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学年で1番のイケメンに彼女を寝取られた。そしたら、イケメンの美少女友達が縁を切った  作者: 白金豪


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第32話 家庭的

「ごめんね。まだ学校の準備できてないんだ」


「気にしなくていい。私も朝早く来すぎた」


 時刻は早朝7時30分。あれから、颯は自宅に遥希を通した。そのため、遥希は颯の自宅のソファに腰掛ける。


 一旦、遥希から視線を切り、リビングに繋がるキッチンに設置される冷蔵庫まで、颯は移動する。そして、冷蔵庫から1カップサイズのヨーグルトを取り出す。


「もしかして、朝ご飯をそれだけで済ませるつもりか? 」


 リビング越しから、遥希が問う。颯ではなく、ヨーグルトの容器を凝視する。意識が一点に集中する。


「うん。これだけかな。時間もあまりないし」


 遥希の声に反応し、颯は淡々と答える。特に言葉を選ばずに、回答した。


「はぁ!? 育ち盛りの男子高校生が、それだけか! それはまずいぞ! 」


 驚きの声を漏らし、ソファから勢いよく立ち上がる遥希。普段はクールなため、実に珍しく、オーバーリアクションであった。


「う、うん。これだけで足りるし」


 遥希の剣幕に圧倒され、颯は歯切れの悪い返答を行う。


「ダメだぞ! しっかり食べないと!! もしかして、普段から、そんな感じなのか? 」


「そ、そうだね。自炊も面倒臭くて、サボりがちだから。八雲さんの言う通りだよ」


 ここ何日かの食事を記憶を辿り、脳内で思い返す颯。朝はヨーグルトやヤクルトとなどの軽食、昼は学食、夜はインスタント食品を食べていた。


 ロクな食事を取っていない。学食が無ければ、より一層バランスの悪い、荒れた食事を取っていただろう。想像するだけで恐ろしい。


「エプロン持ってないか? 」


 予想外の言葉が、遥希から飛び出す。一瞬、颯は遥希が何を言ったか、理解できなかった。ワンテンポ遅れて、認識した形だ。


「う、うん。あるけど」


「なら、いきなり悪いが、貸してもらっていいか? 」


「それは構わないけど」


 キッチンの引き出しから、以前に時折り、母親が、使用していたエプロンを取り出す。エプロンの色はピンクを基調とする。


「ありがとう。ちょっと借りるぞ。それと、キッチンも借りるぞ」


 キッチンにある冷蔵庫の近くで佇む颯の元まで足を運び、遥希はエプロンを受け取る。そして、慣れた手付きで、背中の後ろで紐を結び、エプロンを着用する。


「…うん。でも、何するの? 」


 率直な疑問を口にする颯。急にエプロンを要求され、遥希の意図が読めない。


「何って。天音の朝ご飯を作るのに決まってるだろ? 」


 当然と言わんばかりの顔で、遥希は返答する。そこに、嘘偽りは存在しない。本心で口にした言葉だろう。


「え!? そんな! いいよ。そんなことしなくて。俺は、このヨーグルトで十分だから」


 驚き、普段よりも大きな声を上げた後、颯は、空いた左手で、右手で持つヨーグルトの容器を指差す。


 正直、学園でもトップレベルに位置する、美少女の遥希の手料理を食べたい気持ちはあった。だが、同時に気が引けた。自分のために、朝食を作ってもらうのが、申し訳ないと感じた。


「それはダメだ! 私の前で、そんな質素な朝食で済まされては困る。それに…私の———」


「私の? 」


 途中で言葉が途切れ、颯は違和感を覚えた。一瞬の好奇心から、その後の言葉が気に掛かった。


「な、何でもない!! 冷蔵庫の中身確認させてもらうぞ」


 頬を仄かに朱色に染めながら、雑念を消すように、遥希は、首を何度か左右に振る。そして、逃げるように、冷蔵庫の中身を上から順に確認する。


「なるほどなるほど。お肉、魚、野菜は問題なくある。賞味期限も問題なし」


 冷蔵庫の中身を確認しながら、ブツブツ呟く遥希。まるで、恥ずかしさを打ち消すように。


「一応、食材は定期的に購入してるんだよ。いつか自炊を習慣化するために」


「なるほど。だが、自炊する気が起きず、現状として冷蔵庫に食材が溜まってるわけか」


 冷蔵庫の中身から視線を切り、遥希はジト目で颯を凝視する。明らかに呆れている目だ。


「うっ…。確かにそうだけど。購入した食材も賞味期限が切れて、捨てた経験も多々あるけども」


 罰が悪そうに、颯は遥希から視線を逸らす。颯にとっては、恥ずかしいエピソードだ。


「ふっ。そこは、しっかり確認してるんだな。だから、賞味期限切れの食材で、溢れてないわけだ」


 目を細め、クスっと可愛らしく笑みを溢す遥希。思わず、失笑した形だった。


「揶揄わないでよ。恥ずかしさが増すよ」


「悪い悪い。つい揶揄いたくなってな。でも冷蔵庫を整理してる天音は偉いと思うぞ。捨てた食材は勿体ないけどな」


 楽しそうに、遥希はニヤニヤ無邪気な笑みを浮かべる。


 ここ最近、このような遥希の表情を、良く目にするようになった颯。少しずつ、颯に心を許し、ありのままの姿を披露する。


「さ~て。これから、天音の朝食を作るぞ」


 冷蔵庫から、ベーコン、卵、味噌の素を取り出し、キッチンに置く。さらには、豆腐、にんじん、大根などの野菜も取り出した。


「調理器具はどこにあるかな。…天音、フライパンと片手鍋は、どこにある? それと、油も」

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