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Extended Universe   作者: ぽこ
最初の街 - ファスティアン -
16/27

出発と討伐-2

「”ウィンド・ブレード”、”ウィンドカッター”」


火魔法の種類が少なすぎて、クールタイムが明けるまで時間がかかりすぎる。MPを消費しすぎないように気を付けながらも風魔法を放てば、ガリガリと最初とは違う、おかしな音が響く。


「まさかね…?」


スキルが当たるも、オルガスは微動だにしない。それもそのはずである。オルガスの頭上にあるHPは1足りとも削れていないではないか。


「じょ、冗談きついってー。」


ハハハと乾いた声がこぼれるも、オルガスは待ってはくれないらしい。大きなジャンプの後、すかさず回避すれば、ズドンと大きな音と突風。先ほどまでたっていた位置にオルガスが倒れるように着地する。


「それ、当たったらぺちゃんこじゃ済まなくない?」


苦笑しながら、一目散に逃げる。オルガスは両の腕を顔の前で交差させて追いかけてくる。恐らくあの行動が防御力を引き上げている要因だろう。とはいえ、あれをどうすれば解除させられるのか。

大きな松明が落ちている場所はまだ距離がある。ファイアーランスのクールタイムも上がっていない。よく分からない先ほどの目から光線の攻撃の為にシャドウ・マントは残しておくべきだろう。


――他に、何ができる!?


残念ながら採取に時間と労力を掛けすぎて、防御力が高い相手に対する戦う術がほとんどない。


「オルガスさん、ちょっ、たんま、たんま!!」


勿論こちらの話なんて聞いてくれない裏ボスはドンドンと飛び跳ねては距離を詰めてくる。突風に煽られバランスを崩しながらも、何とか逃げ回り、大きな松明へと向かってひた走る。


「とどけーーー!”ファイア”!!」


ボウっと大きな松明に火が灯ったことを確認したnullは「”ウィンド”」のスキルでオルガスへと松明を吹き飛ばす。流石にこの火を無傷でやり過ごすことができなかったオルガスは苦しそうに藻掻きながら地面に身体を擦り付ける。


ゼェハァー、と大きく息を零しながらインベントリから【MPポーション改(速度up型01)】と【ヘルスポーション改(継続型01)】を取り出すと、すぐにそれを使用した。

ポーションの回避アップ効果がないと流石にオルガスの攻撃を回避し続けるのは厳しい。そうでなくとも細かな石礫でじりじりとHPが削れているのだから。


オルガスのHPは残り1500程。ここからまた見たことが無いような攻撃が来るだろうことは、ゲーマーとしてすぐわかる。

じっとオルガスの様子を観察していれば、オルガスが両の手を高く上げる。すると、関節なんてお構いなしにぶんぶんと腕を振り回し、やがて闇の渦巻きが現れる。段々と低音から高音へと変化し、最後に鋭い金属音が響くような音になる。

これはまずいと、取っておいた”シャドウ・マント”をたまらず使用して、オルガスの攻撃に備える。


”シャドウ・マント”を使用してすぐに、オルガスの周りが一瞬強い光で包まれたかと思えば、エネルギー波動が地面から放たれた。


ドドドドドッドドドドドドドッドドドドッズドーーーーンッ!!


これまでにない爆音と土ぼこりを伴う衝撃に、”シャドウ・マント”を使用しているにもかかわらず、思わず目を瞑ってしまう。パラパラと小石が地面に落ちる音がする。


オルガスはどうなったのかと確認すれば、そこに奴の姿はない。


「まずい!」


反射で”エア・ダッシュ”を使用した。

見ていた方向は先ほどまでオルガスが居た位置である。物凄いスピードでそこへたどり着いた瞬間、先ほどまでnullが居た位置にオルガスが降ってくる。


ドンッ!!!


