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18.旅立ち6

誤字報告、感想、評価有り難うございます。

 なんか2人してぶつぶつ呟き出しちゃったから、あたしも食事を続ける事にした。うん。今日もハーブ塩はいい仕事をしてくれているね。


「ネイちゃん、もうお腹一杯? まだあるよ? 食べる?」


「フォ~~」


 まだ食べられるらしいので、パンとスープを渡したよ。今度はゆっくり食べてる。ちゃんと味わって食べてね。


「おいしい?」


 コクコクと首が千切れないか心配になるほど振っていた。


「分かりました! 金貨出しましょう。お嬢さんの言葉を信じてみます」


 チラッと護衛隊長のカイゲルさんを見ると、えっ? 俺も? みたいな感じで指で自分の事を指しているのでコクと頷いておく。


「じゃあ、俺も出そう。金貨1枚だな」


 2人から金貨をそれぞれ頂きました。その前に貰った銀貨もあるのでそこそこ儲けが出たね。


「まず利益ですが、この先馬車で半日ほどでしょうか? そのくらい行くと馬車が横転しています積み荷はそのままなので確保出来たら結構な利益が出ると思います。あたし達が拾えたのはほんの一部ですから」


「やはり、そうか。その指輪も商人の物だね?」


「ええ。次に危険についてですが四つ手熊です。大きさはうちの馬車と同じ位で毛並みは黒です。特殊個体じゃないかと思います。討伐できればそちらも結構な額が期待できます」


「熊と言うのは四つ手熊か……通常個体なら馬車の半分くらいだろう。毛色が黒か、茶じゃないのか」


「さらに銀貨を出すなら私の所見もお聞かせしますけどどうしますか?」


 もちろん二人とも銀貨を出しましたよ。興味津々ですね。なので私が感じた事と2人を見た感じを話す事にしました。


「出来るならこのまま引き返した方が良いでしょう。私達が逃げ切れたのはたまたまです。それでも行くと言うならよく聞いて下さい。四つ手熊の討伐自体は可能でしょうが、パーティーに犠牲が出ると思います。無傷での討伐は無理でしょう」


「これでもBランクなのだが……無理か?」


「いえ、行けると思いますよ。ちゃんと策を立てて対決するなら。今回はほぼ遭遇戦に近い形になります。行けば分かりますが、熊は通常森に隠れています。およそ120刻ほどで飛び出してきます。多少前後するかもしれません。またおそらく馬の味を覚えてます。熊はしつこいですからね」


「うーん。そうかきつそうだな」


「商人さんが利益を確保したいなら100刻以内で手当たりしだいに積み込むようにして直ぐに離脱するしか手はないでしょう。もしも鉢合わせしちゃったら馬車ごと命まで失う可能性もあります」


「目ぼしいものは君達が得たんじゃないかい?」


「結構いいものを持って来たと思いますけど、突然四つ手熊が襲ってきたのでほとんどの荷物を持ち出せませんでした。その最初の犠牲者の商人さんは結構やり手だと思いますよ? こんな指輪を3つもしていましたから」


「お金以外に換金できるものに交換していた可能性の方が高いから何とも言えないけどそれだけやり手かもしれないね」


「……」


 もう私から話す事はあまりない。あとはこの商人さんとカイゲルさんの判断次第ね。スープが余りそうなので一応お裾分けしてみた。


「美味いな! どうやって作ったんだ。簡単に作ってたよな?」


「おやおや。これは……本当に凄いですね。手早く美味しい料理、機転も利いて金勘定までしっかりしている。うちの息子の嫁に欲しいくらいだ。いや、うちの息子じゃ逆に喰われかねんか。無理だな~」


 なんか勝手なこと言ってるけどまだお嫁に行くつもりなんてありませんよ? そんな雑談を暫くして2人は戻って行きました。2人の決断がどうなったかは知らないけどご無事を祈っていますね。


 隣で満腹になるまで食事をしていたネイちゃんも船を漕ぎ出したのでそろそろ寝ようかな。今日は隣に大きな商隊の人も居るし、不寝番はいなくても平気かな?


「ネイちゃん、もう寝ようか? おいで、この毛皮暖かいし大きいから2人でも大丈夫よ」


 2人で毛皮にくるまって寝ました。なんだか妹を寝かしつけてるみたいな気がします。ではもうお休みなさい。



    ◇     ◇     ◇



 翌朝目覚めたら隣の商隊はもう出発するみたい。戻るつもりはない様で横を素早く素通りするなら良いけどどうするんだろう。……護衛の人たちの気合が凄いから100刻まで粘るのかな? それとも討伐までやっちゃうつもりかしら?


「おはよう。ネイちゃん。今日も手伝ってね。朝ご飯作るからね」


「フォ~~」


 一声奇声をあげてからコクコクと頷いて、昨晩と同じ行動を始める。私は昨日の即席の矢を持って朝食のおかずを狩りにでた。


 こっちがゆっくり朝食を取っている時、商隊主さんが声をかけて来た。


「私達はもう行くよ。ローランド商会のロドリゲスと言います。街に店を構えています。お訪ねください。では」


「じゃあな。嬢ちゃん。あの街ではトップランカーだからよ。困った事があったら声かけな」


 フル装備でかためたカイゲルさんもそう言って去って行きました。そのパーティーの方達もフル装備で手を振っていきました。ご無事なら良いんですけど……。

以下にこんなのも書いてます。よろしかったら。

 異世界農業物語~異世界で農業始めましたーhttps://ncode.syosetu.com/n0558dz/

 異世界転生苦労譚~異世界だって甘くない~https://ncode.syosetu.com/n3637fl/

 エルフ賢者の子育て日記―https://ncode.syosetu.com/n5068fk/

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