19.街
誤字脱字報告、ブクマ、評価有り難うございます。
朝食を終えて私達も出発したよ。街に着くまでマークお兄さんに負担が掛らない様に採取は自粛したけどね。残念。ネイちゃんはおとなしく荷台で膝を抱えて座ってます。
特に何事もなく昼前には街の城門に着く事が出来ました。マークお兄さんはキツそうでしたけど。街に入るには身分証明が必要ですけど、村で貰った身分証明があるので問題なしです。
問題はネイちゃんですけどマークお兄さんがネイちゃんの取得に関しての保証人になってくれたので私の奴隷として街に入れました。直ぐに奴隷商人さんに正式な取得申請と登録をしなければいけなかったのでマークお兄さんには負担を掛けちゃいました。
そうなんだよ。ネイちゃんって奴隷身分なんだ。足に鎖着いてるし檻に入れられてたからそうだとは思っていたけど。そんなやり取りの後、城門をくぐった私達は見ましたよ。
「ふわぁ~。大きな街ですね。壁も石で出来てますし凄い所に来ちゃいました」
「……う、うん。そんなに大きな街じゃないんだけど、村よりは大きいよね」
「見て下さい。人が一杯居ます。村人よりたくさんいますよ!」
「……う、うん。タエちゃんちょっと黙っておこうか」
どうやら田舎者丸出しだったようです。詳しく聞いてみるとそんなに大きな街じゃないそうです。精々5000人程度の規模の街ですって。街としては小から中程度なんですって。驚いちゃったわ。
この街にはお貴族様どころかお代官様も居なくてお役人様しかいないのですって。お役人様がいる街なのにって思ったけど言わなかったわ。なんか木端役人とか言ってるんだもの。
お店も色々あって凄いのよ。村にはお店なんて無かったもの。食べ物屋さんとか雑貨屋さんとか宿屋さんまであったわ。
……前世の真琴の記憶を探ってみたら辺鄙な村? みたいな感想になったわ。このギャップどうやって縮めたらいいのかしら。
マークお兄さんの行き付けの宿屋さんに着いたのでとにかく休ませないとと思い1人部屋に叩きこんでおきました。それで次は私達の番。節約しないといけないと思うの。
「女将さん、私達小さいから1人部屋を2人で使ってもいいかな? ほらベッドも2人で大丈夫でしょ?」
「……そっちの汚いのは困るねぇ~。奴隷でしょ? あんたの奴隷なの?」
「いまはちょっと汚れちゃってるけど洗ってからお部屋に入るから大丈夫よ。それと私の奴隷です」
「……綺麗にしてからもう一度出直して来なさい」
くっ。流石に宿屋の女将さんは厳しいわ。なかなかうんとは言ってくれないもの。仕方ないから裏の井戸を使わせて貰って旅の汚れを落としてから再交渉してみましょう。
「ネイちゃん、ちょっと冷たいけど綺麗にしないと宿屋に泊めてもらえそうにないの。我慢してね」
井戸から水を汲んで虎の子のチコの実―洗剤の代わりに使う実よ―で念入りに洗いましたとも。もちろん私も綺麗にしました。
びしょ濡れでガタガタ震える事になるかと思っていたんだけど、あっさり乾いちゃいました。
「フォォ~~」
思わずネイちゃんみたいに叫んじゃったわ。だってネイちゃんたら魔法使ったのよ! もちろん私も乾かして貰ったけど。
「ネイちゃん。あなたエルフだったのね。お耳が長いな~とは思っていたんだけど自分の無知がよく分かっちゃった」
小首をかしげて不思議そうに私を見るネイちゃん。うん。普通直ぐに分かるらしいからね。私の予備の服を着せたら美少女がそこには居ました。
両足を繋いでいる鎖が邪魔だけど、綺麗な娘の出来上がりよ。この鎖もどうにかしないといけないのよね。
改めておかみさんと交渉しなきゃ。今度こそ大丈夫よね?
「おや? 随分と綺麗になったじゃないか。まあ、それなら良いでしょ」
おお。あっさり許可が出た。そうよね。美少女2人だもの。宿賃は1人部屋なので100リンよ。ご飯なしだけど。
お昼をとっくに過ぎているので、宿屋で食べる事にしました。……高い! 1人20リン。3回食べたら60リン2人で120リンよ。
これでも一番安いもの頼んだのに、味もそこそこ? 村の食事よりは大分マシだけど最近の私はもっと美味しいもの食べてるもの。
さてさて、まだ午後いっぱい時間があるから早速冒険者登録をしておこう。ネイちゃんを連れて街に繰り出しますとも。
街には色々なお店が有って目移りしちゃう。でも買い物はあとあと。目指すは冒険者ギルド。なんか剣持ったいかつい人とか多いから気遅れしちゃう。
通りでこれじゃあ冒険者ギルドはどんだけおっかないんだろう。そんな事を思いながら通りを進んでいるんだけど思わず端っこに避けちゃうのは仕方ないよね?
◇ ◇ ◇
やってきました冒険者ギルド。うん、まだ前に居るだけだけど。なかなか入る気になれないんだよね。だって見上げるようなゴツイおっさん達が出入りしているんだよ。子供なんて居ないんだもん。
「ネ、ネイちゃん。い、今からここに入るけど、大丈夫?」
小首をかしげて私の事を見詰めてるのはかわいいんだけど、何言ってるのこいつみたいに見るのはやめて。
「……うん」
だよね。見た感じ全然問題なさそうに見えるもの。ビビってるのは私の方。よし。入口からそっと中を覗いてみよう。
2人でソロソロと入口に近づいて行って、頭だけヒョコッと出して中を覗いて見た。うわぁ。凄い喧騒の中、大きな声でしゃべってるおっさん達やアマゾネスみたいな女の人? あ、あっちでは何か喧嘩してる。
こ、これはヤバいかも。この中に入って行くのは結構勇気がいる。うぉ! あの人でっかい! 私じゃあ股下くらいまでしかないよ。獣人だ。初めて見た。
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