罠
社に供えられていた米俵に抱きついた私に網がふってきた。
「ぎゃー!」
私は網に絡まったままジタバタと暴れたが余計に絡まるばかりで一向に抜け出せない。
方々からガサリと茂みをかき分ける音が聞こえた。
「わたくしはこの社の神、白米天狗なるぞ!無礼者めこの網をほどけ」
はったりでもなんでもとにかくこの網から抜け出さねば。
「本当にこんな罠に引っかかるなんて・・・」
現れた侍たちが私を取り囲んだ。
まただ、また私は白米に気をとられて失敗した。
この国に来たときもお米のことしか見えてい無くて、そこにある悪意や罠に気がつかなかった。
私の瞳から涙が滝のように流れる。
ごめんなさい、サヨコ、キュウベイ・・・
『ルー様、行方不明と聞いて多少は心配していたのに、こんなところで何しているんですか?』
背後からあきれたような口調の懐かしい声が聞こえた。
え・・・
「ル-様、大変申し訳ありません。今網を外しますので逃げないでくださいね。良いですか?」
「アーニャ、小笠原様?」
『はい、ルー様の一の侍女であるアーニャですよ。もうなにも心配はいりません』
私はジタバタするのを止めて、大人しく網が解けるのを待った。
「ルー様、取れました」
網が外れて自由になった私はアーニャに駆け寄り思いっきり抱きついた。
ドン!
アーニャが私を支えきれずに尻餅をつく。
『ルー様、私は貴方様と違ってか弱い乙女だと何度申し上げれば分かるのですか』
主に対してこのふてぶてしい態度、間違いなくアーニャだ。
私は彼女に頬ずりした。
そして一つの疑問を口にした。
『ところで何でアーニャがここに居るの。わたくし倭国へは誰も連れて行かないって言ったよね?』
すると
「”倭国語が話せない者を連れていっても役に立たない”と言われた記憶は御座います。ならば倭国語が話せればついて行っても良いのですよね?」
彼女は流ちょうな倭国語で私にそう告げ、その後わざわざ母国語でこう続けた。
『それに、ルー様の側は仕事が楽で快適ですから』
私はこの言葉に笑った。
その後、一端炭焼きの家に戻りサヨコとキュウベイにまた遊びに来ると約束をしてわかれ、私は小笠原様たちと共にとある宿場の宿に入った。




