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Extended Universe   作者: ぽこ
最初の街 - ファスティアン -
21/71

出発と討伐と人助け? -1

nullは 「忘れ去られた遺跡」を後にして、次の街へ進むべく、歩いていた。途中モンスターが何度も襲ってきたが、強敵を倒した後の彼女は危なげもなく返り討ちにしては経験値へと変えていた。


本来のルートへと戻りながら、マップを見る。この先は川らしい。大きな橋を使う場合は大回りしなければならない。かといって近道であろう船を使うにはそれなりの金額がかかりそうだ。さて、どちらのルートで行こうか。と考える。


まずは近場の船着き場へ行って、様子を見てから橋に行ってもいいかもしれない。

面倒だから船でもいいけど、お金あったかなぁ~?とステータス画面を確認すれば、190G。世の中は世知辛い。


どのみち無理そうだな、と諦めて端へ向かうことに決めた。大きな橋は遺跡側からは遠く、いつまでたっても大きな橋が小さく見えたまま、歩いていた。


やっとついた大橋を渡っていれば、目の前からプレイヤーがこちらへとぼとぼと歩いてくる。いや、引き返してくる?いった何故?不思議に思ったnullはそのプレイヤーへと話しかけてみることにした。


「こんにちは」


急に話しかけられて、驚いた様子の男は躊躇いがちに返事をくれた。


「どうも」


「引き返すんですか?」


立ち止まった彼は、ちょっと考えた後、小さく頷いた。どうやら彼もソロプレイヤーらしい。あたりにお仲間の姿が見えない。


「あぁ、この先関所があってね。通るにはクエストかお金かどっちか選ばないといけないんだ」


親切な男性は、訳を説明してくれた。nullは、顔をしかめて、自身の所持金を再度見る。何度見ても、ステータス画面には「190G」と表記されている。やはりもっとお金を稼いでからくる必要があったか、とため息をつく。


「うわぁ、私も所持金足りないかも…」


素直にそう告げれば、彼は苦笑する。「あの金額は無理だよ。」と、どうやら彼の話を聞くに、関所を通るためには1000G必要らしい。高額な地図代と関所代とで、やはり金策が必要なのだと再認識する。


「まぁでも、通行所を買わなくても、身分を証明できるものとか、交渉してモンスターを狩ってくる、要はクエストさえできれば通れるらしいから、一旦みんな戻るんじゃないかな」


「そうなんだ。教えてくれてありがとう。私もクエスト受けてくるよ」


苦笑しながら、彼に伝えれば、少し悩んだ彼が提案してくる。


「なぁ、もしよかったら、ここだけでも一緒にクエストやらないか?見たところ、ソロ魔法使いでしょ?俺、今ソロで職業が槍使いなんだよね。」


「ん~。」と少し考えながらも、これも何かの縁かな。とパーティを組み続けるつもりはないけど、時点時点であればいいかなと提案を受けることにした。


「うーん、分かった!でも、私がパーティに入ったらクエスト受けなくていいのかな?」

「あー、どうだろう。近いし、関所行っとくか?」


「その方が安心かな」とその場でパーティ申請をして彼と共に関所まで歩き出す。


「そういえば、自己紹介まだだったね。私はナルでいいよ」


「あぁ、俺はシカク。よろしくなナルさん」


「こちらこそ」と改めて挨拶して、戦闘について話した。継続的にパーティを組む場合を除いて、基本的には戦闘に関する話は隠してもいいのだが、連携を高めるためにはそれなりの知識がある方が成功率も生存率も上がる為、どんな技を使うか、どんな作戦で行くか等あらかじめ決めておく。


関所につくと、何名かのプレイヤーとNPCらしき衛兵がやり取りをしている。関所の左側は交通所の発行と、身分証の確認を行うための場所らしく、クエストを受けるのは右側だとシカクが教えてくれた。彼と共に、右側の受付らしき場所へ行くと、どうやらパーティを組んだら自動で彼の選んだクエストがnullにも適応されるらしかった。


安心した二人は、そのままクエストポイントまで移動することにした。道中、世界観やNPCやモンスターについて話しながら、ゆっくりと進んでいく。nullは昨日購入した雑誌の話を彼にした。彼はその雑誌について知らなかったらしく、早いうちに買ってみようと思うと言って、情報を喜んでくれた。

彼は情報を集めて思考することが好きらしく、話していても彼の頭の回転が速いことはすぐに理解できた。

「さて、この辺りの筈。ナルさんは、探知系使える?」


シカクの問いに頷いて答えてから”サーチ”を使う。するとすぐに引っかかった。


【グリズリード】

タイプ: 土地の守護獣、獣型モンスター

HP: 1200/1200

属性: 地属性

弱点:水属性(+15%ダメージ)


「少し遠くに、グリズリード1体。あっち」


指で方角を示して、声をかける。文字の大きさからそこまで遠くないため、すぐに接敵することを伝えて二人して武器を構える。


どんどん近づくモンスター名に、シカクへもうすぐであることを伝えて戦闘態勢に入る。


「私が先に攻撃するから、左から回って。位置についたら始める」

「了解。無理しないように」


彼の言葉に頷いて、グリズリードとシカクの位置を確認する。彼が立ち止まり、準備が整ったことを確認すると、魔法を唱える。


「”クイック・チャージ”、”グラビティ・ボム”、”ウォーター”、”ウィンド・ブレード”」

(533/1200)


