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02. 書けるかっ
現在、改稿中です。
大学に進み、独り暮らしを始めて最初の冬、波賀篤はアパートの前で鏡を拾う。
自室に持ち帰った鏡からラルサと名乗る小さな黒羊が現れ、百万字の物語を書くように要求した。達成出来なければ代わりに篤を食べると言う。
羊の赤い瞳は、とても逆らう気になれない光を放っており、篤は言われるがままに物語を書き始めた。
ラルサが現れるのは毎日午後八時、ネットを検索して人気投稿小説をコピーし、それをプリントして提出したところ、ラルサは盗作だと却下した。
創作解説サイトを見て回った篤は、独自の物語を捻り出したもののこのペースではとても百万字は書けそうにないと考えた。
創作に役立ちそうな参考本を買い、いくらか執筆速度は上がったものの、書いた内容がラルサの怒りを招く。