戦闘
錆びれた東京のような街から砂漠の方へ向かって行く。なんとなくだがなにかがある気がする。相変わらず夢の内容は思い出せないしなぜあんな場所にいたかも分からない。
「まぁ砂漠にはucが少ないからな」
距離はあるが見つからないように行けばいいだろう。
「見つかれば殺されるからなぁ……死んでも死ねないね」
自分はなにに突き動かされているのか分からないが、嫌な感じはしないから気にしないでおく。
━━━━━━━━━━━━━━━
ucの巡回警備をかいくぐって砂漠の方に向かっていると道路に砂漠の砂のようなものが増えてきた。建物の崩壊もより激しくなっている。
「まだ先だったような気がする……」
自分の直感を頼りに意味もない世界に意味を見出そうとする。
それからまた歩きはじめてもっと時間が経ち建物がほぼ見えない砂だらけの場所になったとき戦闘音が響いて来た。
「生物はこの世にはもういないしたぶんuc同士のバグで戦ってるんだろうなぁ」
しかし、一縷の望みを捨てきれず見に行こうと思って歩を進めたとき、戦闘音が近づいてきた。
「これは……やばいぞ………」
僕は回れ右して隠れられそうな建物を必死に探した。もちろん走って。
横に向かって走って逃げないのはuc達の戦闘中視界に入ってしまう可能性があるからだ。だから、向かってくる方向と同じ方向に逃げる。
「不味い……このままじゃ………」
徐々に戦闘音が近づいてきたとき右前方に程よく小さい洞穴を見つけた。
僕は迷わずその洞穴に飛び込んだ。その洞穴は砂でほぼ埋まっているようで体がすっぽり収まるくらいだった。頭を外に向けてuc同士の戦闘を見ようとする。
金属音がすぐそこまで近づいてくる。警戒しながら目を凝らす。
刹那の瞬間バコッと音が鳴って戦闘が終了した。予想通りuc同士の戦闘だったようだ。しかし、速すぎて何をしているか全く分からなかった。音を拾えたから辛うじて戦闘が終わったかどうかが分かったぐらいだ。
「はは……なんてぶっ壊れ性能なんだよ………」
そんな言葉が漏れ出てしまうほどucの性能は異常だ。
戦闘に勝った方のucとは距離があるためこちらの声は拾えなかったようだ。勝った方のucは急いだ様子でどこかへ戻っていく。
僕は、ucが完全にいなくなってから洞穴から体を出した。
負けたucの場所へ行くと傷だらけの下半身がない物体が落ちていた。
こいつらのせいで人間や生物が減った。怒りが湧き上がって来てしまう。
「クソがっ……ざまぁっ………」
傷だらけの物体をただひたすら蹴る
「はぁはぁ……はぁ……」
ストレスを発散したことにより少し冷静になった頭でその物体を注意深く観察してみるとどこかを見ている。その視線の先を辿って見ると…
見た事のある旗が砂に埋もれていた。