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1-4章 先

~鎧技学園・学園長室~


「一体どういう事ですか!学園長先生!」


「君を驚かせようとした結果だよ、カグヤ君?」


俺とシルヴィは入学式が終わった後


学園長先生に連れられて学園長室に来ていた。


説明を求める俺に対して


目の前にいる学園長先生はくすくす笑っていた。


「いや、なに、君のその表情が見たかったんだよ。


 君に対しても、在学生にしても、新入学生にしてもこの方がインパクトがあると思ってね。


 なにせ、入学したての時点で『第一級技巧師』になったやつなんていないからね。


 いやいや、君と他の生徒の反応を見る限り、隠しておいて正解だったようだね」


学園長先生はいかにも悪戯が成功した、みたいな感じで楽しそうに笑っているが


こちらはそうも言っていられない。


「ここに着くまでの間になんか俺を見る周りの視線が色々とおかしかったんですけど⁉」


ここに来るまでに多くの生徒とすれ違ったが


男からは敵意、嫉妬、妬みなどなど様々な嫌な感情を向けられ


女性からは羨望やら尊敬の眼差しで見られているような感じがした。


しかも同級生から上級生など関係なくその視線を向けられた。


これからの学園生活の事を考えると憂鬱になってくる…


「学園としては、隠していた事以外は正しい事だと思ってるよ?


 君の入学試験で提出して来たものを私達教職員全員で見たけれども


 既に第一級技巧師の資格を有するだけの技量はあると判断したんだ。


 君の異例とはいえ君の第一級技巧師は教職員全員が認めている事だ


 ねぇ、異世界からの来訪者さん?」


…は…?


「…え?なんで、それを学園長先生が…?」


俺が異世界から来たと言う事はシルヴィと


俺をこの世界に連れてきた自称神様しか知らないはず…?


シルヴィの方を見るが首を横に振っていた。


シルヴィはしゃべっていないと言う事だ。じゃ誰が…?


「この間突然私のところに自称神様っていう人が現れたんだよ


 そして君の事を教えて行って


 もし彼が来たのなら色々と説明してほしいと言われてね。


 その時は夢でも見たかと思ったけれど、ふたを開けてみればどう?


 その自称神様の言うとおり君がここに来た」


「その自称神様って…?」


俺が覚えている自称神様の特徴を学園長に言うと


「そうそう、そんな感じの子だったな~


 てことは本当に神様だったのか


 にしても、神様が紹介する程の子かぁ…やはり第一級技巧師にして正解だったかな」


…なんというか、色々なとことに顔を出してるな自称神様


神様を名乗っておいてそれでいいのか…


というか気になっていたのだが


「『第一級戦技師』って何ですか?


 学園長先生が知ってのとおり異世界から来たのでこの世界の事全然分からないんですよ」


「あぁ、そっか。

 

 君が本当にこの世界から来た子じゃないなら分からないか。


 じゃぁ、説明してあげるね。


 技巧科はその人の技量によって二種類の位が与えられるの


 『第一級技巧師』というのは学園の中で最高位の技術力のある人に与えれれる位なの」


「位…?」


「そそ

 

 位は上がるにつれて学園から与えられる特典が増えていくの


 学園施設の利用時間の延長とか材料調達のための補助金とかね


 シルヴィちゃんの戦技科は一種類の位しか設けられていないけれど


 君が所属している技巧科には二種類の位が設けられているの」


「二種類?」


「一つ目は『戦巧師』という位ね

 

 君は既にこの位の最高位『第一級技巧師』に認定されているから

 

 君の技術はこの学園の中で最高位の中にあると思っていいわ


 そして二つ目『連命師コンダクター』という位があるのだけれど


 これは最初の授業で教わるからそこで習ってね?」


「わ、わかりました。」


自分の持っている技術が素晴らしいものだと認定されたのは素直にうれしかった。


今まで向こうの世界で積み上げてきたものは無駄ではなく


ちゃんと自分の積みあがってきていたのだと思うと無性にうれしかった。


学園長先生が立ち上がって俺の方に歩きながら言って来る。


「君には卒業までに三人のパートナーを作ってもらいます」


またわからない単語が出てきた。


パートナーって何だ?


「パートナーとは一緒に魔窟探索に行く戦技科の子事を指すの


 パートナーになった戦技科の子が前線で戦い、君がバックアップをする。


 本来はパートナーは一人だけなんだけど

 

 『第一級技巧師』は特別に三人まで指名できるの。


 信頼関係が重要になってくるからパートナーはちゃんと選んでね?」


信頼できるパートナーか、なら


「なら一人目はシルヴィにしたいです」


理由ならちゃんとある。


俺はこの世界に来てまだ浅い、この世界の人がどんな人なのかわからないし


最初は奴隷としての出会いだったが、今は俺は違うと思っている。


シルヴィは信頼できると俺は考えている。


「おぉ…即答だね。愛されてるねぇ~シルヴィちゃん

  

 シルヴィちゃんはそれでいいのかな?」


「は、はい。


 私がご主人様の力になれるのなら喜んで」


「じゃぁ、一人目はシルヴィちゃんに決定と言う事で!


