意外な利益
愛結、実は〇〇のファンだった!?
奏翔が転校してきてから、一週間が経った。
あれからは1回も話しかけられていないし、平穏な毎日を送っている。
「琉生〜?」
「あーごめん、今日は委員会。」
「あ、そっか。頑張ってね。」
「ん、また明日な。」
「また明日ー」
思えば、一人の帰り道なんて相当久しぶりかもしれない。
いままで、ほぼ毎日琉生と帰ってたし...。
不思議なことにそういう噂は一度も立ったことがない。
静かな路地にひとり分の歩調が響く。
琉生のことは、好きとかではなかった。
それは、お互いにそう。
たぶん、私は――
「寂しかったのかなあ...」
「なになに、そんなに俺に会いたかったの?」
「うわあああああああ!?」
してやったり、という顔で笑う奏翔。
「びびび、びっくりするじゃん!!!」
「アイドルになってから色々鍛えられたんだ〜」
はっ!思わず素が出たけど、知らないふり......もう遅いか...。
この前お母さんとも話したみたいだし...今更ごまかしても......無理か...。
「そう...で、何の用?」
「普通に話に来ただけだよ?」
「じゃあ離れてくれない?近いんですけど?」
「え〜まあ、しょうがないな〜」
こいつ、めんどくさ!変にスキャンダルとか出たらどうするわけ!?
「ほんと、変わったね...」
「でしょでしょ!?」
皮肉のつもりが、彼には褒め言葉として受け取られた。
だから、そうじゃない...。
「あ、そうだ。ライブ来てよね。」
――『関係者席のチケットもらったのよ〜』
「あーいや、ちょっとその日は用事があるから、今回は妹に譲るわ...」
「そっか、妹できたんだってね。もう一枚渡しとかなきゃだ。」
「いや、だから、私は行かないから――」
「じゃあ翌日にずらしてもらおうか?」
「いやいやいやそこまでしなくていい!!」
「メンバーの皆は優しいから許してくれると思うけど。」
さすがにやりすぎだって!!って、ん?メンバー?
「グループの方のライブ...?」
「うん。ここだけの話、新曲もやるんだ。」
たしか、奏翔はいつも佐藤くんの隣にいるような...?
うん?関係者席って、結構距離近いって聞いたことあるな......ライブ終わったあとに控室に行けるとか行けないとか、握手券の時間が二倍だとか...。
待って、最高すぎません??
そう、何を隠そう私はStella pureのセンター兼リーダーの佐藤悠様の大大大大大大ファンなのだっ!!
グッズは家に大量にあるし、推し棚もうちわの、決めの参戦服も...。活動初期から大古参で、しかも認知されている私が、ずっと避けてきたグループライブに行ったら、喜んでくれるかも...。
いや!冷静になれ、私。
奏翔もいるタイミングで、参戦服バチバチに決めていったら、まずいに決まってる。
うーん、えーっと、うん、いや......行ったほうが良いなこれ。
「やっぱ、行こうかな...」
「ほんと!?」
「う、うん...。」
あまりの喜びぶりに驚きつつ、ライブ当日の妄想をして、にやにやしていた私なのでした。
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