仕事って」


「うん。元気そうで何よりだ。採取に行こう。どうせ暇だろ?」


「しゃーねーなー。どこに行くんだ北か?」


「いや、弟子も連れて行くから西だ」


「ん~。そのちっこいのを連れてくのか~。ん? ああ、最近ちょろちょろしてるやつらか。ギルマスがよくちょっかい掛けてるな~」


 おお、お見知りおき下さい。尻尾触っても良いですか? ネイちゃんせーので捕まえるよ。


「カンナだよ。狐獣人だ。よろしくな」


「タエです」


「……ネイちゃんです」


「尻尾触っても良いですか? 有り難うございます」


 答えなんて待ってられません。速攻でお礼を言っておきます。断られたら大変ですから。思い切って飛び付きます。もちろんネイちゃんもです。ひょいってな感じで避けますよ。


「ん? 捕まえられたら触っても良いぞ~」


 くっ。ひょいひょいと避けられちゃいます。絶対触りたいです。諦めません勝つまでは!


「カンナ、遊んでるんじゃない。ちび達がバテるだろうが」


「んあ~。それも面倒か~。仕方ないな~」


 パフってな感じで顔に尻尾がぶつかりました。きゃー。捕まえました。やった、やったよ。ネイちゃん。ネイちゃんも飛び込んできました。もふもふだよ。きゃー。あっはは。ちょー楽しー。


「ウェンディー、何か適当な依頼はあるか?」


「そっちのお嬢ちゃん達も連れて行くのよね? んー、初心者講習も終わってるしあんた達がいれば大丈夫か。ちょっと待ってね。2、3個見繕うから」


 きゃあきゃあー、あっはっは。なにこれ、なにこれ。すごい、すごい。あったかーい。


「タエ、ネイ。いい加減にしておきなさい。あとでまた触ればいいだろう」


「「はーい♪」」


 受付嬢のウェンディーさん(初めて名前を知りました)から依頼をいくつか貰って4人で出かける事になりました。臨時パーティーですけど師匠の相棒のカンナさん、私の相棒のネイちゃんと一緒です。


 カンナさんは思った通り大剣です。あれをぶん回すのか~。凄いな~。いまだに尻尾にじゃれついているネイちゃん。かわいいから許そう。


「カンナ。肉の依頼が多そうだ。ワイルドファングとレッドブルなんてどうだ?」


「ああ、問題ない」


 なに? ワイルドファング? レッドブル? 暴れ猪と暴れ牛じゃあーりませんか! そんなの無理ですよ? ウルウルとした瞳で訴えてみるけど、気付きもしませんでした。


(ネイちゃん。ネイちゃん。ワイルドファングだって。私お腹に一撃食らったこと有るんだけど物凄く痛いから注意してね)


(コクコク)


 さっきまでカンナさんの尻尾ではしゃいでいましたが途端に大人しくなりました。うん。危ないからね。気を付けよう。


 西の草原を越え、森に突入しました。ズンズン奥に入って行きます。あれれ~こんなに奥まで入りませんよ? し、師匠行き過ぎですよ。


「ん? ああ、もう少し入った方が良いものが採取できるんだ。お前達の慣らしも兼ねているから頑張って付いてこい」


 聞いて無いよ~。

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