5 Side: オフィーリア
Side: オフィーリア
「ずるいわ。お姉さまばかり……。いつもそうよ。お父さまとお母さまに期待されているのはお姉さまばかり。どうして、ジュドー様の婚約者候補になるのをお父さまもお母さまもダメだと言うの……。私には皇太子妃になれないと言うの……?」
ジュドー様にお会いしたその日、今までお会いした誰よりもジュドー様は素敵な男性だと私は思ってしまった。たとえ、ジュドー様がエレノアお姉さまの婚約者候補だとしても、誰よりもキラキラと輝いているジュドー様を心の底からほしいと思ってしまったの。
エレノアお姉さまはお父さまとお母さまの期待を一身に受けている。お父さまとお母さまは私にはまったく期待していないのに。それが、とても妬ましかった。
私にも期待してほしいのに。
皇太子妃候補になれたのなら、お父さまもお母さまも私に期待してくださるのではないかと浅はかにも思ってしまったのだ。
私は、ジュドー様のことが欲しくなってしまった。それと同時に皇太子妃になることで、お父さまとお母さまに期待してもらえると思ってしまった。私がジュドー様の婚約者候補になることは、一石二鳥だと思ってしまったのだ。
「……お父さまとお母さまがなんと言っても私はジュドー様の婚約者になるのだから。」
涙で濡れた枕に顔を押し付けて声を押し殺して泣きながら、決意を新たにする。
誰にも邪魔はさせない、と。
エレノアお姉さまには負けたくない、と。
だから、三か月後に控えている正式なジュドー様の婚約者発表前になんとしてでも、ジュドー様に私を選んでもらわなければならない。どんなことをしてでも。
カクヨム、アルファポリスにて先行公開してます