ゆうしゃの きんいろの かぶとと よろい
ある おうこくに それはそれは つよい ゆうしゃが いました。
ゆうしゃは、いつも きんいろの かぶとと よろいを みにつけて、けんを もっていました。
かぶとは、かおが かくれる おおきさ です。
まちや むらに まものが あらわれても、この きんいろの ゆうしゃが くれば もう あんしん。
まものは、その かぶとと よろいを みただけで、こわがって にげてしまいます。
あるとき、おうさまが ゆうしゃを おしろに よびました。
おうさまは、ゆうしゃに わかい おうじを しょうかいして いいました。
「こんど まものが あらわれたら、この おうじにも たたかわせたい。
はじめて なので、おまえの かぶとと よろいを かして もらえないか?
けんは こちらで よういしよう。」
ゆうしゃは、そのほうが あんぜんだと おもいました。
「わかりました。おかしします。
わたしは、いつもの けんと ふつうの かぶとと よろいで おうじの そばに います。」
おうさまは、「たのむぞ」と まんぞくそうに わらいました。
そのひの よる、むらに まものが たくさん あらわれました。
にんげんの すがたをしていて、かおは おおかみの まものです。
それが、いままで みたことが ないほど、たくさん います。
きんいろの かぶとと よろいを みにつけた おうじ、ゆうしゃ、へいしが むらに かけつけました。
すると、おうじは、「うわーっ!」と おおごえを だして、まものに むかって はしりだしました。
ゆうしゃは、さけびました。
「おうじ! ひとりで そんなに はしっては いけません!」
でも、おうじは にげる まものを おって、どんどん はしって いきます。
あわてた ゆうしゃと へいしが、おうじの あとを おいかけました。
ところが、よるなので、おうじが どこまで いったのか、わからなくなりました。
すると、まものが ゆうしゃと へいしを とりかこみました。
いままで ゆうしゃが けいけんしたことが ないほど、たくさんの まものが います。
「おうじ-!」
ゆうしゃは、さけびました。
でも、おうじは もどって きませんでした。
よくあさ、きんいろの かぶとと よろいを みにつけた じんぶつが、ひとりだけ おしろに もどってきました。
だれもが、それは おうじだと おもいました。
しかし、かぶとを ぬいで あらわれたのは、ひとりの へいし でした。
今までの童話とは、違う路線にして、異世界風にしてみました。
戦闘シーンは、ありません。残酷なシーンも、省きました。
魔物との戦いの開始直前と終了後の場面だけを見せて、それとなく匂わせている程度です。
これでも、何が起きたのか、十分おわかりいただけると思います。