49.外食
ジュリエッタさんの所は久しぶりです。お肉の納品とかでは来ていましたが、食べるのは久しぶりです。何時もはマリーさんの所でしたからね。
やっぱり結構な繁盛っぷリです。テラス席まで満員ですね。こちらでもテラス席を用意したみたいです。まあ、普通に考えたら席が足らないんですから外に出しますよね。
「おーい。ジュリ。飯食いに来たぞ。席空けてくれ」
な! お姉さん師匠がとんでも無い事を言い出しましたよ。いやいや、ちゃんと順番を待ちましょうよ。
「ん? サリーかい。ちょっと待ちな。おいそこ、もう食い終わっただろ。サッサと退きな。もう次の客が来てんだよ。あんたらだってサリーの機嫌が悪くなって苦い薬を処方されんのは嫌だろ?」
あわわわ。強引に常連さんをどかしてしまいましたよ。並んでいる人もいるのにその横を堂々と通り抜けてどっかりと席に着きます。
「何時も悪いな。凄く繁盛してるじゃないか。どうしたんだい?」
ニヤニヤしながらジュリエッタさんに問いかけます。もちろん調味料の事を知っているのでからかいたいのでしょう。
「まあね。ちょいと味が良くなったらこのざまだよ。今日はオークの肉が入ったからおすすめさね」
「ふーん。じゃあ、そいつを3つだ。パンは白いのね。スープはお任せするよ」
軽く流されて他に興味の有りそうな肉で話題を逸らされてました。ちょろ過ぎですよ、お姉さん師匠。
「あいよ。そうそう。あんたにその子たちを譲ったんだ。さぞ飯は美味いんだろう?」
「あ、うん、まあ、うまいよ?」
「まあ、お互いさまさ。仲良くやって行こうじゃないか。あっはっは」
女将さんの方がうわてでした。きっちりと釘を刺されています。まあ、女将さんの方が年上ですし世の中の酸いも甘いも吸い分けていそうだから仕方ないですよね。
オーク肉は魔物のオークの肉です。高級豚肉みたいな感じでしょうか。牛肉よりも臭みも無くて結構好きです。でも豚肉のステーキってあまりないですよね。なぜなんでしょう。
前世の記憶では家で厚めの豚肉のステーキみたいなのを食べてましたが、お店で売ってるのをあまり見ないです。薄切りにしたのはしょうが焼とか豚丼とかありましたけどね。
「おまち。オーク肉の厚切りステーキだよ」
おお、極厚です。これは食べ応えが有りそうですね。味付けは……塩胡椒ですか。悪くはないですよ。でも豚にはほら醬油系が合うと思いませんか? 醤油は無いけど魚醤は有るんだよね。
問題は臭いんだよ。物凄く生臭い。これって凄く好き嫌いが分かれるんだよね~。ちなみに私はダメ派です。匂いに敏感なんですよ。
おっと、話が逸れてきましたね。そうです。魚醤は手に入れているのです。臭みを消すためにガリックを刻んで漬け込み、さらに粒のガリックも漬け込んでみました。
そろそろ十分にガリックが浸み込んでないかなと思う今日この頃です。と言う事で取り出してみました。ガリックの魚醤漬けです。
「ん? また変な物を出したな。どうする気だ?」
「はい。お姉さん師匠。これはソースです。お肉に掛けて食べられないかな~と」
おっと、ネイちゃんの目が輝きだしましたよ。期待してますね。ええ、ええ。良いでしょう。食べてみましょう。
女将さんに小皿をお願いして持ってきてもらいました。瓶のふたを開けるとぶわっとガリックの香りが広がります。速攻で女将さんに蓋を締められました。
「あんた達ちょっとこっちに来な。ここじゃ不味い」
サッサと私達の料理を持って奥に引っ込みました。私的空間です。女将さん家のダイニングに連れ込まれました。
「ここなら大丈夫だろう。あんた~、オーク肉のステーキ味なしで1つ頼むよ」
厨房に居る旦那さんに声を掛けてこちらに向き直りました。目が笑っていません。不味いです。怒ってる?
「困るな~、タエ~。新しい調味料は行きなり出しちゃダメじゃないか~」
「は、はい」
「昨日の生わさぶのステーキも美味かったけどそれも凄い香りだったな」
ギラリと女将さんの目が光りました。余計なひと言を! お姉さん師匠恨みますよ。
「へぇ~。生わさぶなんてのも有るんだ~わさぶ塩とどう違うんだい?」
「え、えへへ。な、生だからお店では使い辛いですよ?」
「良いから出してご覧よ。あたしが決めるから、ね?」
猫撫で声が怖いです。な、生わさぶあったかな~。ネイちゃん持ってるかな~。
「ネ、ネイちゃん。生わさぶ持ってる?」
速攻でコクコク頷いてます。うん。雰囲気が怖いよね。お姉さん師匠も沈黙を守ってる事からこれは危険域だよ。
まずはガリックの魚醤漬けを小皿に出します。刻んだガリックも魚醤と一緒に出てきます。浸かったガリックの粒もいくつか取り出してそのまま食べても良いよね。
生わさぶはサメ皮の下ろしで細かく下ろしたものを用意しました。さあ、全ての準備が出揃いました。いざ実食。
まずは私が食べ方を示します。小皿のガリック魚醤にオーク肉を付け、刻んだガリックも少し乗せます。そのままパクリ。うん美味しい。ちょっと生臭いのが珠に傷です。普通の醤油が有ればな~。
生わさぶはちょっと取ってお肉に乗せて食べるだけです。ガツンとくる辛みが堪りません。これは好みによりますけどね。
続けて皆も食べ始めました。いつの間にやらシェフもいます。注文は大丈夫でしょうか。心配です。
皆がお肉を食べるのに夢中なので、ガリックの粒を1つをカリッと食べます。うん。箸休めにいい感じです。箸じゃないけど。
「美味いな~。これお肉に合うぞ。家でもやってみような」
「それで、これはいくらくらいにする? タエ」
「これはガリックのピクルスか? これも食えるな。いや、料理にもいけるぞ」
「……辛いよ。タエ~」
「そうだね。ネイちゃん。でもこれにちょっとお砂糖入れてお肉と一緒に炒めたらおいしいよ」
「ちょっと待て。掛けるだけじゃないのかい? 炒める? なるほどね」




