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45.お師匠様2

誤字脱字報告有り難うございます。

 ん? 動きそうな気配は有りますが、動きません。もう少し魔力を込めるとちょっと動いたかも? なるほど、もっと魔力を込めないと動かないんだね。


 モーターと電気みたいな関係かなと思います。ならば200V、10A(適当です)くらい込めてやりましょう。女子高生だってオームの法則くらい知っているのですよ。えへん。あれ? 違った? まいいや。もうそんなの関係ないもんね。


 う~ん。どうだ~。何とか魔道具が動き出しましたが、これは前世でも体験が有ります。機械が壊れる寸前の様な動きです。またも思わず振り返ってしまいました。


「私なら刻んでから入れるよ。大きい上に硬いなら魔力の消費も激しいからな」


 なんて事をニヤニヤしながらのたまいました。そう言う事ですか。ええ、ええ、分かりましたよ。道理で結構疲れたと思いました。


 一旦魔力供給を止めて、根っこを取り出します。隣に有るフードプロセッサーの様な魔道具に根っ子を放り込んでまた魔力を込めてみました。


 ガリゴリガコンみたいな凄い音が最初にしますが直ぐにジャリジャリシュイーンと回転が安定しました。刻めたようです。


 改めて刻んだ根っ子を石臼の魔道具に入れます。今度はネイちゃんが魔力を込めてくれました。ゴリゴリと動いています。目を瞑ったネイちゃんの眉間にしわが寄っています。


 まだ硬いようです。フードプロセッサーの魔道具でもう少し刻んでから入れる事にします。新たに根っ子を入れ魔力を込めます。シュイーン、シュイーンと回転が滑らかになったのでネイちゃんの方に追加します。


 ネイちゃんの眉間から皺がとれてゴリゴリではなくショリショリと規則正しく回転しだしました。見れば下から粉末が出ています。


「ふふ。これで錬金術師としての素養は証明された訳だ」


 ふぇ? なんかお姉さん師匠が言っています。証明された? ……なるほど。この魔道具を動かせるなら十分素養が有ると言う事か~。何気に魔力を結構消耗します。


 そのまま全てを粉末にしてから粉の状態を見て見ます。う~ん。何回か石臼の魔道具で挽き直してみましたが、いま一つです。


 結局薬研を使い均一になるまでショリショリして完成です。まあ、軽くなったのでごりゅごりゅに較べたら全然余裕ですね。


「出来ました。これで良いと思いますよ。あの石臼の魔道具だとちょっと目が粗いです」


「……なるほど。確かに特級粉末になったな。驚いたよ。こんな単純な事で良かったのか……」


 実はこれってわざと流された情報じゃないかと疑っています。根っこは効能が薄いから使っちゃダメって言うやつね。確かに薄いから信じちゃうんだよね。


「よかろう。一旦終了だ。お前達宿屋を解約してきなさい。戻ったら軟膏がなぜ高品質になってしまうのか検証しよう」


 おお、なんか錬金術師っぽいぞ。ワクワクしてくる感じ。そこは私も気になってたところだよ。


「ネイちゃん行こう」


 ネイちゃんの手を取って急いで駆け出してしまいました。マリーさんの宿屋に掛け込んで今日で出る事を伝えます。


「あら~。ダメよ。タエちゃん。そんな訳の分からないとこに行っちゃあ。売り飛ばされてしまうかもしれないでしょ」


「薬師ギルドのギルマスですよ?」


「くぅ~。身元が確かなのね。ああ~でも調味料が……」


「……ちゃんと定期的に納品に来ますよ? お肉は難しいかもしれませんけど、別ルートも安定してきましたから大丈夫ですよね?」


「あら? おほほほ。定期的に持ってきてくれるの? そう。なら大丈夫ね」


 思わずジト目で見つめてしまいました。マリーさんも商売人だからな~。この繁盛を支えている調味料の確保のために私達を確保しておきたかったのか~。


 まあ、いいや。直ぐに荷物をまとめて隠し財産をネイちゃんが背負い、大きなリュックを私が背負ってこの街に来て以来お世話になっていた宿屋を後にしました。


 なぜかマリーさんも付いてきます。途中でジュリエッタさんも合流してお姉さん師匠の家に向かいました。


「ん? なんだ。ジュリにマリーじゃないか。どうしたんだ?」


「サリーだったのかい。この子達を弟子にしたのは。なら大丈夫だな。まったくヒヤヒヤしたよ」


「そうね~。どこの悪徳錬金術師かと思っちゃったわ~。サリーちゃんならお任せしても良いわね~」


「この子たちを保護してたのはあたしたちなんだよサリー。お前さんなら悪いようにはしないだろ。ちょこちょこ様子見にくるから後は任せたよ」


「なんなんだ? 宿屋姉妹が保護してた? ふむ。なるほどね。そいつは世話をかけたな。後の面倒は私が見るから大丈夫だ」


 ジュリエッタさんとマリーさんは納得して帰って行きました。どうやら知り合いの様ですね。地元同士ならさもありなん。


「それにしても大荷物だな。お前より荷物の方が大きいじゃないか。タエ」


「はい。村から出て来る時に色々持ってきましたので。その後増えた物はネイちゃんが持ってる分です」


 ネイちゃんも結構な荷物を抱えています。隠し財産に各種薬草とハーブ、魔石も抱えていますし調薬道具や衣服もです。


 ハタと気が付きました。荷物の置き場所がない。居間は道具やら書物、各種材料で埋まっています。


「客室もちょっと無理そうだな。仕方ない」


 客室? 倉庫の間違いではと思われる場所をスルーしてお姉さん師匠の寝室に荷物を置きました。一応寝室はスペースが余っていましたよ。

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