竹とんぼ-修正版-
「みそら」「時間」というお題を頂いて書いた作品です。
お題に合わない等何か感じるものがありましたら、ばんばん酷評してくださって構いません。
それが、良くも悪くも作者のモチベーションにもフラストレーションにもなります。
「お父さん、何してるの?」
僕は真剣そうに木を削っているお父さんのもとに駆け寄った。
「ちょっと待ってろよ」
と、お父さんは返事をしてまた黙々と木を削っている。がんばっているんだなと、僕はお父さんの手元をまじまじと見つめていた。
十分ぐらいたっただろうか。僕はお父さんが何を作ろうとしているのかがようやくわかった。
「お父さん、もしかして竹とんぼを作っているの?」
そうだよ、とお父さんが答えるとばかり僕は思っていたが、お父さんの返事は無い。お父さんを見てみると、真剣に木を削っていた。お父さんは一生懸命なんだ、と一人で納得した。
「できたぞ」
お父さんは満面の笑みを浮かべて、竹とんぼを僕に渡してくれた。
「いいか、こうやって飛ばすんだぞ」
とお父さんが教えてくれたとおりやってみたが、いくらやっても竹とんぼは一向に飛ばない。お父さんもやってみたが竹とんぼは地面に落ちるばかり。挙句の果てに、竹とんぼの羽が折れてしまった。
「あれ、おかしいなぁ」
とお父さんは首をかしげて笑っていた。僕もおかしくて一緒に笑っていた。そしてその日は一日中僕たちは笑っていた。
次の日お父さんが珍しく真剣な表情をしたまま帰ってきた。お母さんの困惑した声が聞こえる。不思議に思って僕がお父さんのもとに駆け寄ったら、お父さんとお母さんが真剣な表情になって僕に話しかけてきた。
「お父さんは明日から遠いところに転勤する事になったの。明日からお母さんと二人っきりになっちゃうけど大丈夫かな?」
僕は突然の事でよくわからなかったが、ただ頷くしかなかった。
「えらいぞ。さすがお父さんの息子だ。明日からこの家に男はお前しかいない。お母さんを守ってくれ」
ぼくはお父さんの言っている事がよくわからなかったが、頷いた。お母さんがありがとうといいながら僕に抱きついてきた。そしてその日がお父さんを見た最後の日となった。
「お父さん、何してるの?」
あれからいろいろあって僕は大人になった。楽しい事も、つらい事もたくさんあったが僕は父親になった。
「ねー、お父さん!なーにーしーてーるーのー」
娘が僕の体を小さな手でゆする。
「竹とんぼを作っているんだよ」
「竹とんぼってなぁに?」
今時の子は竹とんぼも知らない時代になってしまったか。僕は少し寂しい気持ちになった。
「こうやってあげると、空を飛ぶんだよ」
と、竹とんぼを空に飛ばす。
「お父さんすごーい!絵美にもやらせてー!」
そういって、絵美に竹とんぼの遊び方を教えると、その小さな手から一匹の竹とんぼが御空を翔けた。
お父さん、僕はこの子の笑みを絶やさないよう今日を生きます。
というのが最後の一行に入っていましたが、あえて書きませんでした。
修正版というのは、誤字脱字等がひどい為に修正を加えたという事です。
また、お父さん(僕の父親)が亡くなったというシーンは作者の力不足のため省いてあります。(書けなかったのと、作品の印象を壊すかも・・・・ってこれは言い訳か)
なので現実味が薄いですが、その点につきましては作者が力を付けましたら後日書かせていただきますのでその事についての酷評・・・・無かったらいいなぁ(´・ω・`)