「あっ…ぶなーー」


冷や汗をかきながら、目の前の地面に落ちている大きな松明へ視線を落とすと、にやりと笑った。


「ラッキー♪」


「”グラビティ・ボム”、”ファイア”、”ウィンド”!」


”グラビティ・ボム”でオルガスの動きを遅くさせ、副効果で次の攻撃威力が増す。ファイアで落ちている松明へと火をともし、慣れた操作で松明をオルガスへと吹き飛ばす。ついでに”ファイアーランス"で留めとばかりに、攻撃を指せば、オルガスはグゴゴゴゴゴゴゴゴォォと大きな声を上げてパタリと地面に突っ伏した。


==

【オルガルス】

 HP: 0 / 5000

==


「ああああー、疲れたーーー!」


へたりと地面へ腰を下ろすと、大きくため息をつく。


「魔法効く敵でよかったーーー。」


ピロリンと小さなシステム音が鳴り響き、システム画面へと目を通せば、【忘れ去られた遺跡:オルガルス討伐完了!】と大きな文字。


==

【忘れ去られた遺跡:オルガルス討伐完了!】

 裏ボス:オルガルス(Olgarus)

 タイプ: 地属性 / 巨大モンスター

 HP: 5000

 弱点: 火属性(+20%ダメージ)

 状態異常耐性: 石化(耐性あり)

 概要: 「オルガルスはアトラクシオンの意志を引き継ぐ守護者で、遺跡の中でプレイヤーを試す存在。巨大な体躯と岩の支配能力を駆使し、強力な攻撃を繰り出す。オルガルスの目が発光すると、視線を合わせた者に対して「石化の呪い」をかける。」

==


「は、石化の呪い…?あっ…ぶなーー。」


ほんと勘弁してよ。と独り言ち、キラキラと存在感をあらわにしている宝箱へと目を向ける。それに触れれば、ガパリと一人でに開く宝箱に、何かを思い出して一瞬びくりと身体を震わすが、中にはキラキラと光る武器。


「なんだこれ」


==

【女神武器シリーズ:レイピア】(ユニークウェポン)

 概要: 「女神武器シリーズ:レイピア」は、杖とレイピアの二面性を持つユニーク武器。見た目は金色の宝石が輝く杖だが、鞘に隠されたレイピアとしても使用可能。装備すると、魔法ステータスが強化され、光属性の魔法や攻撃に特化。戦闘スタイルに応じて杖とレイピアを使い分けることが可能。


主な特徴:杖: 魔法全ステータス強化、回復やバフに特化。

レイピア:高速での近接攻撃、光属性の追加ダメージ。


・光属性強化: 光属性の魔法と攻撃力がアップ。

・「聖なる裁き」: 光属性ダメージを与える必殺技レイピア

・「光輝の盾」: 味方を守るバリアを展開(杖)。

・ 女神の力を宿した武器で、特別な試練を経てその真の力が解放される。

・ユニークモンスター討伐報酬の一つ

==


「ん?…え?…え!?…ええええ!?」


ちょ、ちょ、ちょっと待ってほしい。待ってください。

え?まず、さっきのオルガスさん、ユニークモンスターだったの!?

はあああ??意味わかんない攻撃ばっかりしてくると思ったわ!!!

途中から攻撃効かないし?ジャンプしながらとことん追いかけてくるし!全方位から岩飛ばしてくるし、意味わかんない目からビーム(石化)してくるし、必殺技みたいな衝撃波とばしてくるしいいいい!!


「強いわけだよ!!!」


「てか、え?まって、ユニークウェポンって、固有武器ってことだよね?超激レア武器じゃん!絶対ロストしないやつ!!すんごいの手に入れちゃった!?」


「しかも二面性ある武器とかちょーすてきじゃん。」


キャッキャウフフとユニーク武器を持ってくるくると回って抱きしめる。にやにやが抑えきれず、零れ落ちる。レイピアを抜いては、ぶんぶんと素振りする。


あぁ~、これぞファンタジー。


一通り遊びつくして、満足したnullは”サーチ”魔法をかけて部屋全体を探ると、ピロリンっとまた小さなシステム音。ちらりとステータス画面を覗けば先ほどの戦闘でレベルアップしていたようで、いくつかスキルのレベルが上がっているものがあった。



==

 [ステータス] 

  プレイヤー名:null / G:1725G

  職業:冒険者:魔法使い  / 種族:人間

 【魔法使い】 Lv:12 / SP:0

 EXP:├────────┤

 HP:756 / MP:1274

 STR:53 / ATK:54

 VIT :41 / DEF:44

 INT :178 / RES:163

 DEX:161 / AGI:146

 LUK:73 

==

==

[スキル]

