採取と採取と採取-2
「やっぱり安いだけあって、ベッド硬かったな。」
思い出すのは先ほどまでいたあの世界。すでにもう恋しさが込み上げてくるが、自制心で留める。もう、いっそのことこのまま眠ってしまおうか?そう考えて、すごい数の連絡を思い出した。
めんどくさい。
最初に思った感情と、「連絡を返さないと。」という社会性。サイドテーブルにあるだろうスマホに手を伸ばし、画面を覗けば着信が増えていた。
あぁ、やっぱりめんどくさいかも。
大きなため息をついて、コールボタンを押した。電子音が響き始めたと思った瞬間、鳴りやんだ。代わりに聞こえてくるのは、男性の声。
『あ、寧々。やっと出たな。』
出たのはそっちで、私は掛けたんだけど。とは思っても絶対に口には出さない。
「なに?」とそっけない態度で、要件を聞き出す。
『来週の件、覚えてるか?』
「でないよ」
『いや、無理だから。どれだけ期待されてると思ってんだ?』
知らないよ。と言いたいが、知らないわけじゃないから困る。
『朝7時。ちゃんと来いよ?』
面倒だな、と思って返事を渋れば、電話越しに大きなため息が聞こえてくる。ため息をつきたいのはこちらである。
どうせ何の戦果も上げられずに帰ってくることになるのだ。その為にあの世界から切り離されるのは正直とても嫌だ。が、そうも言っていられないのも分かっている。分かっていても嫌なのだ。
『へ・ん・じ!!』
「…やだ」
『そうくるか、分かった。家まで迎えに行くから覚悟しとけ。』
これは逆切れと言うんじゃないだろうか。こちらは正しく主張しただけなのに、何故怒られるのか。いや、理由はわかるけど。認めたくない。
「しゅー、朝ご飯はツナマヨで。」
『それでやる気出るなら、いいけど…』
「じゃあまた。」
『おい、待て。まだ話は…』プツリと強制的に音を止め、湯あみをしようと、ようやく立ち上がった。
電話の相手は村澤柊吾。チームメンバーである。…ゲームの。
来週の日曜日に、都内で開催されるゲームの大会に出なければならない。しかも内容はFPS。
根本的に向いてない。喜ぶべきは、指で動かすゲームではなくVR型であることだ。とはいえ、XUに慣れてしまった今では、感覚が大きく異なる点が厄介だ。それ以上に、あの世界に入れないことが一番の苦痛ともいえる。
寝ていない頭で無駄なことを考えてはそれを否定して、また無駄に抵抗をするという堂々巡りを終わらせるためには、やっぱり寝るべきかもしれない。
シャワーを終え、乾ききらない髪をタオルで拭いながら、大きな窓から外を眺める。朝8時。土曜日らしく、外はたくさんの人が出歩いている。
みんなあの世界に入ればいいのに。なんて小さく思いながら、空いた小腹を満たそうと冷蔵庫の扉をあけてみる。
なにもなかった。
さて、どうしようかというところで、着信音が鳴り響く。どうせ、しゅーだろうと、電話に出る。とても丁度いい。
『あ、もしもし?』
「しゅー、お腹すいた。ツナマヨ買ってきて。じゃ。」
有無を言わさず電話を切れば、30分もせずにチャイムが鳴り響く。防犯用の録画画面には、見慣れた男の立ち姿。その手には、コンビニの袋がぶら下がっている。「解除」のボタンを押して、その人物を中へと通せば、コンビニ袋を手渡された。
「ほら、飯。てか、要件聞かずに電話切んな。」
彼が苛々しているのはいつものこと。眉間に寄せた皺はきっともう取れないんじゃないかと密かに思っている。
自分の家のようにソファーに座り、くつろいでいる。それを横目にコンビニ袋の中身を確認すれば、おにぎりとサンドイッチに、サラダと水。注文以上の対応に大満足である。
もしゃもしゃとサラダを頬張りながら、作戦という名の彼の話へと耳を傾ける。腕はいいけど、多少固い頭の柊吾の作戦は、完璧に近いが予想外の攻撃に弱い。その辺りをカバーするのが私の役目で、他のチームメンバーの役目である。
お腹が満たされ、本格的に睡魔に襲われる。柊吾の声は眠くなる。うとうととし始めた時、柊吾がまた切れた。
「おい!」
「…ん?」
「聞いてるか?」
「うーん。真面目ちゃんの作戦は穴が無いようでボコボコだよねぇ。射線を気にして地形にばっかり目が行ってちゃ無理無理。出直せ~。」
