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プロローグ~出会い~

完全新作小説です


これまでの小説をどうするかは未定

~???視点~


その国において白髪、赤目は鬼の子の証だとされている。


ここでいう鬼とは俗にいう物語に出てくる鬼ではなく、


この世に害をもたらす因子、という意味合いになっている。


白髪、赤目で生まれた子はすぐに殺されるか、奴隷商人に売られる。


奴隷商人に売られた子供は、様々なものを仕込まれる。


男であるのであれば銃や爆弾の使い方を覚えさせられ魔窟に連れて行かれる。


女であるのであれば夜の営みのための技を処女を奪わず、徹底的に教え込まれる。


そして徹底的に教え込まれ終わった時に奴隷として売り出される。


私もその一人だ。


貧相な服を着せられ、首と手と足に枷をはめられ、鉄格子の中に繋ぎとめられている。


私のドールは商人の手の中にある。


私に名前はない。


私はその外を知らない。


知っているのは物心ついた時から教えられ始めた男を悦ばせるための技だけ。


あれから8年間たった。


私はようやく売りに出された。


外ではどんなことをされるのだろうか。


欲望満たすために使われるのか、好事家のために死ぬのか、はたまた別なものか


誰でもいいから私を買って、ここは窮屈で居たくないな。


その二日後、私はどうやら売れたらしい。


商人が私のドールと檻と枷の鍵を持ってきた。


手と足の枷を外し、織の鍵を開ける。


首の枷に繋がる鎖を引っ張られ、店の表に出される。


そこにいたのは私を買ったと思われる青年。


それは予想としていたものとは違っていて


彼は柔らかい笑みで私にこう言った。


「これからよろしくね」と


予想もしないその言葉に私はその場に固まってしまったのだった。



~カグヤ視点~


「これからよろしくね」と、これから俺の奴隷になる少女に声をかけた。


あ、あれ、これでいいんだよな?


女性となんかここしばらくはろくな会話してないからこれでいいかわからないぞ⁉


俺の言葉に何の反応もしない少女に俺は内心焦る。


何か駄目だったか⁉と心の中でネカティブなものがぐるぐる何回も回転している。


女性と話したことは限りなく少なく、コミュ力もない俺が女性の奴隷を買う。


なんでこんなことになってしまったんだと心の中で俺をここに連れてきた誰かに念を送る。


俺は元々この世界の住人ではない。


元の世界で使っていた名前は白毫輝夜


フィギュアの原型を作ったり、


フィギュアの改造を請け負う事などをして生計を立てていた19歳だ。


俺が溜まっていた仕事を終わらせて自分の部屋にベットに沈み込んだことは覚えてる。


だが、どうだ。


起きてみたら知らない部屋、知らない家具、知らないベット


パニックを起こさない方がおかしい状況だろこれ


窓を開けてみると、知らない風景、知らない街並み、知らない人種


太陽が二つあるなんて地球で考えられるか⁉


最初は夢を疑った。


そうだ夢だ。これは夢なんだ。夢に違いない!


現実逃避をし始めた俺だったが、俺を現実逃避から覚ます物が机の上に置かれていた。


一通の手紙とお金と思われる紙束だ。


その手紙には妙にイラつく文体でこう書かれていた。


「この世界の神様だよ!(後光)


 突然だけど君を異世界に連れてきちゃった(てへぺろ)


 理由は後でちゃんと話すからまずは机の上に置いてあるお金で


 少女の奴隷を1人買って来てくれないかな?


 あ、その時貰うと思う奴隷そっくりの人形は間違っても奴隷に渡さないでね?

 

 奴隷を買ったら街外れにある教会に奴隷と一緒に来てね♪


 住所は…」


とこのように手紙が続き、この世界の事が書かれていた。


ザックリと分かったのはこの世界は地球と大分違い「魔」という恐ろしい存在がいる事


そしてその「魔」王都の地下の魔窟と呼ばれる場所に封じ込められていること。


この世界のお金は紙幣のみで10、100、1000…と上がっていき最高で100000と言う事ぐらいだ。


この妙にしゃくに触る手紙に従うのも嫌だが、これ以外行動の指針がないもの事実


仕方ない従うしかないか…と


街中の人に道を聞きながら(どうやら言葉は伝わるようだった)


どうにか奴隷商人の売所に辿り着いた。


その中で見つけたのは、なんというか、俺の心が惹かれる少女だった。


彼女は俺よりも断然年齢は低いと思う。


粗末な服を着ていて体のあちこちに枷がはめられている。


だが俺の心を惹いたのはそれではない。


俺は彼女に見せられた。


真っ白な、色を抜いたのではなく、純粋な混ざりっ気のない純白


そして燃えるように赤い瞳


肌も白く一層彼女を神秘的に魅せる。


売人からは何か言われたが、俺は聞く耳を持たず、すぐさま彼女を買ってしまった。


買ってしまった。


そう


買ってしまったのだ。


お金で、人を、買ってしまったのだ。


買ってしまった後で心の中で思った。


(あれ、これ人がしていい事なのか…?)


