五カ国連合艦隊(ハルデブランド国王Side)
「我ら五カ国連合同盟の代表としてルゥールァリーが倭国に旅立って早二ヶ月か。木の上にあったテーブルも王城の隅にあった菜園もなくなってしまうと寂しく感じるものだな」
この二階にある謁見の間への通路を通ると、たまに木の上でお茶をしているルゥールァリーがお父様と笑いかけてきた。
おてんばで変わったことをしようとするあれには散々頭を悩ませたものだ。
私は謁見の間の最上段に腰を下ろした。
「報告せよ」
私は我が国最大の軍港を治めるフィランド侯爵を見つめる。
「はっ、言葉や文字の壁だけでも厄介なのですが、倭国の船の技術は高度であり、最初から大型船を作るのは難しいようです。そのため先ずは小型の船を建造して我が国の職人たちを倭国のやり方に慣れさせ、その後に外洋航海が可能な大型船を建造することで他の四カ国とも調整が終わりました。倭国への援軍は建造後の訓練の期間を含めて一年以上はかかるものと思われます」
やはり倭国の技師から技術を教えられても、すぐには建造することは出来ぬか。
倭国がモンゴーヌに敗れれば東方に展開している軍が、今度は我ら五カ国連合同盟との戦争に投入されるだろう。
それは困るのだ。
まあ、倭国の使者は現状でもモンゴーヌの侵略を後五年は持ち堪えることが出来ると言っておったし、旧式の大砲ではあるがそれなりの数を無償供与したので心配することもないだろう。
無理に急がせて派遣した艦隊が途中で難破したら元もこうもない。
「わかった、必要な物があれば申し出よ。最大限考慮する」
五カ国連合同盟の国々は二隻ずつ外洋航海可能な大型船を建造して、共同で倭国へ向かうことになっている。
「では多少でも通訳が出来る者がおりましたら増派をお願い致します」
通訳か、始めて倭国の船がこの地を訪れてからまだ二十年しか経っていない。
そして今回の来訪が二回目だ。
倭国語が話せるものなど・・・そういえばあれが懇意にしていた商人は二十年前に来た倭国人の血をひいていて、倭国語が多少は話せると言っていたな。
「その件については多少の心当たりがあるがあまり期待せぬように」
その後、倭国人の血をひく商人と、その弟子と称する王宮の侍女がフィランド侯爵の元に派遣された。
ところでなぜ侍女が弟子なのだ?