ぐうの音も出ないだろうと、そろそろ本格的に寝てしまおうか?と考えて目を瞑る。限界だ。遠くの方で名前を呼ぶ柊吾の声が聞こえるが、もう無視だ。
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「おーい、寧々?…全く、ゲームしすぎだろ。話聞いて無いようで、ダメ出しだけして寝るとかどうなってんだ、こいつ。」
呆れた目をしながら、柊吾は寧々をベッドへ移動させる。揺らしてもちっとも起きる様子のない寧々に,
ため息をつきながらも、風邪をひかないように毛布を掛けてやる。
三人兄弟の長男である彼は、元々かなり面倒見のいい男だった。寧々がぐうたらしている横でキビキビ働くような男だ。周りから完璧主義と言われるほど、抜けも卒もなく何でもこなしてきた。勿論ゲームでもだ。
苦手をなくし、オールラウンダーな彼のプレーはチームの柱的な存在だ。しかし、彼は思考力では寧々には叶わないとずっと思っていた。
根本的に考え方が正反対の位置にいるのだろうと思う。それが羨ましくも、チームメンバーとして自慢でもあった。しかし、数年前から寧々のやる気は下降するばかり。どんなゲームにも冷めた目を向けていた。XU以前は、である。
彼女がXUにのめりこみ始めてから、「To the Light」のゲームがリリースされるまでの間、見たことがないほど、闘志を燃やしているように見えた。
「To the Light」がリリースされてからは、この状態である。まだ初日、されど初日。
一体いつまでこの熱が続くか、と柊吾は不安に思っていた。できることなら、このまま「To the Light」の世界にのめりこめば、寧々の怠惰な生活が多少向上するだろうと、希望を抱いて。
おまけ
【調合チュートリアル】
1. 調合の基本
調合は素材を選び、選んだ素材を調合台で加工してポーションや薬、アイテムを作成します。まずは、調合を開始する前に、所持素材を確認しましょう。
2. 素材の選択
まず、所持素材を確認します。素材には様々な効果があり、調合するアイテムによって使う素材が異なります。
素材を選ぶ: メイン画面で所持している素材が表示され、選択した素材を調合台に追加します。
3. レシピの確認と調合
調合するアイテムを決めたら、レシピを確認しましょう。レシピには、どの素材が必要か、どの順番で使用するかが記載されています。
レシピ通りに素材を追加: 必要な素材を調合台に追加したら、レシピに従って調合を開始します。作成ボタンを押して調合を開始しましょう。
素材の選び方: 各素材には異なる効果があり、レシピに必要な素材を選ぶことで、目的のポーションや薬が完成します。
4. 成功と失敗
調合作業が終了すると、結果が表示されます。成功した場合はポーションや薬が完成し、失敗した場合は失敗原因が表示されます。
失敗:アイテムが完成しません。調合作業がうまくいかなかったことを示します。
失敗原因が表示され、次回の調合作業で改善点を活かすことができます。
成功:アイテムが正常に完成し、ポーションや薬が手に入ります。
アイテムの効果は基準通りで、目的に応じた効果を発揮します。
作成数は1個です。
大成功:アイテムが予想以上に良い品質で完成します。
品質が向上し、アイテムの効果が強化されます(例: 回復量が増える)。
作成数が増加し、1回の調合で2個作成できることもあります。
優秀:アイテムが非常に強化されて完成します。
品質が大幅に向上し、アイテムの効果が通常よりも強化されます(例: 回復量が大きく増える)。
作成数が増え、1回の調合で複数(3個以上)のアイテムを作成できることがあります。
5.調合履歴の活用
過去に作成したポーションや薬の履歴を確認することで、失敗原因を学び、次回の調合に役立てます。
履歴: 以前作ったアイテムを見返し、失敗や成功の理由を確認して、次の調合作業に活かしましょう。
チュートリアルのポイント
素材を選び、調合台に追加
レシピ通りに素材を組み合わせ
調合結果の確認: 成功/失敗を学び、次回の調合に活かす
履歴で過去の調合を確認し、改善点を見つける
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