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Extended Universe   作者: ぽこ
最初の街 - ファスティアン -

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22/85

出発と討伐と人助け? -2

「二体だけならいいんだがな。」


nullは少し驚いた。まさか彼も同じことを考えていたとは、と。頭の回転が速そうだとは感じていたが、自分と似たようなタイプなのかもしれないと考えて少しうれしくなった。


「そうね、引き寄せながら安全に戦う?」


まぁ、それも絶対ではないのだが。


「ナルさんは一体倒せるか?」


「当然」


当たり前に返せば、シカクは小さく笑う。「よし」と頷いて作戦を立てる。


「じゃあ、行くぞ」


彼の声を合図に一斉に飛び出す。近くのグリズリードはnullが、少し奥にいるグリズリードをシカクが倒す。奥に進むために、先にnullがグリズリードに攻撃を仕掛けてヘイトを受け持ち、その間に手前のグリズリードを抜けて、奥にいるグリズリードまでシカクが走る。


「”クイック・チャージ”、”グラビティ・ボム”、”ウォーター”、”ウィンド・ブレード”」

(533/1200)


狙い通り一体のヘイトがこちらへ向く。突っ込んでくるグリズリードに追い打ちをかけるように魔法を唱えた。


「”ウィンドカッター”、”ストーンシールド”」



風の刃でグリズリードの身体を引き裂いても、グリズリードの突進は止まらない。慌てて石の壁をつくり一直線上から外れるように移動した。目の端で石の壁がグリズリードによって木端微塵に吹き飛ばされたのが見えた。グリズリードは退路側まで走り切り、nullを見つけるとまたこちらへ突進して来ようと準備する。

(333/1200)


「”アイス・リフレッシュ”、”ウィンド・リフレッシュ”、”ウォーター”、”アーマード・リフレクション”」


MPを回復しつつ、突進してくるグリズリードへウォーターで攻撃をしつつ、回避しきれなかった時に備えてリフレクションの魔法を唱えておく。

グリズリードは苦手な水の攻撃に少し怯むも速度を下げずに突っ込んでくる。どうにか避けようと走り出すが、グリズリードの突進が掠りnullは弾き飛ばされるが、グリズリードにもダメージが入る。削られたHPは多少回復したものの、ダメージ量が痛い。

(15/1200)


【HP:300/769】


「”ファイアーランス”」


グリズリードのHPをみて、ファイアーランスで素早く止めを刺すと、すぐにインベントリから【HPポーション改(継続型01)】を一本取り出して使いながら、シカクの様子を見る。

どうやらまだ倒せていないようで、水の攻撃を仕掛けていた。グリズリードのHPは残り200程。シカクのHPもわずかに削れてはいるが、おそらく問題ないだろうと、少し離れた位置で見守る。


グリズリードが二本足でグルルルォォと雄叫びを上げながら、前足を勢いよく地面にたたきつける。するとそこから地面がバリバリとひび割れシカクのバランスが崩れた。それを見逃さないグリズリードは勢いよく突進攻撃を繰り出す。シカクは不意を突かれたものの、横へ飛び退き何とかかすり傷程度に抑えながらグリズリードに退治ていた。


そろそろHPも厳しいかな?と思いシカクへ”ヒール”をかければ、シカクの視線がちらりとこちらへ向いた。どうやらnullからの支援であることに気が付いたらしい。彼の邪魔をしないようにと、杖を構えながらも待機する。


その間、グリズリードはまたも雄たけびを上げていた。相当お冠らしい。シカクが攻撃を仕掛ければ、躱しきれないグリズリードは払うように腕を振り上げる。ゼェゼェと息苦しそうなグリズリードへ最後の一撃とばかりにシカクが攻撃したその瞬間、シカクへ向かって別のグリズリードが突進するように走っていく。


nullは”光輝の盾”を唱えて自身とシカクに光のバリアを展開した。急に自分の周りにバリアが張られたことで異変に気が付いたシカクは、漸くグリズリードが自身めがけて駆けてくる様子を捉えて、直線状から逃げようとスキルを発動させた。


躱しきれなかったシカクのバリアが削れるも、彼自身にはダメージは入っていない。nullがほっと一息つこうとして、それを飲み込んだ。

駆けてくるグリズリードは一体ではなかった。二体、三体と増え、広場には計五体のグリズリードがこちらへ威嚇する。


「ナルさん、逃げられるか?」


苦笑しながら、シカクがnullを気遣う。後衛であり魔法職にとって良くない状況であるためだろう。だが、nullは杖を両手で握りしめた。


「大丈夫、戦える。シカクは作戦通りに動いて」


戦闘前に彼と決めた作戦は二つ。

二体のグリズリードを分かれて戦うものと、グリズリードが仲間を呼んだ時の対処方法である。

後方にいる方がヘイトを引き、前方に方はグリズリードから距離をとる。数によっては、可能であればそのまま逃げる。合図は後方の攻撃スキル。


さて、全部を倒しきれるか、否か。三体までであれば倒せる自信はあったが、目の前には五体。さてどうしようか、とnullの口角が上がった。


まずは合図として分かりやすい魔法を唱える。


「”グラビティ・ボム”」


グラビティ・ボムをグリズリードが群がっている場所へ放ると、シカクがこちらに向かって走り出す。それを見てから、次の魔法を唱えた。


「”クイック・チャージ”、”エリュトロス”」


”エリュトロス”を唱えた瞬間に周囲の様子が一変する。風の音も地を駆ける音も、グリズリードの威嚇もすべてが止まる。nullは口角を上げて走り出す。


「”抜刀神速(ばっとうしんそく)・光の一閃(いっせん)