 君はシルヴィちゃんに武装は与えているのかな?」


「はい、既にシルヴィにはつけてもらっています」


この学園に入学する一週間ぐらい前に完成した最新の武装だ。


この世界で動くかどうか心配だったが特に問題はなさそうだった。


初めて見たシルヴィは目を丸くしていたけれど。


「なら、決闘も問題ないわね」


…物騒な言葉が聞こえたような気がしたんだが…?」


「あぁ、決闘の事も教えておくね?

 

 この学園では決闘というシステムがあるの

 

 勝った側は敗者に1つだけ望むことを強制できる、というルールよ


 戦場で負けたら何をされるかわからない…と言う事を理解させるために


 決闘というシステムを組み込んでるの


 あ、位がそれで奪われることはないから心配しないでね?

 

 さて、私が説明できるところはこんなところかな?

  

 そろそろ最初の授業が始まるから君は戻った方がいいかな、シルヴィちゃんもね

 

 それとアドバイス


 酷い恰好をしている人もいるけれど、あまり関わらないようにね?

 

 人それぞれ様々な理由があるからね」




~戦技科・戦巧科合同授業 学園演習場~


あの後教室に戻ったがやはり男子からの視線が痛かった


技巧科は男子の比率が多いものの、女子もいる。


クラスにも何人か女子がいたが、その全員から声をかけられた。


大体が「今度色々と教えてください」やら「仲良くして下さい」というものだった。


女子と仲良くなるのはいいが、男子との確執がどんどん広がっていくような気がした。


そして最初の授業の時間


先生に引き連れられて演習場にやってくる。


するとそこには戦技科の生徒も見受けられた。


技巧科の他の男子が浮き足だつ。


俺から見ても可愛いなと思う子が何人もいる。


すれ違った女性の先輩たちを見ても思ったがこの学園は結構レベルが高い


「これより戦技科と巧技科の合同授業を行う!静かにしろ!」


1人の女性の先生が良く通る声でそう言った。


皆の注目がその先生に集まる。


「よし、静かになったな。


 これより君たち新入生の通過儀礼的な授業を行わせてもらう!


 これより君たち技巧科の『連命師』としての素質を測らせてもらう!


 戦技科の生徒には手伝ってもらう!」


『連命師』


学園長先生が言っていた技巧科のもう一つの位


「『連命師』とは…あ―…実際に見てもらった方が早い!」


…あの人本当に先生なのか?


「カグヤ!前に出てこい!まずはお前からだ!」


「は、はい!」


呼ばれて前に出る。


だがその時もなぜか男たちの視線がものすごく痛い。


なぜ


「では戦技科から一人選べ」


選ぶ?


戦技科の方を見ると


戦技科の生徒からキャーッ!という嬉しそうな悲鳴が上がる。


皆一様にそわそわしている。


と、視界の隅にシルヴィが映った。


ま、シルヴィ以外選ぶわけはないのだけれど


「シルヴィで」


「シルヴィ出てこい!」


先生の声に反応してシルヴィが前に出てくる。


その時何故か他の戦技科の女子から残念がる声が聞こえてきた。


なぜ…?


「よし来たな。じゃぁキスしろ」


「はぁっ!?」


思わず声が出てしまう。


「キ、キスですか…?」


「そうだ。


 キスをしろ。


 それでお前の連命師としての素質が分かる。」


と、言われてもさ…


いきなりシルヴィとキスをしろと言われても困るのだが…


周りからは「早くしろー!」「失敗しろー!」やら変なヤジが飛んでくる。


シルヴィの方を見てみると


顔を赤くして下に俯きながらモジモジしていた。


…なにこれ可愛い


「あ、あの、ご主人様…?」


「あ、え、えと、何?」


「ご主人様とのファーストキス…大切にします…」


シルヴィは顔を赤くして上目で俺の方を見てくる。


そんな顔でそんな事を言われたら我慢できるわけもなく


右手でシルヴィの顎をくいっと上げてキスをした。


すると溶けるような感覚と共に


目を閉じているはずなのに目の前が真っ白に染まっていく。


気付くと俺は真っ白な空間にいた。


そこにあるのは目に前にあるでっかいモニターと


長い時間座っていても疲れなさそうな椅子


それと俺の世界にあったPS○とそのコントローラー


…なんだこれ


『そこは彼女の精神の中だ。』


どこからか先生の声か聞こえてくる。


聞こえてきたことによれば


俺が今いる場所はシルヴィの精神の中らしい


連命師はその中にいるだけでその人の力を引き出すらしい。


引き出される力はその人の素質によって違い


引き出される力の大小も連命師によって違うらしい。


シルヴィの力はモニターによると「鬼」


…鬼?


抽象的すぎて様々な事が想像できるが…


それにこのゲーム機、本来はこの中にはないものらしい


これは何だ…と思い少し操作してみると出てきたのは


シルヴィに与えた武装を操作するための画面


ようするにはあの武装こちらでも操作できるようだった。


それならばあれを本当はシルヴィが操作するよりも


それを知っている俺が操作した方がうまく扱えるはず。


俺がシルヴィの中にいる間に他に数人が行ったらしいがその殆どが失敗していたらしい


先生も


『そんなに長く中に入っていたのに疲れさえ見えないとなると


 お前は腕だけではなく、連命師としての資質は凄いものあるらしいな』


と驚いてた。


かわりに他の技巧科のクラスメイトからは敵意の視線を集めたが…


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