ラウンド15・圭太の呟きの裏側&闇と子羊の実態
失敗した。
あの時日高を信じて、すべて打ち明けていれば。
こんなことには、ならなかったかも知れないのに。
もう、遅いが。
俺は中原圭太。小五の男子だ。
俺は今、後悔している。
あの時に、日高を信じて、何もかも打ち明けていれば。
そして、あの時きちんと忠告していれば。
これから、あいつを危険な目に合わすことも、なかったのにな・・・・。
俺の本名は、岩本圭太だ。しかし、一年のころに苗字が変わった。
なぜなら。
俺は両親を、幼くして亡くしたのだから。
俺の父さん―――岩本厚樹は、俺が小さいころに死んだ。病死だそうだ。
残されたのは俺と母さん。母さんは、女手一つで俺を育て上げてくれた。母さんのおかげで、今の俺がいる。
しかし。
その母さんも、俺が一年のころに、交通事故で亡くなった。
そして俺は、養子として親戚に引き取られた。
そして引き取られた先が、今の俺の家―――――中原家だった。
中原家には、亭主の岩本厚樹、その妻の中原慶子、実の娘の中原合歓がいた。
俺はその、義弟として幼稚園年少のころ引き取られたのだ。
引き取られた当初は、みんなとても優しく接してくれた。それはもう、妖しいほどに。
そして数ヶ月経ったある日。俺の人生を狂わせる、運命の日がやってくる――――――。
〜☆〜
『圭太くん、やっと見つけた』
『あ、合歓姉さん。なあに?』
『圭太くん、お姉さんのお願い、聞いてくれる?』
『お願い?』
『そう、お願い。聞いてくれるかな?』
『うん。いいよ』
『お姉さんね、苛められてるの』
『え!?』
『だから、強くなれるところに通ってるんだ。』
『へえ〜。僕も強くなりたいなあ〜』
『それなら、圭太くんも一緒に通ってくれるかな?』
『うん!!いいよ!!』
『じゃ、今日の夜、お姉さんと一緒に行こうね』
『分かった!!』
〜★〜
この会話が交わされたその夜、俺は闇と子羊本部に連れて行かれ、その場で入会手続きをしてしまった。
その時は、姉さんの言葉を信じきっていたからだ。
しかし、今思うと姉さんの言葉は嘘じゃなかったようにも思う。
そこに入った俺は、その言葉通りに強くなれたのだから。
〜◆〜
少し話はそれるが、闇と子羊には、『部署』というものが存在する。
部署は三つあり、それぞれがまったく違う役割をしている。
一つ目は『収集部署』。その名のとおり、情報を収集する役割だ。
二つ目は『特殊能力部署』。これは人工的に開発された特殊能力を一人ひとりに覚えさせて、ある目標のために備える部署だ。
最後は『裏部署』。これは普段何の役割もしないが、すごく力がある人が優先的に配置される部署だ。
そして俺は、姉さんが所属し、『強くなれる』という、”特殊能力部署”をえらんだ。そこには、菜摘と菜摘がいた。
そして俺は、その事――――闇と子羊のことはまったく知らずに、”強くなれるところ”として小学校入学式を迎えた。
入学した俺は、夏樹にすべてを教えられる。
夏樹も、闇と子羊に所属する一人で、『裏部署』に所属していた。だから、すべてが分かるのだ。
しかし、夏樹は俺に秘密を教えているところを菜摘たちに見つかり、攻撃を受けてしまう。
そして今。夏樹はまだ、攻撃のときうけた傷が治らず、入院している。
そして俺は、自分のせいだとショックを受ける。そのショックで俺は、”好き”という感情が分からなくなってしまったのだ。
〜◇〜
このことを俺は日高に教えたほうがいいのか?
いや、教えないほうがいいだろう。
あいつを危険な目に合わせたくはないから。
そのつもりで委員会も離れようとしたのに・・・・・。
ほんとは俺も、あいつと同じ委員会に入りたい。
でもあいつを危険な目に合わせたくはないという気持ちもある。
だが、あいつを守れば菜摘に俺はまた、”あの時”のようにされるかもしれない。
―――夏樹をとれば俺は傷つかずにすむ。しかし、あいつはショックを受けるだろう
―――菜摘を守れば菜摘の思うつぼだ。あいつは守らない。けど―――
―――自分をとればあいつが消えるかもしれない。
―――あいつを守れば、俺はまた、あの時のように菜摘に――――!!
俺は、どうすればいい?
菜摘と夏樹と俺とあいつ、誰が大切なんだ?
そう考えれば、分かるはずなのに。
何も分からずに、今日も夜はふけていく。
なんか自分でも書いててわけわかんなくなりましたぁ(笑)
まあ、次からはまたハチャメチャになりそうですので、ご期待ください!?