厳しく育てられたお姉様の顛末1
「オフィーリア。私の可愛い可愛い娘。」
そう言って、私の頭を優しくなでてくれるのは私のお母様。
愛しい愛しいと私の頭を何度も何度も撫でてくる。
正直ちょっとだけうっとうしい。
「オフィーリア。欲しいものがあるのならなんでも言いなさい。オフィーリアのためなら何でも買ってあげるわ。最新のドレスがいいかしら?それとも宝石が散りばめられたアクセサリーがいいかしら?」
お母様はそう言いながら視線をあちらこちらに運ばせる。
「……私、美味しい物が食べたいわ。ああ、ほら先日話題になった王家御用達のフィナンシェが食べたいわ。連日人気で並んでもなかなか買えないっていう、フィナンシェ。あれが食べたいの。ねえ、お母様。いいでしょう?」
欲しいものはいつだって、お父様とお母様が買ってくれた。
だから、今これと言ってほしいものがない。でも、どうせならばと話題になっているフィナンシェを食べたいと言ってみる。
「まあ、そんなものでいいの?オフィーリアは欲がないわね。」
「そうかしら?」
「もっと、甘えていいのよ。可愛い私のオフィーリア。」
「ありがとうございます。お母様。」
お母様は私にとっても優しい。
まるで真綿に包んで隠そうとでもしているようにも思える。
お母様はとても優しくて、私が何をしてもお母様は私を叱ったりなどしなかった。
「オフィーリアが欲しがるものなんでも用意してあげるわ。ねえ、あなた?」
「ああ。オフィーリアが欲しがるものはなんでも買ってあげなさい。」
お母様の隣にいる男性は私のお父様だ。
オールフォーワン侯爵を名乗っている。そう、私は侯爵家の令嬢。
なんでも買ってもらえるし、誰もが私の言うことを聞いてくれる。
「ありがとうございます。お父様、お母様。」
世界は私を中心に回っていた。
☆☆☆☆☆
「オフィーリア。ごきげんよう。今日も天使のように愛らしいわね。」
そう言ってにっこりと微笑んでくれるのは、私のお姉様であるエレノアお姉様だ。
エレノアお姉様はまるで月の女神様のように静かな美貌でその場にひっそりと立っている。まるで、エレノアお姉様の周りだけ洗練された空気が漂っているようだ。
「エレノアお姉様。お母様、王都で話題のフィナンシェを買ってもらいました。エレノアお姉様も一緒にお茶にしませんか?」
大好きなエレノアお姉様。
憧れのエレノアお姉様。
「まあ、良い物を買ってもらったのね。よかったわね。オフィーリア。」
「エレノアお姉様、一緒に食べましょう。私、エレノアお姉様と一緒に食べたいのです。」
「ありがとう。オフィーリア。でも……ごめんなさいね。私、これからマナーの勉強をしなければならないの。いつも誘ってくれるのに応じることができなくてごめんなさい。オフィーリア。」
エレノアお姉様はそう言って寂しそうに微笑んだ。
エレノアお姉様は皇太子妃になるんだってお父様とお母様が言っていた。そのためにたくさんのお勉強をなさっているのだと。
だから、邪魔をしないようにとお父様とお母様に言われている。
でも、私はエレノアお姉様ともっとお話をしたいし美味しい物を一緒に食べたい。
「エレノアお姉様ってば、いっつも勉強勉強ってそればっかり。たまには私と一緒にお茶してくれてもいいではありませんか。」
「オフィーリア。ごめんなさいね。」
「ダメです。今日ばっかりは私とお茶をするの。お母様とお父様には私からお願いしておくわ。」
「オフィーリア……。でも、私は……。」
「エレノアお姉様は私とお茶をするの。私が決めたのだもの。これは決定事項だわ。」
「オフィーリア……。」
私は半ば強引にエレノアお姉様をお茶に誘った。
エレノアお姉様も私にはとっても甘いから、エレノアお姉様は私の誘いを強く断ることなどできない。
私はエレノアお姉様の白く細い腕をとり、自室へとエレノアお姉様を引きずるように連れて行く。
「ああ、マリー。エレノアお姉様はこれから私とお茶をするの。そうお母様に言っておいてちょうだい。エレノアお姉様のお勉強は私とのお茶の後にしてってね。」
「はい。オフィーリアお嬢様。」
部屋に戻る途中で出会った侍女のマリーにお母様への言伝を頼む。
「さあ、これでエレノアお姉様と私のお茶会を邪魔する人はいないわね。」
私は今日こそ、エレノアお姉様と二人だけのお茶会をする。
私がそう決めたのだもの誰にも邪魔はさせないわ。
☆☆☆☆☆
本日よりオフィーリア視点のお話を連載開始いたします。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。
完結まで毎日投稿予定です。
よろしくお願いします(*^^*)♪




