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107.錬金術師見習い12

 既に問答無用とばかりに先行してネイちゃんが逃げ出している。後を追うように私も逃げ出す。ギフトによる身体強化と魔力による身体強化の重ね掛けだよ。


 一気にネイちゃんに追いつくとちらりとこちらを見たネイちゃんがさらにスピードを上げて逃げ出す。くっ、ネイちゃんたらマジモードだよ。


 いくら重ね掛けだとは言っても荷物が持ちにくい。えーい。やってやろうじゃないの。さらに全身に魔力を行き渡らせさらに加速する。


「ネイちゃん! どうするつもり。逃げきれないよ。あいつらの方が早いんだから」


「……今、考えてる」


 やっぱり。無策だった。まあ、荷物を持ってようが持って無かろうが、逃げ切れないのは確実なんだけどね。ああ、聞こえ始めたよ。後方から藪を掻き分けるザシャという音が聞こえ始めてる。


 どんどんその数が増えていき、さらに後方から側面へと拡散していく。チラっと横目で確認すると私たちに並走するようにナイトウルフがまた1頭と増えていく。


「このままだと囲まれちゃう」


「……ギリギリまで逃げて木の上に退避かな?」


 まあ、それしか選択肢がないんだけど、狼系の魔獣は木登りできないからね。んん? タグに引っかかるものがあった。


「ネイちゃん付いて来て」


 一声かけて進行方向をやや右寄りに変える。タグに向かって進んでいくとそこにはゴブリンたちが徘徊している。こっちに気づいたゴブリンたちがギャアギャアと騒いで得物を構える。


 そうです。魔物同士をぶつけ合う気ですよ。へへへ。ナイスなところに居ましたね~。さあ、潰し合え!


 ゴブリンの直ぐ傍まで来たところで方向転換。そのまま走り去る。ゴブリン達も慌てて私たちを追いかけ始めるが、ナイトウルフに気付いた模様で混乱状態に陥る。


 おや~? ナイトウルフがゴブリン達を無視して迂回、そのままこちらを追跡してきた。ゴブリン達も戸惑っていた様だけど、自分たちが襲われないことを理解したのか追跡に参加してきた。


 うわ~ん。目論見が崩れた。敵が増えちゃったよ~。


「失敗しちゃった」


「……ドンマイ……」


 ゴブリン達と接触したためナイトウルフたちの連携が乱れやや引き離すことに成功したことだけは幸いです。しかしすぐに立て直して追い立ててくるだろう。


 えーい、仕方ない他の魔物にどんどんぶつけてその内、潰し合ってくれるかもしれない。右に左にとタグに表示される魔物を掠めながら逃げろ~。


 私たちの後方がもう五月蠅いぐらいに魔物の群れに満ち満ちていた。これって俗に言うトレインっていうやつじゃないかな? 前世の記憶がそういってるよ。


「マズイ。マズイ。このまま草原まで逃げきれそうだけど大丈夫かな?」


「……魔が溢れちゃうね。そのまま街になだれ込んだりして……」


「い、嫌な予想だよ。そうなると下手人は私達だよ。魔物から逃げ切ってもお尋ね者になっちゃうよ」


「……捕まれば縛り首か斬首か」


「うわ~ん。とどまっても地獄、逃げても地獄じゃないか~」


「……どうしよう。もう木の上に逃げることもできないよ」


「一か八か草原で迎え撃とう。ひょっとしたら援軍が来てくれるかもしれないよ? 街からも見えるだろうし。カンナさんか師匠かほかの冒険者とか」


「……草原には薬草採取のFランク達もいるけどね」


「ま、まあきっと逃げるでしょ。私たちがドンパチ始めれば……」


「……だね。それを期待するしか手がない」


 私たちは一気に草原に飛び出して力の限り叫びました。


「「逃げろー。魔物の大群が来るぞー」」


 やや遠くでのんびり薬草採取をしていたチビ達(Fランク)が私たちの声に驚いてこちらを見たのが分かった。草原をしばらく走ってその場にとどまり、抱えていた荷物を降ろす。


 森からはただならぬ気配が漂い、すぐに足の速い狼系の魔獣が飛び出してきた。直ぐに状況を察したのかFランク達は荷物を捨てて一目散に街に向かって逃げ出してくれた。


 魔獣の第一陣はナイトウルフ。やっぱり早い。迎え撃つ気満々だった私たちは弓を構え気闘法を練り、魔力を満たした。追い詰められた私たちは気闘法を練りながら次々と矢を放つ。


 普段はできない気闘法の連射です。でもそんな事に気付く余裕はありません。同時に練っていた魔力で地水火風氷雷光闇と次々に初級魔法を連射します。


 あっという間に矢を撃ち尽くして、貫通矢、爆雷矢も底を尽きました。弓を投げ捨てて抜刀します。抜刀しながらの飛漸、飛漸、飛漸。


 ここまでやってナイトウルフを仕留めた数は11頭。残り4頭ですがその後ろから普通の狼が飛び出してきました。メインウエポンの矢が底をついたのでサブウエポンの小太刀での飛漸と豊富な魔力の初級魔法のみとなりました。


 既にナイトウルフの接近を許してしまいましたが、初級魔法8連射で1頭をそれぞれ仕留め、飛漸での連射と接近戦で最後の1頭をお互いに仕留め切りました。


「ネイちゃん。魔力は?」


「……まだ大丈夫。次の狼は弱いから一撃で仕留める」


「OK~。私もまだいけそう。その次はゴブリンかな~あいつら群れると凶悪なんだよね」


 宣言通り狼たちは初級魔法1発で次々と沈んでいきます。8発を撃つことなく狼の群れを斃し切りましたが、間髪入れずゴブリンどもが襲い掛かってきました。

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[一言] ウリ坊じゃないし、案外平気っぽいw
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