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ラウンド11・闇と子羊・後編

こんにちは、飛鳥です。


今回も、圭太の話を聞いてます。


「菜摘は俺を人気者にしてくれた。そこまでは良かった。が――――」


「が?」


「俺は、あることを知ったんだ。」






「おい菜摘、どうしたんだよ?こんなとこに呼び出して」


「あなたにあたしの秘密、教えてあげてもいいかなーって思ってさ」


「秘密?」


「ええ、あたしの、誰にも話したことのない秘密」





「そういうと、菜摘は話し始めた。」


「ナニを?」


「自分の秘密」


「はぁ」


「実は、あいつ――朝川菜摘は」


そこでいったん切ると、圭太はしっかりといった。


「二人いる」







「・・・・・二人!?二人ってどういうことだよ菜摘!?」


「言葉通りよ、私とまったく同じの朝川菜摘は二人いるの」


「・・・・・双子ってコトか?」


「ううん」


「じゃ、姉妹?」


「そゆこと」


「何で姉妹が二人そろって同じ名前なんだ?」


「それは――――」




                



「なんでも、菜摘のお母さんは百発百中の占い師なんだと。それである時、自分を占ってみた。そしたら」


「そしたら?」


「『生まれてきた子が女の子ならば、菜摘と名づけてはいけない』というお告げが出た。

その人は他人に対しては占いを押し付けるが、自分は迷信だと思ってたらしく、そのお告げを無視した。で、先に生まれてきた女の子に『菜摘』という名前をつけた」


「ほう」


「そしたら、次に生まれた子も女の子で、菜摘のお母さんは名前をつけるのに困ったそうだ」


「圭太、何で?だって、女の子の名前はいっぱいあんじゃん。『麻実』とか『敦子』とかマジでいろいろ」


「それはな、生まれた赤ちゃんの詳細パーソナルデータが、菜摘とほぼ全部同じだったんだ。」


・・・・・へ?


どーゆうこと?


リカイデキナイ。


「身長も、体重も、生年月日も、髪の色も、性格も、顔も。ほとんどが同じ。ただ違うのは、『ほくろ』だ」


ほ・く・ろ?


リカイフノー。


「右ほほにほくろがあることしか違いがなかったらしいんだ。そこでもう一回、自分を占った。そしたら、『その子には菜摘なつむとなまえをつけろ、そして、二人の姉妹をある団体に預けること』と出たそうなんだ。そこでその子に菜摘という名前をつけたと」


占いに頼りすぎですよおかーさん。


「で、朝川菜摘なつみ、朝川菜摘なつむができたと。」


「一言言おう。 朝川家すげー」


「俺もそう思う」


「後さ、『ある団体』って、なんのこと?」


「俺も詳しくはしらないが、『闇と子羊』という団体だそうだ」


「なんか不気味な名前」


「俺もそう思う」







「ふうん、で君は・・・・・右ほほにほくろがないから菜摘なつみだね」


「ザンネーン、私は菜摘なつむだよ〜ん」


「ほくろないけど」


「うん、小学生になる前にほくろの吸引した。だから今ないの」


小学生で吸引ってすげーなオイ。


「じゃ、後は姉さんよろしく」


「りょーかい」


「で、お前が菜摘か」


「そゆこと。さて、消えてもらいますか」


「は?」


「あたしたちの秘密をしっちゃったからね、だから私たちの前から消えてもらうよ?ね、菜摘なてき


「OK、姉さん」


「お、おい、お前が自分から話したんじゃないか、そもそも俺まだ死にたくない――――――」


「「はっしゃー!!」」


そういうと二人は俺を押した。


ちなみに今俺がいるところは屋上、そして後ろは俺の身長の半分ぐらいしかない柵。


こんなとこで強く押されたら、俺は後ろによろめき、そのまま柵を越えてマッサカサマ――――――!?


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


俺は落ちていく。はるか下にある、固い地面へと。


あ、俺死ぬのか―――――と思った瞬間!!


「・・・!?」


俺、死んでない。むしろ柔らかいものの上にいる。


「ここ、どこだぁ?!」


「マ、マットの上です・・・・・・!」


不思議なことに、柔らかいもの―――マットのしたから声がする。


「怪我はありませんか?中原さん」


「君は?」


「朝川夏樹――――なつみとなてきの従姉妹です」


「従姉妹!?」














「従姉妹って・・・・・・どんだけいるんだ朝川家」


「で、俺はその従姉妹の夏樹に一目ぼれした。それで、数ヵ月後に、告白したんだ。」


「それで?」


「あっさりふられた」


「無念。切腹しなかったのが幸いだね」


「で、落ち込んでるとこに、また菜摘が来た」











「圭太、夏樹に告ったんだって?」


「ああ、でもふられた・・・・・ってここになんで菜摘がいる!?」


「なんとなく。じゃあ、夏樹と両思いにしてあげよっか?」


「できんのか?」


「ええ」














「そして菜摘は俺に催眠術をかけた。


気がついた時には、俺はあいつ――――菜摘のことを好きになっていたんだ。」


「じゃあ、強引に!?」


「そういうことだな。だがしかし」


「まだあんの」


「ああ、この話には続きがある」











「中原さん、あなたは菜摘に催眠術をかけられています!目を覚ましてください!」


「催眠術・・・・・?」


「ええ、菜摘は何かを企んでいます。すぐにこの地―――――群馬から離れてください」


「俺は、菜摘の思い通りに動かされてたのか」


「ええ、だからすぐに―――――!さもないと、人の心をもてあそぶあの子に、あなたは間違いなく殺されます」



「人の心をもてあそぶ・・・・・夏樹、どういうことなんだ?!俺にはワケがわからん話だが!?」



「やはり知らないのですね。ではすべて話します。菜摘と菜摘なつみとなつむは・・・・・・」


「夏樹、無駄なことをはなされては困るわね?いくら従姉妹といえども」


菜摘なつみ!?」


「あたしもいるわよ!!」


菜摘なつむも・・・・・・二人とも何する気よ!?」


「「決まってるでしょ!必要ないことを話そうとした夏樹と、さっき消すことができなかった圭太を、消すためよ」」


「あんたたち、もうそんなことやめなさい!!中原さんだって、何もしていないじゃない!」


「だって、知っちゃったじゃない。闇と子羊の存在をさ。だから、消す」


「闇と子羊・・・・・・あんなとこ、ろくなとこじゃないわ!だから、早く前みたいな素直な二人に戻ってよ!!」


「入ったからには抜けらんないの。さて、言いたいことは全部言ったかしら?」


「そろそろ時間ね」


「時間!?まさか、あなたたち!!」


「じゃーね、圭太、夏樹。知っちゃった君たちが悪いのよ」


「消えて?」



なつみとなつむがそういった瞬間、俺たちの周りを光が包んだ。



俺はそのまま気を失った・・・・・・・・。






「というわけなんだ」


「結局朝川さんって何者?それが分からないうちは敵ね」


「俺もわからん」


いや、あたしはそんなことされても生きてる圭太オマエのほうが分からないけど。



そう思う飛鳥なのでした。



次回はおまけ編です。

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