光速斬(こうそくざん)”、

閃光(せんこう)乱舞(らんぶ)”」


レイピアを抜きながら、次々に攻撃を繰り出す。最初の抜刀時、光の一撃は恐らくすべてのグリズリードに当たった。次の技もまた、光の斬撃刃が殆どのグリズリードにあっただろう。

閃光の乱舞で、躍るように振り回しながら一体、二体と倒していく。それでもグリズリードは微動だにしない。いや、時間が止まっているように遅いこの世界では倒れることもできず、血しぶきも上がらない。


「”神聖(しんせい)・光の舞”、

”聖なる裁き”、

光槍(こうそう)”」


乱舞で敵の数を削ったあとは、光の舞で残りの三体に範囲攻撃と光の印を残し、聖なる裁きで一体を倒しきる。見ているのはでかい図体とその上に表示されているHP。


後二体。

次の標的を視界でとらえれば、すぐに駆け寄り、光槍で一体をしとめた。


残り一体、だがもうエリュトロスの効果時間がない。

チッと舌打ちをして、スキルを唱えた。


「”エア・ダッシュ”、

”カタスタシス”、

”神威の収束しんいのしゅうそく”」


エア・ダッシュで残りの一体から大きく距離をとって、シカクの方へと退避する。そしてエリュトロスの締め、”カタスタシス”でデバフを回避するのと同時にレイピアを収める。


シャ…キンッ


鉄の音が鳴り響くとともに、世界が動き出す。

後方ではバタバタとグリズリードが倒れ、残った一体が状況を把握できずに、戸惑いの声を漏らした。


異変に気が付いたシカクは、全力で走っていた足を止めて振り返る。

彼が見た光景は悲惨なものだった。


薄闇の中、血しぶきを上げながらグリズリードが倒れ、残った一体は倒れる仲間を見ながら自身に受けたダメージに崩れ落ちる。

nullは何食わぬ顔でこちらへ走ってきては、おもむろに振り返ると、無慈悲な攻撃で残りの一体を仕留めた。



「”ファイアーランス”」


炎の槍が突き刺さり、ぼぅっと燃えた残りの一体は、なけなしのHPを炎が燃やし尽くした。


「…は?」


困惑に漏れるシカクの声。


nullは満足していなかった。あと一撃足りなかった。もう少しでシカクにレイピアがバレるところだったのだ。もっと最悪を言えば、ばれた上にエリュトロスのデバフまでかかるところだった。


最後の収束のスキルを出したときは、「きまった」と少しだけテンションは上がったものの、やはり倒しきれなかった一体を見て、その存在をなかったものにしたくて、ファイアーランスを放った。


まだまだ使いこなせていないらしい。


ふぅっと息をつけば、シカクからシステム音が鳴った。パーティを組んでいると当てなくても多少の経験値は入るらしい。いい発見だと、nullは彼に声をかけた。


「おつかれさま」


シカクは、ど惑いながらも「あ、あぁ」と信じられないという顔でnullを見る。「どうしたの」と首を傾げれば、シカクは目を瞑り、首を振った。


「いや、…いい。助かったよ。ありがとう」

「うん、クエスト完了だよね?戻ろう」

「あ、あぁ」


二人は帰路を歩き出す。途中出てきたモンスターはシカクに任せながら、nullはもっと効率のいい倒し方があったんじゃないか、五体すべて倒す方法があったんじゃないかとぐるぐる考え続けていた。




==

スキル獲得

疾風(しっぷう)一閃(いっせん)

 - 効果:走りながら一閃。レイピアを構えた状態で素早く前方へ駆け出し、敵に向かって光属性の強力な一閃を放つ。

 - MP消費:20 MP

 - クールタイム:12秒

==



☆おまけ

==

【グリズリード】Lv15-20

タイプ: 土地の守護獣、獣型モンスター

HP: 1200/1200

属性: 地属性

弱点:水属性(+15%ダメージ)

==

スキル補足


アイス・リフレッシュ(水・氷属性)(MP12消費)

- 効果:氷のエネルギーを利用して、周囲の味方と自身のMPを少量回復させる。

- 回復量:回復量は最大MPの2%

- 持続時間:即時回復

- クールタイム:6秒

---

ウィンド・リフレッシュ(風属性)(MP15消費)

- 効果:一定時間内に、周囲の味方または自身のMPを少量ずつ回復させる風の力を呼び寄せる。継続的に回復を行うことで、長期的なMP管理が可能になる。

- 回復量:1秒ごとに最大MPの1.5%を回復

- 持続時間:10秒

- クールタイム:20秒

---

ウィンド・ブレード(風属性)(MP10消費)

- 効果:風の刃を前方に放ち、敵に切り裂くようなダメージを与える。高い命中精度と、わずかに敵の防御力を削る効果。

- 持続時間:即時

- クールタイム:5秒

---

クイック・チャージ(光属性)(MP15消費)

- 効果:一定時間、移動速度とキャスト、クールタイム、リキャスト速度が増加するバースト効果を発動。これにより、攻撃や移動が素早く行える。

- 増加量:

- 移動速度:15%増加

- 各種進行タイム:20%増加

- 持続時間:10秒

- クールタイム:20秒

---

グラビティ・ボム(土属性)(MP18消費)

- 効果:敵の足元に重力の魔法を発動させ、一定範囲内の敵の移動速度を一時的に低下させる。さらに、攻撃を受ける際にその威力が若干強化される。

- 持続時間:6秒(効果時間)

- クールタイム:18秒

---

アーマード・リフレクション(土属性)(MP20消費)

- 効果:ダメージを受けた際にそのダメージを反射し、反射したダメージにより少量のHPを回復。また、一定時間、防御力が強化される。

- 回復量:反射ダメージの50%を回復

- 強化された防御力:

- 防御力強化:15%増加

- 持続時間:15秒(防御力強化)

- クールタイム:30秒

---


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