第40話 陰で動く
「おう。帰って来たか。どうだった? 」
2年4組。文系である颯のクラスと違い、理系のクラス。
昼休み終了まで、僅かなところで、教室の後ろの戸から、3人のクラスメイトが、入室したところで、待ち伏せていたように、狙って声を掛ける男子生徒。
「うん。指示通り、やってきたよ。上手くいってる」
声に反応し、3人の内、リーダー格の1人が、代表して応答する。
「そうか。それは喜ばしいことだね。ご苦労」
お礼も言わず、男子生徒は、軽く労いの言葉を伝える。その上、言葉に気持ちが籠っていない。
「これから、もっと追い込む。今日の午後から動いてもらうから。頼むよ? 」
プレッシャーを掛けるように、男子生徒は、最後の言葉を疑問形で占める。
失敗は許さないことを、分かりやすく暗示する。
「う、うん。もちろんだよ! 分かってるから!! 」
わずかに肩をびくっと震わせ、リーダー格の1人が、作り笑いを浮かべる。完全に上下関係が出来ている。
「覚悟しとけよ、あの女。きついきつい攻撃をお見舞いしてあげるから。決して解放されない、長い長いものをね」
クラスメイト3人から意識を切り、目を細め、男子生徒は、意地悪な笑みを浮かべる。そして、何かを企んで、楽しそうに、ふふふっと、笑い声を漏らした。
その不気味な笑い声を刻む男子生徒を、口を挟まずに、クラスメイト3人は、黙って静観していた。
☆☆☆
時は進み、放課後。学校の授業は全て終了し、生徒達は自由に行動する。部活に向かう者、教室で友人と雑談に勤しむ者、自宅に直帰する者など、様々だ。
その中で、瑞貴は、自宅に直帰する者だった。どこの部活にも所属していないため、基本的に学校が終われば、瑞貴は自宅に直帰する。もちろん、友人の遥希や愛海と共に、帰宅することもある。
今日は、遥希と愛海とも帰る予定もないため、帰りのホームルーム終了後、支度を済ませ、昇降口に向かっていた。
生徒達の声で騒がしい廊下を抜け、いつも通り階段を降り、昇降口に到着する。昇降口には、数人の生徒が、校内スリッパから靴かローファーに履き替えていた。
特に周囲に注目せず、自身の靴箱前まで来る瑞貴。
校内スリッパからローファーに履き替えるために、靴箱を開ける。
「え…」
靴箱の中身を確認し、悲鳴に似た声を漏らし、瑞貴は大きく目を見開いた。
無理もない。この時間帯であれば必ずある、瑞貴のローファーが、靴箱から消えていたのだから。
「はぁ~~。最悪だね…。まさかのこのパターンとはね……」




