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110.レベルアップと奇妙なもの

 カナエ魔道具店を出て一旦家に戻る。何を隠そう素材採取に行った時のままの恰好だったのです。全身濡れそぼり髪の毛はピタッと張り付いてなんてことはないけどね。洗浄に乾燥の魔法があるから。


 それでも神殿に行くなら着替えた方がいいだろうとの考えです。もちろんお風呂に入ってから着替えました。今日はなぜかカンナさんといっしょです。


 カンナさんも冒険者として雨の中、狩に出ていたご様子で、帰宅と同時にお風呂に行かされてました。


 カンナさんも大柄なので胸部装甲は大きいです。うらやましい。私とネイちゃんは今だツルペタ……いやいや、私は少し膨らんで来ているはず。


「カンナさん、尻尾はどうやって洗ってるの?」


「ん~。これだ。サリーに特別に作ってもらっている尻尾用の洗浄剤でふわふわにしてるんだぞ」


 何やら大事そうに小瓶を取り出して、尻尾に粘性がある液体をかける。わしゃわしゃと泡立てながら丁寧に洗っていく。しかーし、根元の方がよく洗えてない。


「カンナさん、ここら辺とか洗い難いでしょ? 手伝ってあげます」


「ん? そうか。助かる」


 お尻へと続く根本付近は後ろ手でなんとなく洗っていたので、お手伝いです。ふわふわになればうれしいですからね。もちろんいつもお世話になっているネイちゃんも参加します。


 私達からすれば、カンナさんの尻尾はかなり大きいです。通常時は私達の半分以上で1メルくらいあります。濡れるとふわふわの毛がペタッとなるのでずいぶん細ってしまうので貧相ですね。


 2人掛かりで尻尾の根元をわしゃわしゃと洗います。


「お~、結構気持ちいぞ」


「えへへ。そうですか。ふわふわになったあとは私達も気持ちいいので頑張りますよ」


 いつも湯船につかるときは師匠の股の間でしたが、今日はカンナさんの股の間です。ふわ~いい湯だなっと。結局みんなで洗いっこになりました。私たちはまだ髪の毛はうまく洗えないので洗ってもらうしかないのですけどね。


 お風呂から出て着替えたらカンナさんは寛ぐようです。ソファーにゴロリとなってしまいました。普段着にローブ姿となった私とネイちゃんは、またまたポンチョを着込んでお出かけです。


 雨の中向かうのは当然神殿です。レベルアップ、レベルアップうれしいなっと。必ずするとは決まってないけど、結構頑張ってたよね? せめて1つくらいは上がるんじゃないかな~。


 神殿はやや中心部から外れ居住区のハズレ辺りに建っています。まあ、あまり大きくない街なので神殿もそれなりです。神殿っていうから石造りの立派なものを想像しちゃうよね。


 実際には教会なんだけど、組織含めて神殿と呼ばれているんだよね。私の居た限界村にはそういうのはなくって礼拝所とお札だけでした。


 うん。そう、初神殿です。それでも村の礼拝所よりは立派ですよ。ネイちゃんと手をつないで神殿の正面でほけ~っと見上げていると何やら奇妙なものが神殿に入っていきました。


 見間違いだと思う。そんな訳ないもの。うん、うん。ネイちゃんも見なかったことにしたみたい。さあ、気を取り直して正面扉かられっつらご~。


 神殿に入るとそこはすぐに礼拝所になっていました。村にあったのより広いけどつくり的には同じかな。長椅子が並べられていて正面に祈りを捧げるようになっているの。


 違いは村の場合、お札が飾ってあったけど、ここでは神像がずらりと並んでいること。中央が主神の創造神さま、その左右2対にいらっしゃるのが4大神、太陽神様、月光神様、大地神様、大海神様です。


 まあ、あとさらにその他の神様も並んでいたりするけど、もう気になって気になって仕方ないよ。なんか知らないけどゲションゲション音を鳴らしながら目の前を横切っていく鉄の塊。


 フルアーマーに見えなくもないんだけど、その比率がおかしいだろ! だって私達とそんなにサイズが変わらないフルアーマーなんだよ。鉄の塊にしか見えないって。


 極めつけは身の丈の2倍はあるウォーハンマーを担いでるんだよ。いや、まあ、担いでるやつが小さいからだけど普通のサイズなのかもしれないけど。


 くっ。気にしちゃ負け、気にしちゃ負け、気にしちゃ負け。やっとの思いで視線を外して神像観察に戻ると居ましたよ居ました。端の方に金、銀、黒の女神様。


 一応主要神の一角でした。良かった良かった。マイナー神様とかだったらどうしようかと思っちゃった。うん、うん。ちゃんと覚えてるよ。


 あの時は何を司っている女神様か分からなかったけど、どれどれ。うん、どこにも書いていないね。さてどうしたものか。


「すみませーん。そこのゲションゲション言わせてる人ー、神殿の関係者の方ですかー」


「ほえ!? あ、はい。そうです。何か御用ですか?」


 一応人が入っていたみたい。違ったら間抜けすぎるよね。ゲションゲション音を奏でながらこちらに近づいてくる。サッとネイちゃんが私の後ろに隠れるあたり怖いのかもしれない。


「この女神さまは何を司っている女神さまですか?」


「ああ、はい、はい。え~とこちらは時と運命の女神さまたちですね。ふふふ、なかなか目の付け所がいいですね。普通は主神様や4大神様あたりを拝むんですけど」


「ほう、ほう。ありがとうございます。時と運命ですか~。お祈りしておきましょう」


 3女神さまの像の前に跪いて、祈りを捧げます。ネイちゃんももちろんまねしてますよ。するとピロリン、ピロリンと言う音が聞こえてきました。

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