・魔力操作Lv.6

・魔法威力強化 Lv.4

・ファイア (MP5)Lv.2

・ファイアーランス(MP10)Lv.3

・ウィンド(MP5)Lv.2

・エア・ダッシュ(MP15)Lv.2

・グラビティ・ボム(MP18)Lv.2

・クイック・チャージ(MP15)Lv.2

・シャドウ・マント(MP25)Lv.2

・サーチ(MP5)Lv.5

==


どうやら今のでサーチはレベルが5まで上がったらしい。さて、気を取り直してもう一回と、”サーチ”を唱えれば、二方向にルートが示された。一方は目の前の大きな松明が据えられていた近くの扉。もう一方はそこから大きく右側にある窪みである。


==

【最後の扉】:正規ルートへ戻る道

【隠し扉】:支配者の宝物庫

==


サーチ結果を確認して迷わず隠し扉へと向かった。


「そうかそうか、宝物庫を隠していたか。それはいけないよ。」


にやにやと笑みを零しながらサーチに従い隠し扉を開ければ、「失礼しまーす!」と大きく叫んで中へと入る。

中にはキラキラと輝く宝石や金貨などはなく、たくさんの書類に魔石の類。恐らくここで研究していたのだろう。書類の字は消えかかりほとんど何も読めない状態だ。魔石もどうやら手に入れることはできないらしく、肩透かしを食らったのかと、念のため”サーチ”で確認する。


==

【古代の宝玉(金)】:転職用アイテム

==


「ん?転職?…これは!!!所謂あれだよね。上位職に転職できるという!ということは、もしかして、調合師からさらにその先の職業に成れちゃったりして~」


気分上々のnullは、金の宝玉に手を当てると即座に【使用する】。

すると、急に宝玉が輝きだし、まばゆい光で空間が埋め尽くされたかと思えば、数秒後には元の宝物庫へと変わっていた。どんな職業へ変わったのかとワクワクしながらステータス画面を開けば、nullは驚愕する。


「えええええええ、そっちいいいい!?」


==

 [ステータス] 

  プレイヤー名:null / G:190G

  職業:光の使徒 / 種族:人間

  称号::「光の歩み」

  Lv:12[レベル] / SP:0

  ※HP769 MP1274 STR53 ATK54 VIT41 DEF44 INT181 RES163 DEX161 AGI146 LUK73


【職業:光の使徒】:女神武器シリーズを手にし、光の力を使いこなす者。神聖な使命を持ち、世界を照らすために戦う。

【称号:光の歩み】:女神武器シリーズの力を受け継ぎ、最初の一歩を踏み出した者。光の力を使いこなすことを学び、神聖な使命を担い始めた新米の使徒。光属性に関する基本的な強化が施され、少しずつ魔法の威力が上がる。(光属性ダメージ +10%、魔法威力 +5%、HP +5%、MP回復速度 +5%)

==


「しかも、女神武器に依存した職業っぽい。…てことは、これもユニークなのかなぁ…?」


思っていた方向とは違った結果ではあったが、とはいえ最上級の拾い物である。

宝物庫を一歩でて、漸く次へ進もうと【最後の扉】とやらに手をかける。最後というからにはおそらく出口付近か、最奥か。遺跡というからには最奥という方がそれらしいか。と考えながら扉を開く。


いや待て、遺跡の最奥?


ふと考えては流そうとしたその考えに疑問がわく。

ゲームでの、こういったダンジョンの最奥には、一体何があっただろうか。


「宝…?」


でもお宝にはその番人がいるのでは?いやいや、その番人は先ほどのオルガスであろう。つまり、宝庫第二弾?たらりと汗を流しながらそんなことを考えた。

部屋に入れば、先ほどまでいた場所と大差ないほど開けた空間。その既視感に頭痛がする。


私、回復したっけ…?

あぁ、そういえばレベルが上がってさっきポイントまで割り振ったな。


思い出しながら、部屋の中央に鎮座している()()。目の前のボスらしきモンスターに乾いた笑い声をとどけた。


「ボス連戦とか無理~~~~~!!!」


nullの声と共に()()が起動した。


次回更新は28日です。

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