第1羽 はじまり。
この桜を見るのは何度目だろうか。
また今年も満開の桜が舞い散る、僕はいま現在大学生。つらかった高校受験を乗り越え、気づけば高校を卒業しており、特にやりたいこともなかったから大学へと入学したのだ。
ちなみにだが…僕の名前は、霧雨月 雅。
僕はまだその時、知らなかった。まさか、あんな事に巻き込まれるなんて…。
春は異様なくらい眠気が襲ってくる。それは授業中であったり、テスト中、勉強中・・・嫌いなものの時ばかりにやってくるものだ。
大学にいる時、ポケットに入れている携帯のバイブレーションが足を伝って響く。
「ん、誰からだ?」
電話相手は非通知。
誰だ、もしや誰かが番号変えたのかもしれないな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーピッ
『ツーー。ツー。』
「あぁん?なんだよ切れてるじゃねーか」
電話を切ろうとした瞬間、携帯の奥から声が聞こえてきた。
『ザザザ…ッ・・・ザザッ…霧…雨月 雅様、ガー、ご登録ありがとうございます。』
ピッーーーツーツー。
・・・・・・なんだ、いまの?新手の嫌がらせか?
まぁいい、どうせどこかの暇を持て余している若者が適当な番号にかけまくっているだけだろう。
まだ僕は全然気づいていなかった。いや気づけるはずもない、
なんせ”相手”は”不明”なのだから。
そして帰り道。事件はすべての始まりを僕に告げようとしていた。
ー今日の晩飯はなに食べようかな。またコンビニでいいかな、
僕は家事が嫌いだ。だからご飯とかもインスタントやコンビニが必然的に増えてしまう。
丁度、そのとき。僕が”食べるもの”を決めたと”同時”に***は降ってきた。
ーーーーーー!!!!!
謎の何かが上から地面に落ちてきた。
人々がざわざわとざわめいている。
まぁ僕には関係ないことさ。
僕は面倒事が嫌いだ…そのときだった。僕の耳元に虫の声みたいな微かな声が聞こえた。いや、聞いてしまった。というべきであろう。
『タスケテ…ワタシヲタスケテ』
耳元から聞こえる透き通ったその声はどこか幼さがあり、悲しみに満ちているようにも聞こえた。
なぜ、あの日、あの時間、あの場所。僕はあそこにいたのだろうか……。