グリズリードに攻撃が命中し、気づいた敵がこちらに駆けてくる。しかし、グラビティ・ボムの効果で敵の移動速度が下がっており、こちらは逆にクイック・チャージの効果で移動速度が上がっている為、難なくグリズリードと距離をとることができた。シカクの攻撃の邪魔にならないよう、彼が気づかれないようにヘイトをとりつつ、移動する。


「ここだ!”水槍(すいそう)滅流(めつりゅう)”、”フィニッシュ・ブロー”」

(0/1200)


前方に突き出た水属性の槍を放ちグリズリードにダメージを与えた。グリズリードは水流に巻き込まれ身動きが取れない。そこを前方に槍を振り下ろして敵を突き刺しシカクが打ち倒した。


グリズリードを倒して、ほっと息をつく。やはりボスに比べればそれほど脅威ではない。いや、ボス戦でレベルが上がった為だろうか、入ったダメージが想定よりも大きかった。やはりユニークウェポンは強い。


「ナルさん、強いな。俺が攻撃する前に半分くらい減ってなかったか?」


苦笑気味に声をかけるシカクは、先ほどの戦いでレベルが上がったらしく、システム画面をポチポチしながら歩いてくる。


「うーん、とは言えまだ一体。あと4体でしょ?」


誤魔化しつつ”サーチ”を発動させる。周辺にはグリズリードの気配はなく、あるのは序盤にいるような青スライムなどの低級モンスターの名前ばかり。


「もうこの辺りにはいなさそうだし、移動しようか?」


「あぁ、どっちに行く?」


目のには分かれ道。どっちも森の奥へと続いている。が、先ほどサーチで見た結果で言えば、正直左に行きたい。


【左:崩れた岩道】:地面が不安定で、崩れた岩が散乱している場所

【右:霧の迷宮】:濃い霧に包まれ、迷いやすい場所



「どっちでもいいの?」

「決めていいよ」

「じゃあ、左で」

「よし、じゃあ行こうか」


特に気にもせず、戦闘を歩くシカク。nullも苦笑しながらついていく。

はじめて組んだパーティで視界が悪そうな霧の道は正直避けたい。連携の精度だけでなく、不意打ちなんかにも気を付けないといけなくなるからだ。


「で、こっちには何があるの」


どうやらサーチ結果に気づいていたらしいシカクは、振り返ることもなく、問いかける。


「岩」と一言つぶやけば、流石に振り返った。


「それだけ?」


それだけではあるが。そうじゃないと言えばそうじゃない。霧を払う手段は持ってないし、霧があるならレイピアの使用も考えはしたが、やはり出来るならば、杖だけで戦いたい。あまり人目に晒したくないのが本音である。


「右は霧が出ているみたいだったから、連携を考えるならこっちかなと」


手をひらひら振って前を向くように促す。シカクは「そうか」と前を向いて進み始めた。しばらくすると、森から抜け地面が崩れている場所へ出る。岩が多く通行の邪魔をしている。死角も多いため細目にサーチ魔法をかけながら進む。シカクもnullがサーチを唱えれば、足を止めて待ってくれるので、とてもやりやすいなとnullは内心思っていた。


しばらく歩くと、サーチ結果にグリズリードの名前が表示される。まだ距離はあるらしく、シカクに伝えて慎重に進んでいく。岩の陰から奥を除けば、そこにグリズリードがいた。数は2体だ。


「どうする?」とシカクがnullへ向き直る。少し考えてから、彼に問う。


「安全に戦うのと、一気に倒すのと、どっちがいい?」


魔法で引き付けて一体ずつこちらへ誘導すれば比較的安全に戦うことができるだろう。先ほどの戦いである程度グリズリードの戦い方はわかっている。直撃型。突っ込んできて前足を振り上げて攻撃を行うか、そのままタックルしてくるか。大体そんなものだろう。それであれば、問題なく倒せる。恐らく二体同時であっても、一体ずつ倒せばいいのだから問題はないはず。とはいえ少し気になることもある。グリズリードが二体でいることだ。群れで動く習性があった場合が厄介である。仲間を呼ばれるか、その奥にまだグリズリードがいた場合、数的な有利は向こうにあり、彼と連携して倒すことができるのか。

☆めも

【職業:光の使徒】:女神武器シリーズを手にし、光の力を使いこなす者。神聖な使命を持ち、世界を照らすために戦う。

【称号:聖霊の盾】:神々の力を宿した者として、聖なる盾で世界を守る存在。仲間を護り、敵を討つために戦い続け、神聖な役割を全うする守護者。(光属性ダメージ +15%、魔法威力 +10%、HP +5%、MP回復速度 +10%)


アイテムレアリティ(省略形)

コモン(Common) → C

アンコモン(Uncommon) → UC

レア(Rare) → R

Sレア(Super Rare) → SR

Uレア(Ultra Rare) → UR

レジェンダリー(Legendary) → LEG

エピック(Epic) → EPIC

ミシック(Mythic) → MYTHIC

ユニーク(Unique) → U


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