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学年で1番のイケメンに彼女を寝取られた。そしたら、イケメンの美少女友達が縁を切った  作者: 白金豪


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第49話 カッコイイ

「あっ。天音君。ちょっといいかな」


 1時間目の授業が終わり、最初の休み時間。


 次の授業の準備を終え、いじめに関する情報が拡散された原因を知るために、瑞貴は颯の教室に向かう。もちろん、颯に用事があった。


 そして、偶然にも、廊下を歩いていた颯を発見し、声を掛けた。


「あ、中谷さん。どうしたの? 」


 振り返り、いつも通り、颯は対応する。遥希ほど親しくないが、以前と比べて、スムーズに会話ができるようになった。関係性が、少なくとも、深まった証拠だろう。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。…いいかな? 」


 豊満な2つの胸の前で右拳を握り、普段のおっとりした口調ながらも、艶やかなピンクの唇を少し震わせ、瑞貴は問う。少なからず、瑞貴なりに勇気を要したのかもしれない。


「うん? 別にいいけど。どんなこと? 」


 不思議そうに、首を傾げる颯。これから、瑞貴の発する言葉の内容など、予測も出来なかった。特に考えずに、反射的に、言葉を返した。


「あの…。私のいじめに関する情報が、学校で拡まってるみたいだけど。これは、天音君が、やったの? 」


 上目遣いで、瑞貴は、颯の顔を見つめる。普段のフワフワした雰囲気は無く、確かめるような、真剣な表情を作る。


「あ~。…なるほど…。もしかして、八雲さんから何か聞いたの? 」


 気まずそうに、指で右頬を掻きながら、颯は瑞貴から目を逸らす。正直、知られたくない内容ではあった。


 このまま、瑞貴には、知らない状態で、学校生活を送って欲しかった。


 なぜなら、ただの颯のお節介で、行動したまでだから。


「…うん。遥希ちゃんは、天音君に聞けばいいって言ってた。遥希ちゃんからは、一切教えてくれなかった」


「そうなんだ。八雲さん、やってくれたな。別に気を遣わなくてもいいのに。俺の指示とは言え、情報を拡散したのは、八雲さんなんだから」


 瑞貴に聞こえないボリュームで、颯は長々にボソッと呟く。颯にとっては、瑞貴にここまで知られるのは、あまり都合の良いものでは無かった。


「おい! どういうことだ!! 」


 言葉選びに苦労する最中、血相を変え、声を荒げる丸山が、颯に掴み掛ろうとする勢いで、この場に登場する。


「ああ、君か。どうしたんだい? そんな顔と目を真っ赤にして。目なんて血走ってるよ? 」


 明らかに苛立ちを抱く丸山を認識し、瑞貴に対する態度とは打って変わり、颯は、分かりやすい塩対応を取る。


 瑞貴の時とは大きく異なり、余所余所しく、どこか突き放したように、冷たい。


「とぼけるな! お前だろ!! 学校内に情報を拡散したのは!! 約束と違うじゃないか!!! 」


 丸山の怒号が、廊下全体に響き渡る。


 廊下に身を置く生徒達の視線が、颯・瑞貴・丸山に集まる。男女関係なく、生徒達の視線が、一気に集中する。


「は? 約束? そんなのしたっけ。覚えがないよ。多分、俺は情報を拡散しないなんて、約束した覚えはないよ」


 以前として態度を変えず、颯は淡々と応答する。顔には笑顔など一切なく、能面のように無表情だ。


「そ、そんな。そんなことって。ふざけるなよ!! じゃあ、俺は…。…どうすれば……」


 視線を廊下の床に移し、愚痴を溢すように、丸山は弱音を吐く。


 よく見ると、丸山は何処か弱ってる感じだった。その証拠に、時折、制服で隠れた部分の腹部や背中などを、痛みを和らげるように、優しく押さえていた。


「知るかよ。お前は、それだけの行いをしたんだ。これからは、精々、平穏に学校生活を送れるように、頑張ってね」


 情けなしに、心に突き刺さる、鋭利な言葉を、冷たい声色で紡ぎ、アドバイスを送るように、颯は丸山に伝える。


「お…。お前…。まじで言ってるのか。…それは…イカれてるぜ……」


 顔に汗をかきながら、化け物を見るような目で、丸山は颯を凝視する。


「その言葉、そっくり君に返すよ。告白を断られた腹いせに、復讐のために、いじめをする人間の方が、俺よりも格段にイカれてると思うけどね。違うかな? 」


 丸山の心の状態を無視し、遠慮のない、刃物のように尖った言葉を、颯は丸山に向けてお見舞いする。完全に頭で考えた結果、実行した意図的な言動だ。


「…そ、そんなわけ…」


 共感を求めるために、助けを求めるように、周囲を見渡す丸山。


 だが、周囲の生徒達は、容易く、あっさりと、丸山の期待を裏切る。


「確かに。その通りだよね。丸山君の方がイカレれてるよね」


「本当にな。フラれた復讐のために、いじめをするなんて。同じ人間とは思えないぜ」


「最低、最悪。人間のクズだと思う」


 周囲の生徒達の口から、次々と、心を抉る悪口が、吐き出される。これらは止まることを知らない。


 彼らは、悪を懲らしめるために、正しい行いを、自分達は、取っていると思っているに違いない。


「そん…な……。バカ…な……」


 周りが全員敵であり、自身の考えを理解してくれないと悟り、絶望した表情を浮かべ、丸山は廊下の床に崩れ落ちた。


 勢いよく、落下したため、丸山の両膝が、廊下の床に、強く衝突する。


「あ、あと、例の女子3人にも、さっきの言葉伝えといてね。お願いね」


 それだけ残し、颯は瑞貴に視線を戻す。


「それで、さっきの話の続きだけど」


 丸山を蚊帳の外に、態度や口調を普段の調子に切り替え、中断した話の再開を試みる。


 しかし、物事は予想外の展開を辿る。


「カ…、カッコいい。天音君、それは、カッコ良すぎるよ」


 両頬を赤く染め、うっとりした顔で、瑞貴は、答えになっていない返答を、ボソッと発する。


 瞳を潤ませ、ただただ、上目遣いで、颯の顔を見つめる。


 当然、瑞貴の言葉は、颯の耳に届いた。だから。


「え!? なんで? 」


 会話の流れを無視した、瑞貴の返答に、颯は思わず早口で聞き返してしまった。

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