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水戸藩の対策会議(水戸藩藩主Side)

一年前から将軍様は九州へと出陣している。

将軍様の代わりに江戸城の留守を任されているのは水戸藩の者たちだ。

そして今は西方の国から大砲と一緒にやって来てしまった王女に、どのように対応すべきか話し合っていた。

姫はすでに港から江戸城に到着しており、今は急遽用意させた部屋で待たせている。

「たしかに将軍様はどのような条件でも必ず大砲を持ち帰れと言われたが・・・。水戸様、まさか王家の姫が来てしまうとは困ったことになりましたな」

現在の将軍様はご高齢であるにもかかわらず未だに後継者たる男子がいない。

御三家は次期将軍の座を争っていた。

だがその争いは一端中断することになった。

モンゴーヌの大軍が九州に上陸したためだ。

今までは水軍の優勢により本土への上陸は回避されてきたが、モンゴーヌが新たに投入してきた新兵器によりこちらの水軍は大きな打撃を受けた。

その戦況を打開する為の重要な要素が遙か西の国々が保有している大砲だった。

「本当に・・・相手は年増とはいえ王家の姫ですからな、当家以外の主だった者たちが戦場に赴いている現状で身分の釣り合いを考えると、候補は水戸様のご嫡男である一光様しかいらっしゃらないではないか。まさかこれは尾張や紀州の策か?」

将軍家は血筋を重んじる。

過去に将軍家の嫡男が外様大名の姫に懸想して、江戸城が混乱したことがあった。

その時は子をなさぬ事を条件に、徳川の名を捨てて一代限りの旗本として外様大名の姫と結婚することで落ち着いた。

ワシには二人の子がおるが、次男はまだ乳飲み子で当然婚姻の対象にはならぬ。

長男の一光が異国の姫と結婚すれば将軍の座を狙うことなど出来ない。

それどころか水戸藩を継ぐことすら出来なくなるかもしれぬ。

そうなれば水戸藩は次男の次郎丸が継ぐことになるが、それでは将軍候補争いからは完全に脱落する。

異国の姫にはそれなりの血筋の者をあてがって納得してもらわねばならぬ。

「和田よ、異国から来た姫はどのような者であるか?」

ワシは姫を江戸城まで連れてきた家臣に問いかけた。

「常識やつつしみが無く、大柄で白髪、行き遅れの大年増で御座います」

なんと、これは同盟を口実に自国で行き遅れた姫を押しつけられたのか。

こちらが望んでいない姫ではあるが、礼儀としてワシと一光が姫と対面するつもりだった。

だが下手に対面させて、姫が一光に懸想でもされたら適わん。

「この状況を打破するための何か良い策はないか?」

「とにかく本日の姫との対面は回避して時間を稼ぎましょう」

「他に良い案はないか?」

家臣たちは沈黙したまま口を開かない。

「わかった、ワシは気分が優れぬ。姫との対面は後日としよう。だが多少の時間を稼いだところで根本的な解決にはならぬぞ」

ワシは家臣たちを見渡す。

するとその中で若手の和田が口を開いた。

「拙者に策がございます」

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