奴隷がこういう風に売られていると言う事はこの世界にでは常識なのだろう。


だが、俺がいた世界では奴隷など表向きにはいないことになっていた。


だからこそ人を金で買うなどもってのほかの事


人を金で買うという罪悪感に心を蝕まれながら、固まって動かなかった少女を


何とか店の外に出して


外に出すと少女ははっと動き出してくれたおかげで


俺たちはその場をスムーズに離れることが出来た。



~教会に向う道中~


無言


無言だ


無言が辛い


俺と少女の間に会話が一切ない。


俺にコミュ力がないのも原因だろうが


少女の方からも何も話しかけてこない。


街の人に聞きながら教会に向う途中


会話がなくて辛すぎる


どしよ


なにかあるかな、と思って閃いた。


「そういえば君の名前は?」


と少女に向き直って言ってみた。


そして帰ってきた答えが


「私、名前がないの」


条件反射的に、えっ、と言ってしまった。


名前がないとは一体どういう事だろうか?


「私、生まれてすぐに売られたから名前がないの

 

 私を仕込んだ人たちも私の事を2号と番号で呼んでいた。


 だから、名前がないの」


…重い、重たすぎる。


まさかの生まれた直後に売られて奴隷にされたと。


だから名前がないと


やべぇ、どう反応したら良いかわからねぇ…


頭真っ白で俺が固まっていると少女の方から俺の方に近寄ってきて


そっと、俺に抱き着いた。


「ねぇ、私は何をしたらいいの?


 私が教え込まれてきた技で

 

 あなたを悦ばせればいいのかしら?

 

 夜伽でも、これからでも、いつでもいいのよ?」


とすり寄ってくる。


夜伽、という言葉に頭が沸騰しかける


つ、つまりこの目の前にいる俺に抱き着いている少女が教え込まれてきた技とは


そういうのであって、この少女はそういう目的の奴隷だということだというのを


今この場で理解した。


理性が決壊しかけるがなんとか少女を引き離した。


その様子を見て少女が不思議がる。


「どうして?


 あなたはそういう目的で私を買ったんじゃないの?」


「あ、いや、ち、違う。


 そういう目的で買ったんじゃないんだ。


 これから着いて来て欲しい所があるんだ。」


「それって、さっきから道を尋ねている教会?」


「あ、あぁ」


心臓バクバクだ


正直話し方がこうでいいのかまったくもってわからない。


あっちの世界でほとんど人と関わってこなかったことがこうも裏目に出るとは…


ただ趣味に没頭して彼女も作らなかった高校時代の俺が恨めしい。


「…わかりました。

 

 着いて行きますね。」


「あ、あぁ、そうしてくれ。」


あ、今ピーンときた!


「それと名前が無いと呼び難いから、これからシルヴィと呼んでいいかい?」


名前の意味はあまり深く考えていなかった


名前をつけようと考えて、パッと思いついたのがシルヴィだった。


俺が唯一好きだった人の名前。


なんでその名前が出てきたのか、まだ心残りがあるのかもしれない。


名前を貰った少女は目を丸くしていた。


自分に名前を付けられたことに驚くかのように


自分に着けられた名前を咀嚼するするかのように


シルヴィがどんな気持ちになっているかは分からない。


だけれども、シルヴィは名前を付けられた事に戸惑っている事だけは分かる。


こういうときにどうしたらいいか分からず、おろおろしてしまう。


どうしたらよいかわからず、俺は当初の目的教会に向かう事にした。


シルヴィの手を引いて街の人に聞いた方向に向かって歩き始める。


握ったシルヴィの手は少しだけ熱いような気がした



~シルヴィ視点~


…何なのでしょうかこの人は


不器用なのはわかります。


話すことが苦手なのもわかります。


その様な奴隷になるように仕込まれた私を買ったと思いきや


私に手を出す素振りは見せず


ただついて来て欲しい所があるとこの人は言っていた。


そして私に名前をくれた。


シルヴィという名前を


どのような意味でこの名前を付けてくれたのかはわからない


だけど、不思議とこの胸に熱が灯る。


なんなのでしょうか、この気持ち


初めてのことで、うまくわかりません。


この人の手から伝わる熱も暖かくて


私の胸の熱を上げるのです。

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