111.神殿騎士見習い
おお~。これは! 祈りを終えてネイちゃんを見るとネイちゃんもちゃんと聞こえたようです。驚いたような顔から満面の笑みに変わったからね。
「あら、レベルアップなさったみたいですね。おめでとうございます」
私たちの様子からレベルアップしたと判断した鉄女が祝福してくれました。もちろん音は本人以外は聞こえません。
「はい。ありがとうございます。お祈りしないとレベルアップしないなんてさっき知ったのです」
「え? あ、いえいえ。そうですよね。毎日お祈りなんてしないですよね。神殿関係者じゃないんですから。でも神様はいらっしゃいますからちゃんとお祈りした方がいいんですよ」
「ですね~。今まで生き抜くのに必死だったのでお祈りするどころじゃなかったんですよね。もうその日その日が大変で……」
「そうですか。どちらかの村落出身ですか? 神殿ももっと地方の隅々まで見られたらいいんですけど、人手がやっぱり足らないんですよ」
「ふ~ん。うちの村もお札しかありませんでしたね~。初めてお祈りしちゃいましたよ」
「あははは……。はぁ~。そこまでですか。もっと頑張らねばいけませんね。神官や巫女ではいつ滅ぶか分からない村落まではどうしても無理があります。そこで神殿騎士や神官戦士が赴けばいいのですが、武に突出できる方と言うのは少ないのです」
「因みに、あなたは神殿騎士様?」
「ならよかったのですけど、見習いになったばかりです。やっぱり戦いは怖いです。正直自分で志願したのですが無理かもしれません」
見習いか~。神殿も楽じゃないってことですね。その点私たちは恵まれましたね。師匠に会えたのが一番ですが、その前もジュリエッタさんとマリーさんに会えたのでそこそこ稼げてましたしね。
「え~と。レベルアップ確認いたしますか? 一応私でも確認位ならできますよ?」
「あ~。冒険者なのでギルドカードあります」
「あら、すごいですね。お若いのに」
そういうあなたもお若いですよね? まあ、ご厚意はうれしく思います。う~ん。確か神殿で能力を見てもらえるんだよね? 一般人は自分のステータス確認できないから神殿で確認するんだよ。
神聖魔法に『ステータス』の呪文があるんでした。物は試し? 確認してもらいましょう。
「え~と。神殿での確認は『ステータス』の呪文ですか?」
「はい。そうですよ。神官が最初に覚える呪文になります」
「おお~。見てもらったことないのでお願いしてもよろしい?」
「ええ、もちろんです」
そういうと鉄女は祝詞みたいな呪文を唱えて力ある言葉を最後に発した。『ステータス』。
なるほどね。呪文を唱えた人しか見えないんだな。となると神官の言ったことを信じるしかないわけだ。これはこれでどうなんだろう?
「え~と、そうですね。レベルは5です。まあ、凄いですね。一般の方だと2か3ぐらいが普通です。流石は冒険者さんです」
おお。と言うことは一気に5レベルアップしたんだ。最初はレベル0、レベルなしから始まるので5個上がったことになります。
「えっ? 筋力(STR)が8? 低いですね。一応レベルアップごとに1づつ上がったみたいです」
ぐふっ。低いんだ。と言うことは元々3だったの? ちなみにネイちゃんは7です。エルフは筋力弱いからね。
大丈夫。気にしてないよ。私たちは錬金術師見習い。頭を使う職業だからね。筋力は脳筋野郎に任せればいいんだよ。
「因みに騎士様はどのくらいでしょう?」
「あ、申し訳ありませんソフィアと申します。私は同じレベル5ですがSTRは28です」
ゴハッ! そんなに違うんだ。目から汗が出そうです。
「ああ、えっと。一般の方だと10から12くらいですので、私がありすぎなんです。この筋力のせいで僧侶見習いになれず神殿騎士見習いになりましたから」
そ、そうか。若干低い程度なら、まあ、許容範囲ですね。やっぱり騎士様が異常だったんだ。良かった。再起不能になるところでした。
ひょっとして魔法に頼りすぎで筋力上がりにくくなってる? ちょっとは鍛えた方がいいかな? あれ? 一般人より低い? あれ? 私、冒険者だよ?
……深く考えるのはよそう。
「わ~、凄い。お二人とも魔力は高いです。magは21と23です。いいですね~。私でも16ですよ?」
ふふん。ちなみに私が21です。魔法優遇種族には勝てませんでした。これでも錬金術師ですからね。ふふん。
「ふふふ。錬金術師見習いでもあるんですよ。このほど正式な見習いになりましたからね」
「……ふふふ」
「うふふ。そうですか。素晴らしいと思いますよ。異常なくらい高いですね。一般の方だと2から12くらいです。魔力はばらつきが大きいですから」
あれ? 褒められてない? まあ、いいか。驚いているんだろう。
「詳細は別紙に記しておきますね。全部説明していると長くなりますから」
鉄女改めソフィアさんは専用の用紙にいろいろ書き記してくれました。お礼を言って帰ろうかと思ったっらガシッと腕掴まれたよ。筋力28で。
「うふふ。いやですわ。ほら、あれ。忘れてますよ。ご・喜・捨」
金取るのかい! 仕方ない。神殿も食べていかなきゃならないからね。どうかを取り出そうとすると優しく首を横に振られました。じゃあ、と小銀貨を出したんだけど、なんか握っている手に力が徐々に入っていく気がしたので角銀貨でもダメでした。
「うふふ。紙も高いんですから。銀貨から受け付けますよ? ちなみに1レベルで1枚から5枚が一般的ですね」
おふっ。うわ、結構高いよ。最低でも銀貨5枚! 5枚で済まそうと思っていると……。
「まあ、冒険者の方ですと3枚くらいからですね。商人さんなんかで4枚以上、お貴族様ですと5枚以上や小金貨なんかもくださいますね」
さりげなく要求しているつもりだろうか? 結構イタイです。ええい! もってけドロボー。泣く泣く小金貨2枚支払いました。
ちょっとした好奇心だったんだけど、神殿ぼろ儲けじゃん。前回と今回の稼ぎにお小遣いまで吹っ飛んだよ。二度と頼むもんか!
遅くなりました。自転車操業で投稿しているのがばれますね。これからも頑張って投稿するようにします。一度止まっちゃうと復帰するのがなかなか難しいんですよね綿氏の場合。