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ラウンド12・そしてキミは疑い始める

ども、飛鳥です。


今は、自分の部屋にいます。健兄さんが「晩ご飯まだだから二階にいろー」っていったので。


で、やることも無い私は、とりあえず今日聞いた朝川さんと圭太の話を整理してみたいと思います。


「まず気になるのは、『闇と子羊』だなあ。闇と子羊って何だろー?」


もしかしたら健にいさんが知ってるかもということで、私は階下にいるお兄ちゃんに向かって声を張り上げました。

 


「健にいさーん」



「何だー妹」



「闇と子羊って団体知ってるー?」



「知ってるぞー」



「うそん」



「ほんとだじょー」



「じゃーどんな団体ー?」



「詳しくはテレビを見ろー。八チャンネルでいまやってるー」



「りょりょー。」



あたしは自分の部屋にある昔風の小さいテレビのスイッチをつけると、八チャンネル――――フ○テレビをつけた。


確かに闇と子羊の特集が。ってどんだけ世界的なんだその団体。



『えー闇と子羊という団体は、子供を引き取って育てる、孤児院的な活動が有名ですが、実はそれだけではなく、『裏』の活動をしていた疑いがあることが、今月十三日分かりました』



ちなみに、今日は十月十八日の土曜日。十三日って言うと五日前。五日前は月曜日。だから、今週の月曜日に発覚したんだ。



『その『裏』の活動についてですが、闇と子羊という団体は、引き取った子供に暗示をかけて、世界征服の仲間にしようとしていた可能性があります』


ほわっつ?


せ・か・い・せ・い・ふ・く?


どんだけアタマがぶっ飛びすぎてるんだその団体は。




『さらに、その仲間にした子供たちを各地に送り込み、世界各国で大暴れさせているという情報も入っています』



大暴れ・・・・ああ、|菜摘&菜摘(なつみ&なつむ)みたいなことね。



『なお、その団体のリーダー、中原竜郎なかはらたつろうはその事実を否定しています』



中原竜郎・・・・・どっかで聞いたことがある。


なんだっけ?



『次のニュースです。先ほどお伝えした、『闇と子羊』に所属している中原合歓なかはらねむ(女性)が、何者かに誘拐されました。その現場を目撃していた義理の弟で、同団体所属の中原圭太は――――』


しかもいつの間にか特集終わってるし―――――ん?


――――中原圭太?


その言葉が聞こえた瞬間、思わず自分の耳を疑った。


―――――なんで圭太が、『闇と子羊』に?

さっきの話だと、圭太はそこには入らなかったはず。


どうして、圭太が・・・・・・?




「あすかー」



「むう。なんじゃいにいやん」



「兄やんじゃねえーきちんと名前つけろ名前」



「じゃー健兄さん何の御用でーすーかー?」



「ご飯できたから朱里ちゃん呼んでー」



「了解ー」



あたしは自分の部屋の窓を開ける。と、そこにはベランダとちょっと奥にもうひとつ窓が。


お隣で暮らす一人暮らしの中学生、舞田朱里まいたあかりさんの家の窓である。



中学生だからアルバイトができずに、うちでご飯を恵んでいる。


けっこう気さくな人で、さっぱりしている性格。一応、彼氏はいない。


あたしは、「朱里姉さん」って呼んでるからあっちも、「飛鳥」って呼びすてしてる。


でも、今は中学三年生。来年、いや、さ来年になったら、うちに来ることもなくなるかもしれない。




とりあえず、いつものようにその窓に向かって叫ぶ。



「ご飯を食べたいやつはいねぇがー!今ならもれなく飛鳥サマのうちで美味しいものが―――」



「ここにいますよ飛鳥なま○げサマ!!」


こんな声がして向かいの窓が開く。そこには、朱里姉さんそのひとが。



「誰がなま○げじゃい」



「まーまー怒らずに。さて、お邪魔しマース」


そういうと、朱里姉さんはさっさとうちのベランダへ。


うちのベランダと朱里姉さんちの窓は、ほぼ十センチしかすき間がない。


加えて、朱里姉さんはけっこう運動神経がいい。


だから、軽々とこっちにこられるのである。



「ふふふ、今日のご飯はなんじゃらほい」


「楽しみだねー朱里姉さん?」


「うん!!」






「あー食った食った」



「おなかいっぱいだねー」



「うん、これで安心して家に帰れるわ。じゃーねー飛鳥」



「じゃーね―。朱里姉さん、また明日ね」



朱里姉さんはまたうちのベランダを通ってうちに帰ったとさ。


「さて、と」


さっき、考えてたこと。


どうして、圭太が?


あたしは壁にもたれかかった。すると。


「ドサッ!!!」


「うきゃあ!!」


あたしの足元に本が落ちてきた。


どうやらもたれかかったのは壁ではなく本棚だったらしい。


「いったあ・・・・・あれ、なにこれ。『飛鳥のアルバム』・・・・あ、これ、健兄さんが撮った小さい時の写真!!」


どうやら落ちてきた本―――アルバムは、小さい時に健兄さんが撮ってくれた写真アルバムらしい。


「あ、これ、二年の時に健兄さんとあたしと圭太と圭太の父さんで撮った写真・・・・ってええ!?」


なんと、圭太のお父さんの顔は、あの闇と子羊のリーダー、中原竜郎の顔と同じだったのだ。


――――圭太のお父さんが闇と子羊のリーダー、闇と子羊所属の女性が誘拐されたこと、そして圭太自身も、闇と子羊に入っている―――ー




―――圭太、まだ何か隠してるね―――?



あたしが「圭太がかくしていること」を知るのは、もう少し先のこと。

はい、新キャラ続々登場です。

飛鳥のお兄さん、お隣さんの中学生、圭太のお父さん、そして圭太の義理の姉、合歓さん。


あ、朱里さんの話はまた今度、します。

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