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#3

 私は自転車に乗って街を駆け抜ける。

 向かい風が体にあたるのが凄く心地よい。

 

「チロちゃん、今日も配達かい?」

「――はい。3番地までゲンさんのお使いです」

「そうなのかい。気を付けていくんだよ」

「――もちろんです」

 

 私は顔見知りのオバチャンと軽く挨拶を交わして目的地へと急ぐ。

 ――しばらく自転車を漕いでいると何かを建設している場所が見えてきた。

 

「――どうやら、ここみたいですね」

  

 私は建設現場の近くに自転車を止めてゲンさんを探す。

 

「――えっと、どこにいるのでしょうか」

「おや? 誰か探しているのかい?」

 

 私が現場をうろうろしていると、作業員の1人が話しかけてくれました。

 

「えっと、ゲンさんにお弁当の配達を頼まれたのですが――」

「ああ、親方ならあそこで指示を出してるよ」

 

 私は作業員さんが指をさした方向を見ると何かの設計図を持って指示を出しているゲンさんが確認できました。

 

「どうもありがとうございます」

「いいって事よ。それより早く行ったらどうだい?」

「――はい。それでは失礼します」

 

 私は作業員さんに軽く会釈してゲンさんの元へと向かっていく。

 

「――ゲンさん。お弁当を届けに参りました」

「おお、チロルちゃんかい。悪いが今手が離せなくてな、あそこにある事務所に置いといてくれないかい?」

 

 ゲンさんに言われた方向を見ると、建設現場の端の方に小さな仮設事務所が建っているのが見えた。

 

「――解りました。お代はツケでいいですか?」

「ああ、それで頼むわ。運ぶのが大変なら誰か適当な奴に手伝ってもらってくれ」

「――了解です」

 

 私はその場を離れて先程話しかけてくれた人の元へと歩いていく。

 

「おや? どうかしたのかい?」

「――あの、出来ればお弁当を運ぶのを少し手伝って欲しいのですか」

「ああ、そういう事。――いいよ、丁度この場所の作業もキリがいい所で終わったし」

「――助かります」 

 

 私は軽く頭を下げてお礼をして、お弁当を積んである自転車へと作業員さんを案内する。

 

「こっちです」

「ああ。まかせてくれ」

 

 建設現場から少し出た所には私の乗ってきた自転車が来た時と変わらずにお弁当をグラグラと乗せながら止まっている。

 

「ほ~。かなり沢山運んできたんだね」 

「はい――開店前にいきなり大量注文されてビックリしちゃいました」

「あ~、親方はそういう所あるからな~」

「――けど大事なお得意様なのでこのくらいヘッチャラです」

「じゃあ早速運ぶとしようか」

「そうですね。お願いします」

 

 私達は分担してお弁当を運んで行く。

 ――そして、全て運び終わった頃にはお昼になりそうな時間になっていた。

 

「――いけない。そろそろ帰らないと」 

「そうかい。じゃあ親方にはこっちで伝えておくよ」

「ありがとうございます。――その、もしよろしければまた注文してくれると嬉しいのですが」

「ああ、言っとく」

「では、失礼します」

 

 私は作業員さんに挨拶をしてお店に急ぐ。

 ゲンさんを探してみたらまだ指示を飛ばしていて凄く忙しそうです。

 

「――時間があれば直接と思いましたが、ゲンさんは常連さんですし何時でも言えますから今度お店に来た時にしましょう」

 

 私は工事現場から出て愛用の自転車にまたがった。

 お弁当が無くなったので来る時と比べるとだいぶ軽くなっている。

 

「――なんとかランチタイムまでにはお店に戻れそうです」

 

 私は少し早めに自転車を漕いでお店へと戻っていった。

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