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学年で1番のイケメンに彼女を寝取られた。そしたら、イケメンの美少女友達が縁を切った  作者: 白金豪


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第34話 激震

「はぁはぁ。やばい! やばい! 遅刻するよ! 」


 自宅から聖堂高校のまでの道を、多少なり息を荒らしながら、颯と遥希は並んでダッシュする。いつも通る道を、急ぎながら、駆け抜ける。


「時刻は8時20分だな。30分から朝のホームルームが始まるから、本当にギリギリだな。最悪、間に合わないケースもありえそうだな! これも天音が、ゆっくり私特製の朝ご飯を堪能したおかげだな! 」


 颯とは対照的に、走りながらスマートフォンで時刻を確認し、ゆとりを持つ遥希。楽しそうに、笑みすら浮かべながら、颯を揶揄う。


「はぁはぁ。う…。否定はできない。それにしても…。…どうして八雲さんは、余裕そうなの? 結構な距離を走ってるのに、疲れてもいないし」


 不足した酸素を補うため、颯は、より息を荒らしながら、遥希と言葉を交わす。正直、喋るのも辛い。普段と同様に、流暢には言葉を紡げない。


「はは。こうやって、異性と一緒に遅刻ギリギリで学校に登校するのは、初めての体験でな。何か新鮮で楽しくてな」


 横で並んで走る颯に視線を向けながら、年齢相応の少女らしく、遥希は無邪気に微笑を浮かべる。心底、今この時間を、堪能しているように見える。


 遥希の子供っぽい笑顔に魅了される颯。普段のクールで男らしい言動が相まって、ギャップが大きく、心にグッと刺さる。


「おっ。ようやく学校が見えてきたな」


 自宅から走り続けて10分程度経過し、ようやく聖堂高校の校舎が、姿を現す。通い慣れた学校だが、今日は体感的にいつもより遠く感じた。


 周囲に、聖堂高校の生徒達は、見受けられない。颯達が、遅刻ギリギリの登校であるため、当然の光景なのだが。


「おっと。8時25分を回ったぞ。いよいよ追い込まれてきたな」


 制服のブレザーからスマートフォンを取り出し、再び遥希は時刻を確認する。


「げっ。本当に! 遅刻コースじゃん!! 俺、遅刻は避けたいんだけど」


 颯は、軽く絶望しかける。いつもは遅刻などしないのだが、今日は特別だ。完全に、遥希作の朝ご飯に心を奪われてしまった。箸が止まらなかった感覚は、未だに忘れることは不可能だ。それほど至高な時間だった。


「私も天音と同意だ。だから、ペースを上げるぞ! 大丈夫そうか? 」


 試すように、不敵な笑みで、遥希は真っ直ぐ颯の目を見つめる。


 颯の目にも、透き通った遥希の水色の瞳が、はっきりと映る。


「あぁ。それと、ペースを上げる前に、1つ伝えたいことがあるんだ。今度からは、天音のご飯は、私が作るから。その点は把握を頼む。そういうことだから。行くぞ! 」


 颯からの返事を待たず、両腕を上下に振り上げるスピードを上げ、遥希は加速する。まだ多くの余力を残していたようだ。


「ちょ、ちょっと待って。って…。えぇ~~~」


 遥希の衝撃的な言葉に、頭がフリーズし、颯の足が止まる。


 目の前の遥希の背中は、どんどん遠くなる。


「お、お~い。何を立ち止まってるんだ! 本当に遅刻するぞ!! 」


 ダッシュしながら、後ろを振り返る遥希、既に、遥希は、学校の正門前まで到達していた。


「やば! まじでやばいよ。俺は何でボーッとしてるんだ」


 遥希の呼び掛けで、颯は、どうにか我に返る。歯を食い縛り、懸命に両腕を上下に振りながら、全速力で遥希の背中を追い掛ける。


 だが、先ほどの遥希の言葉は、頭にこびり付き、決して離れない。


 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン。


 正門を抜け、颯が昇降口に辿り着いた頃に、学校の始業を合図する、チャイムが校内全体に広く行き渡り、何度も木霊した。

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